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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第九章

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依頼の中身とカインの事情

「君達の事は配信で見てるよ!はい、ここに座って!ギルはどうする?」


「我は立ったままでいい。早く始めてくれ。」


「オッケー。じゃあ皆、今からクエストの説明をするから、よく聞いてね。」


 街役場に入った僕達は、早速依頼について話を聞く事に。カインさんはギルの方を見て、お互いに頷いた後口を開いた。


「かめー……。」


 タルトはおやすみ中かな。後でご飯を食べる時に起こしてあげよう。









「サリアに受けてもらったクエストはこれなんだ。はい。」


「どれ、ちょっと拝見します。」


 マイラさんが受け取った依頼書を皆で眺める。


 場所はここから離れた小さな街。ある日を境に、住んでいる人達が眠れなくなっちゃったんだね。この原因を調べる為に冒険者を探していたんだ。


「なあカインさん、こういうのって冒険者関係あるかな?先生達も村で言ってたけど、病気か何かならやっぱりお医者さんだろ?」


「もちろん。ラルフがそう思うのは当然だよね。でも、こういうのは最初に様子を見てから決めるものかな。

 例えば本当に病気だとして……魔物が原因だったら?悪い奴が関わっていたら?って考えたら、冒険者が対応した方が良いと思ったんだよ。」


「へぇー。」


「はい。」


「えっと、カズハだね。質問かい?」


 手を挙げたのはカズハさん。カインさんはお茶を飲みながら視線を向ける。



「それでは、様子見の結果はどうだったんだ?私達を呼んだんだ、想定外が起こったと考えて間違い無い。」


「我が説明しよう。村では簡単にしか言わなかったからな、確認も兼ねて伝えておくべきか。」


「そうだよギル、ちゃんと教えてよ!そしたらここで準備出来るから!」


「わん!わん!」



 ギルは壁に寄りかかったまま話し始めた……。











「まず我らが街に向かった時、そこには黒い霧が立ち込めていた。街を覆うようにな。そこに入る際、一瞬だが体が重くなった。おそらく侵入者を遠ざける物だろう。」



「く、黒い霧!?」


「ティム、これはまさか!」


「ま、まだ話を聞きましょう!それでギル、街の中は!?」








「ああ、酷い物だった。建物の中が滅茶苦茶に荒らされ、街の外も傷だらけだ。夜になると一層酷くなる。今住民は教会に避難している。まともに住めたものではないな。」


「何か魔物がいたずらしているのかな?それってシャドウプランクじゃない?」


シャドウプランク。こっそりと現れていたずらをしていく、影みたいな魔物。今の話で考えられるのはこの魔物だ。


「我と同じ予想だな。だが、どうも違うようだ。確かに奴らは現れたが、もっと強大な何かが関わっている、今はそう考えている。」


「そ、それは?」


「今はそれを調べている最中だ。大きい魔力が一箇所に留まっているようなのだ。サリアは向こうに滞在中だから、荷物の補充に我が戻っているという訳だ。」


 ギルもコップから水を一杯。ごくんと飲み干すと僕達の方を見た。



「ティム、何か思い当たる事があるようだな。そういえばお前のハイシンしたアースラの映像……あそこにも黒い霧が出ていたな。」


「うん。配信を見たなら、その後も知ってるよね?」


「異形の魔物だろう?お前なら絶対に負けないと思っていたからな、驚きは無かったぞ。」


「その黒い霧、僕達にも関係あるのかな?シュリちゃんが言ってたんだ、最近黒い霧が増えてるって。」


「それは分からんな。何にせよ、その原因を突き止めて対処するのが今回の依頼だ。」









 そうだ、ここで僕の疑問をぶつけてみよう!



「あの!カインさんはここに行く事って出来ないんですよね……。」


「ああ。ごめんよ、今はどうしても外せない事情があるんだ。」


「街の修復は進んでいるようですし……何か他にも?」


「そうなんだ。内緒の理由……いや、ティムはある意味当事者だな。なら教えてもいいかな。」



 か、カインさん?立ち上がって部屋から出ると、一通の手紙を持って戻って来た。



「これが理由さ。」


「これか、何が書いてあるんだ?」


「私にも見せてくれ、中身が気になる。」


「ラルフさん、カズハさん!僕が先ですよ!」


 そこにあったのは……勇者パーティー擁する、グランド王国からの招待状だった。







 [王国会議への出席要請。


 この手紙を受け取った国、街、並びに役場のリーダーは期日までにグランド王国に集まるように。来なければ敵対行為と見なし、王国から部隊を出撃させる。必ず来るように。]










「お、王国会議?」


「何かね、会議をやるらしくて色々な所に手紙を送ってるみたいなんだ。始めはただ行けばいいと思ったけどね。」


「……すまぬカイン、我がしくじったな。まさかこう来るとは……。」


「カインさん、何かトラブルでも!?」


 カインさんはちょっと苦笑い。ギルは頭を伏せていた。もしかして言いがかり!?




「アハハ……ほら、ブラッドゴーレムを誘導して街を襲わせた冒険者が居ただろう?丁度君がカーノンの街を出た頃だね、そこで纏めて王国に突き出したんだよ。」


「……えっ!?あっ、ギル!前グランド王国からの帰りで、その人達の事で考えがあるって言ってたよね!?」


「ああ。王国が勇者の件でゴタゴタしているようだからな、ここで送って一気に勇者を捕らえようとしたのだが……。」



「……そうしたらこの手紙が?」


「参ったね、行ったら首が飛ぶかもしれないや。」




 カインさん、ニコニコしながら言う事じゃ無いと思うけど……。


「お前、奴らが手を出してきたら、真っ向から歯向かうつもりだろう?楽しそうな顔をしているぞ。」


「どうかなギル?でも、俺達の事をゴミだの掃き溜めだのと言ってくれてるからな……お礼をするのもアリかな?あっ心配無いよ、これは皆が外にいる間に街で話し合った事さ。万一の時には、ね。」


 カインさん……。









「さて、ギルから聞いたと思うけど、荷物はこっちで用意してあるよ。君達には明日出発してもらおう!必要な物があれば言ってくれよ!」


「分かった!んじゃ俺達は飯を食べるぜ!行こう先生、レル!」


「わん!?」


「ら、ラルフさん、今ですか!?」


「早く食べて早く寝よう!明日から忙しくなるぞー!皆も早く来いよ!」


 もう!で、でもここにはカズハさんとマイラさんが居るし、何かあったら聞けばいいかな?おなかも空いたし……。



「ま、待ってください!料理店はこっちですよー!」


「わん!わん!」


 料理店の席も取らないと!……カインさんは絶対に大丈夫だ!今はサリアの事を考えなきゃ!
















「行っちゃった……。ティムはいい仲間に会えたようだね。それで、カズハは何か欲しい物は?」


「欲しい物……属性を持った魔物の素材を頂きたい。私は魔力で矢を作るんだが、弓を調整するのに使えればと思ってね。」


「うん!こっちで用意するよ!で、貴方は……マイラさん?」


「私は結構です。迷惑をかける訳にはいきませんからね。先に食事に行かせてもらいますよ。」


「フン、では我も行こう。カイン、お前は王国会議か……気をつけろよ。」


「任せろって!俺はこの街のリーダーだからね!」


「では、続きは明日だ。さらばだ!」


「うん!楽しんで来なよ!」












「頼むよ皆……サリアを助けてやってくれ……!」

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