襲来の予感!迎撃準備!
見回りを終えて僕達が家に着くと、そこにはカズハさん達にリッチ、ギルが机を眺めていた。
「ただいまー!サリア、外行ってきたよ!」
「おかえりっす!どうでしたか?街を見て、何か分かりましたかね?」
「それがね、何にも分からなかったんだ。とりあえず、教会に行って挨拶してきたよ!」
「それはお疲れ様っす。んじゃ、皆揃ったっすね?ちょっと話があるんで、こちらに来て欲しいっす!」
僕達が机に集まると……ギルとリッチが地図を広げてたんだ。
「お疲れ様じゃな!では、早速始めようかの!」
「ああ。我らの考えを伝えねばな。」
「何だ何だ?外行ってる間に何かあったのか?」
「ワシとギルで今後の作戦を立てていたのじゃよ。人も居るからちょーっと」
ピシッ
…………ん?
「皆、何か感じなかったか?」
「今の奴だよね?一瞬重かったけど、もう慣れたよ!」
「そうなのか?タルト、お前気づいたか?」
「かめ?」
何か、一瞬空気が変わった。皆感じてるみたい。
「ほう。この感じ、これは……来ます!構えて!」
「ま、マイラ、何っすか急に!?いきなり怒鳴るのやめて下さいっす!」
マイラさん?慌ててる……すぐに何かあるんだ!
「レル、魔力を集めて!」
「わん!」
…………ゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!
僕達が魔力を体に込めようとしたその時、急に地面から轟音が鳴り出した!?
「ぎゃぁぁぁ!?耳が痛い!?タルト大丈夫か!?」
「か、かめー!?」
「何なんだ一体、アオハ、お前は平気か!?」
「あ、頭痛いよー!何これー!?」
「皆さん、私の側に!」
「い、急いでレル!」
「わん!わん!」
頭が変になりそうだ、何が起こってるの!?
「集まりましたね、二人も早く!」
「我の事は構うな、そっちは任せる!」
「ワシも平気じゃから、早くやってあげるのじゃ!」
「……分かりました!ハアッッ!」
マイラさんが魔力を込めると、僕達をまーるい魔力が包み込む。あ……凄く楽になった……。
「そのままじっとしていて下さい。終わったら教えますから。」
「お、え?カズハどういう事!?」
「ラルフ、今は動くな!私達では厳しい!」
「……終わったぞ。」
「おや。では解除しましょうか。」
マイラさんが指をパチンと鳴らすと、魔力の壁がスッと消えていく。ギル達の顔……何だか深刻そうだ……。
「我が話したいのはこれだ。この揺れ……やはりあそこが関係している様だな。」
「ええ。間違い無いっすね。」
「さ、さっきから話についていけない!分かりやすく説明してくれ!」
「かー?」
ラルフさんとタルトは首を捻っている。この状況、前から起きてたって事、だよね?
「ああ。今の地響き、今までも何回かあったのだ。街の外を見てみるんだ。奥に山があるだろう?」
「えーっと、あそこ?」
「ああ。我らが言っている大きな魔力はあそこにあるのだ。だが……普段は気配を感じられない。この時だけ、魔力が分かるのだ。お前達も探ってみろ。」
「よし、レルやろう!」
「わん!」
僕は目を閉じて周りを索敵……
あった!奥にある山、あそこに魔力を感じる。かなり大きい……一体何だろう?
「それでこの時に、魔力に惹かれた他の魔物が街を襲うわけじゃ。」
「へぇ。……それって大事じゃないか!?」
「そうだな。一刻の猶予も無くなった。我らで迎撃をするぞ!」
「はい、地図を見てくれ!ワシらの作戦はこうじゃ!」
「君達が入って来た入り口はここ。街の裏にある山、その入り口がここじゃ。」
リッチは二つの出入り口を指差しピンを立てる。
「両方から敵が来るから手を打たねばならん。そこでじゃ。」
リッチは話しながら色の付いたピンを刺していく。入り口側に四人。山側に四人!
「教会を守りながら戦う必要があるからの。今までは山側の入り口を中心に守っていたが、今回は人が多い!両方の入り口を守れるのう!」
「ねえリッチ、この人数は?」
「一応の振り分けじゃ。ティムとラルフは近接戦闘が主じゃから、ここにパートナー含めて二人ずつ。カズハ、お主は弓使いじゃからラルフの後ろを。アオハはティムの援護を任せたい。」
「分かった。よろしくなラルフ。」
「ああ!よろしくカズハ!」
「アオハ君、一緒に頑張ろう!」
「うん!僕にお任せさ!」
「わん!わん!」
「かめ!」
「うけー!」
チームのバランスを見て配分を決めるリッチ。でもラルフさんの方は三人だ。ここに入るのはきっとマイラさんだ!
「ほう。それでは私はラルフの方へ行けば良いのですね?」
「ヒャッ!?そ、そうじゃ。脅かさないで欲しいのう……。」
「よろしくお願いしますね。ラルフ、タルト、カズハ。」
「ワシは屋根の上から指示を出す。それと上からの攻撃にも対処するからの!忙しくなりそうじゃ。」
「我はサリアと待機だ。厳しい様ならリッチに伝えて我らを呼べ。すぐに向かう。」
「ええ。あーし達なら大抵の相手は敵じゃ無いっす。疲れて来たら交代するっすよ!……こんな物ですかね?」
「そうじゃな。説明だけのつもりじゃったが……早速本番じゃな……。」
「大丈夫っすよ!ほら、リッチは持ち場について!あーし達も移動するっす!」
説明が終わった……よーし、僕達はあっちだ!
ひとまずここを守る事を考えよう!
「先生!俺達行ってくるからな!先生なら大丈夫だよな?」
「心配ありませんよ。ティムとレルは貴方より強いですから。」
「自分の心配をした方が良いな。最もそれは私も同じか……。」
「言ったな!?それなら俺達で皆ぶっ倒してやるさ!な、タルト!」
「かめー!」
「わん?」
「レル?ちょっと待っててね。すー。はー。」
急に緊張してきた……ちょ、ちょっと深呼吸。落ち着いて、落ち着いて……。
「とうっ!」
「うけー。」
「ヒャッ!?」
アオハ君、それにシロメも!
「ティム、平気平気!君はテイマーなんだから!サリアから聞いたよ、テイマーになってからずーっと努力してきたんでしょ?」
「そ……そうだ!僕達は強いんだ!僕達なら出来るんだ!」
「ね!それじゃ出発だー!この街の平和は僕達が守る!ってね!」
アオハ君のおかげで緊張が解けたぞ!張り切っていこう!
僕達なら出来る、僕達なら出来る!




