出発、霧のかかる街へ
「旨い!おじさんもう一杯!」
「あいよ。食べ過ぎちゃ駄目だよ。」
「ラルフ、少しは落ち着いたらどうだ?一人だけスピードが早いぞ。」
「カズハ!ここの料理本当に旨いよな!ドンドン食べようぜ!」
「話を聞け!」
カインさんから依頼を受けて、僕達は今食事中。以前来た時に配信をした、ストーレ料理店でご飯を食べてるんだ!ラルフさんのスピードに負けないよう、僕もたくさん食べるよ!
「おかわり下さい!」
「あいよ。ねえティム君、初めて来た時サリアに怒られたよね、ギルと一緒に。」
店主さんに一言言われちゃった。そんな事もあった……ううん、無かった!
「気のせいです!」
「だが、食事も程々にしておく事だ。調子を崩しては元も子もない。」
「ギル!僕達が食べ過ぎたみたいに言っちゃ駄目だよ!」
「事実だからな。仕方あるまい。」
「わん!わん!」
反省してます。でもおいしいなぁ!ここでちゃんと食べて明日に備えよう!
「さて、おかわりを頂きます。」
「ほい。マイラさんって言ってたね、よく食べるね。」
「まあ、食べるのは好きでしてね。次は……この野菜炒めを十人分、頂きましょう。」
「……ちゃんと食べれるのかい?」
「ええ。問題ありません。しばらくは徹夜になると思うので、エネルギーを貯めておきたいのです。」
「そうなんだ。はい、どうぞ。」
ガキン、ガキン、ガキン!
「起きろ貴様達!出発するぞ!」
ご飯が終わって僕達はすぐに寝たんだ、でももう朝になったの!?ギルが鎌をぶつけて音を出す、びっくりするからやめてよ!
「うるさい!朝から何だよもう!?」
「かめ!?かー!」
「あ、頭に響くな……。」
「皆、おはようございます。昨日はよく眠れましたね。」
「レルおはよう……マイラさん元気ですね……。」
「…………わふ?」
「犬っころ、お前も早く起きろ!」
「わふ!?わん!」
僕達は手早く食事を済ませてカインさんの所へ直行。するとそこにはたくさんの荷物が用意されていたんだ。
「おはよう皆!できる限りの準備は整えておいたよ!」
「カインさん、ありがとうございます!」
「見事な手際だ。流石はカインだな。」
「君達に頼むんだから、サポートはしっかりとやらないとな!」
それからは荷物を分けて皆で運ぶんだ。マイラさんとギルだけ多い荷物になっている。皆で分けようとしたけど、二人がやってくれるって言うからお任せする事にしたよ!
「後はこれか。この程度の荷物、我に任せれば良い。貴様達は体力を温存しておけ。」
「いえ、残りは私一人で充分です。皆の荷物は少しずつ持ちましたが、貴方の荷物も持ちましょうか?」
「断る。……フン!ではカイン、我らはそろそろ行くぞ。」
「頼むギル。平気とは思うけど、油断はしないようにな!」
「ああ!お前も気をつける事だ。では……行ってくる!」
「行ってらっしゃい!」
出発の時間だ!僕達は門を出る前にカインさんの側へ!
「カインさん、サリアは僕達に任せて下さい!」
「わん!わん!」
「ありがとうティム!サリアを助けてやってくれ!三人も……よろしくお願いします!」
「おう!カインさん、俺達なら大丈夫だぜ!な、タルト!」
「かめー!」
「必ず成功させてみせるさ。皆が居るからね。」
僕達、ラルフさん、タルト、カズハさん!皆で挨拶をしたし、これでよし!
「いってきまーす!カインさんも頑張ってくださいー!」
「ああー!そっちも頑張れよー!」
僕達は歩き出した。目的地は小さな街なんだよね、油断しないように!
「レル、皆でサリアを助けるよ!」
「わん!わん!」
それから歩いて、どれくらい経ったかな?朝早く出て、今は太陽が沈み始めてる。今日中に辿り着ければ一番だけど……。
「見えたぞ、あそこだ!」
ギルが指さした!あそこは……。
「どこに街があるんだ?あの辺霧がかかってて分かんないぞ?」
「ラルフ、話を聞いてないのか?街は霧がかかっていると言っていただろう?」
「そ、そうだったな!ならあの辺りだな!」
「しかし随分広い範囲ですね。予想よりも広がっている、中々大きい街のようですね。」
「……おかしい。」
ギル?何か焦ってない?
「我があそこを出た時には、ここまで広がってはいない!まさか……街の中で何かあったのか!?貴様達、早く行くぞ!」
「お、おい!急に走るなよ!?待てって!」
「かめー!」
「急ごうティム、私達も走るんだ!」
「はい!レルも早く!」
「わん!」
皆で慌てて走り、やがてうっすらと街の入り口が見えてきた!
「あそこだ!待っていろサリア、今行くぞ!」




