少年テイマー、少女テイマーと合流する!
「ここが入り口だ!一瞬体が重くなる、気をつけろ!」
「分かった!行くよレル!」
「わん!わん!」
走る僕達の前に見えたのは、街の入り口。小さい門は開きっぱなしだ!
「せーのっ!」
「わん!わん!」
レルと一緒に一歩踏み込む……うっ、重い!?
「ギル、大丈夫!?」
「問題無い!サリアの居場所に行くぞ、我についてこい!」
「おわっ何だこれ!?体がガクンってなったぞ!?」
「中は平気だな。外側からの干渉を防ぐ作用か……。」
「ラルフ、カズハ。私達も行きましょう。ティム達から離れないように。」
皆で街の様子をチェック……ギルの言う通り、誰も居ないみたい。建物は傷がついてるし、視界もあんまり良くない。とにかくギルの後を追おう!
「ここだ!入る……いや、中に敵が居るかもしれない。扉はそっと開けるぞ!」
「サリア待ってて!今行くよ!」
ギルが直行する家の前でストップ!こっそり扉を開けると……。
「なぁサリア。ギルはいつ帰ってくるんじゃ?」
「そろそろっすよ。今日中には着くんじゃないっすかね。」
「サリアー!おなかすいたよー!」
「うけー。」
…………誰!?
知らない人が三人いる!?
「どうやら皆無事の様だな。なら何故霧が広がっていたのだ?……まあいい。何にせよ入らねばな。」
「ぎ、ギル、あの人達は?」
「あの三人の事か。奴らは我らの協力者なのだ。紹介するからここで待っていろ!」
ギルが扉をガチャンと開くと、中から一斉に視線が集まる。僕は隠れて様子見。ぱっと見た感じ……僕と同い年位の子が一人。他にリッチとコットンバードが並んでご飯を食べてる所だ。
「サリア!今帰ったぞ!」
「ギル!お帰りっす!荷物はちゃーんと持って来てくれたっすよね?」
「ああ!今降ろすぞ。」
ギルが机に荷物を降ろすと、サリアは首を傾けていた。
「ギル、ちょっと荷物が少ないっすね。向こうで何かあったんですかね?」
「いや、今回来たのは我だけではないのだ。ストーレに戻った時、応援を頼んできたぞ!」
「応援っすか?一体誰が?」
「さあ!こちらに来てくれ!」
ギルの声に合わせて、僕は扉の前に出る!サリア……久しぶりに会えるんだ!
(お、応援じゃと!?魔物嫌いかの?)
(わかんない!一度隠れよっか!おいで!)
(うけー。)
「サリア!僕だよ!」
「わん!わん!」
「……………あ。」
サリア?
「さ、サリア?どうしたの?」
サリアが立ち上がってこっちに近づいて来る。な、何?
「…………。」
「サリア?何かあった?」
僕の前に立ったサリア。顔を伏せててよく見えない。
「!」
サリアの左腕が僕の前に!?いきなりどうしたの!?ぼ、防御……
「ティム!?ティムっすか!?お久しぶりっすよーーーー!」
「さ、サリアーー!」
「わん!わん!」
「レルも元気そうっすね!前の配信に居なかったから心配してたっすよ!」
サリアが左手で僕の頭を撫でてくれた。あったかいなぁ。右手はレルの体を触ってる。レルも気持ちよさそうだ!
「いやー!嬉しいっすね!ティム達がいれば百人力っすよ!ギル、呼んでくれてありがとうっす!」
「フン。我を甘く見てもらっては困る。他にも連れてきたぞ!」
「他にも?誰が来てくれたんですか?」
「……丁度来たな。」
すぐそこから足音が聞こえる。ラルフさん達が追いついたんだ!
「先生!ギル!速いって!」
「か、かめー……。」
「全く、お前が適当に走るから遅れたんだろうが……。」
「おや、ここがサリアの居る所ですか。お久しぶりですね。」
入り口から顔を出す四人。それを見たサリアは呆然としていた。
「……えーっと、これは一体どういう事っすか?」
「中で話そう!貴様達も入れ!」
「なるほど、ギルが皆に交渉してくれたっすか。確かにあーし達だけじゃ足りなくなるっすからね。」
「人が足りず、レベルも不安だ。ならティムを当たるのが一番良い。ティムの知り合いなら腕も信用出来る。何より我らと同じ位に強いテイマーなど、他に思いつかないからな。」
「サリア、もう大丈夫だよ!僕達が一緒なんだもん!」
僕とレルはサリアの隣で話を聞いている。そうだ、僕達は強いんだ!だからサリアも、この街の人達も、必ず助けてみせるぞ!
「ええ!期待してるっすよ!で……。」
「何だよサリア!俺達に任せろって!な、タルト!」
「かめー!」
「いえ、アンタ達の事じゃ無いっす。あーしが気になるのはそっちの人。……アンタはティムの配信にいた人っすよね。」
「……私か。」
サリアが僕の手を引っ張って、足に乗せた。
……カズハさんの事じーっと見てる。
「私はカズハ。配信を見たなら分かると思うが、私は狩人でね。先日の依頼ではティムに大変お世話になったよ。」
「……それはそれはお疲れ様っす。」
「で、君が……。」
サリアの視線を気にせず話すカズハさん。こうやって見るとやっぱり格好いいなー。いやいや!まずはサリアを紹介しよう!
「はい!彼女がサリアさんです!僕と同じテイマーで、とっても強い冒険者なんです!」
「もー!ティムは真面目っすね!あーしの事は呼び捨てで良いんですよ!」
「だ、駄目だよサリア!はじめの紹介はちゃんとしなきゃ……髪わしゃわしゃしないでよ!?」
「久しぶりっすからね。髪がつやつやで可愛いっすねー。」
「サリア!?もう!」
明るく振る舞うサリア。髪を触る彼女を見てたら僕も元気が湧いてきたぞ!
「そっちはマイラっすね。アンタも手伝ってくれるんですか?」
「もちろん。手を貸しますよ。」
「ありがとうっす!これだけ戦力が揃えばいけるっすかね……。」
揃えば……そうだ、サリアと一緒にご飯食べてた人達の事を聞こう。きっと協力する事になるから早めに!
「サリア。さっき中を覗いた時、他の人もいたよね。僕達にも紹介して欲しいな。」
「ええ。って隠れたっすね。皆出て来て良いっすよ!」
「ほうほう。よかろう、姿を見せてやろう!」
「ふっふっふ……僕の姿も見せてあげよう!」
「うけー。」
さっきの声が聞こえる!早く挨拶したいな!
「どれ、ちょっと失礼!」
「自己紹介はしないとね!外はちょっと暗いけど……明るくやるよ!」
「うけー!」




