少年テイマー、リーダーと再会する
「貴様達、目を開けろ。着いたぞ。」
「うん。……うん!レル、着いたよー!」
「わん!わん!」
「え、もう?早くね?」
「かめ?」
「驚いたな、こんな移動方法があるなんてね。」
僕達が目を開けると、そこにはストーレの街が見えていた。僕はサリア達と一度来たけど、ラルフさんとカズハさんはきょとんとしていた。
一方マイラさんは、水晶を見て目を輝かせている。長い距離を移動できる道具……珍しいからだよね、僕も欲しいなぁ。
「珍しいですね。転移用の道具はかなりの貴重品です。これを手に入れるのは大変だったでしょう。」
「まあな。では入ろう。街の者にも話を通してある。まずはカインの所だな。」
うん、まずは街に!でも……
「そういえばギル、カインさんの外せない用事って?」
「本人に聞く事だな。だが何やら険しい顔をしていた。あまり良い内容では無いかもしれないぞ。」
「そうなの?」
「ティム。話は後だ、今は足を動かそう。」
「は、はい。カズハさん、よろしくお願いします。……あれ、ラルフさんは?」
「よーっし!あの街なんだろ?俺に続けー!」
「かーめー!」
ラルフさんは先の方に居た。腕を上げながらどんどん進んで行く、僕達も少しペースを上げよう!
「行くよレル!カズハさんも!」
「わん!」
「お、おいティム、ラルフ!全く……!」
「フフッ、ラルフ達は元気ですね。私達も見習わなければ。」
「空元気でなければ良いがな。奴がついて来れるか、一応気をつけてやらねばな。ティムとカズハは心配無いだろうが。」
「では、私達も急ぎましょうか。」
「……フン!」
そして着いた入り口。見えたのは作業をする人達だ!壁はだいぶ直ってきてる、門もほぼ完璧だ!
「で、でかいな。ここがストーレの街か!」
「凄いや、門に外壁も修復が進んでる!」
「我が手伝っているのだ、当然だろう。まだ未完成だがな。……帰って来たぞ!門を開けてくれ!」
ギルの呼びかけですぐに門が動き出す。来る事が分かってたから、すごくスムーズだ。そして門が空くと……一人の男性が姿を現した!
青い髪の男の人。久しぶりに会えたこの人はカインさん!この街のリーダーで、元Aランクの冒険者さんだ!
「おかえりギル!俺達で荷物の手配はやっておいたよ!そちらはお客さんかな?」
「ああ!強い奴らを連れて来た、一緒にサリアの所に向かう予定だ。」
「悪い。まさかこんなに難しい依頼とは思わなかったんだ。二人の受ける依頼を取り上げて、このザマじゃあね……。」
「何が起こるか分からないのが冒険者だ、仕方あるまい。」
「そうだね……。と、とにかくこの人達を中に!ようこそストーレの街へ!」
カインさんは両手を広げて僕達の前に現れる。一応元気そうに振る舞ってるけど、疲れた顔をしている……もしかして、ギルの言っていた事情が?
「何も無い街だけど、入って入って!歓迎するよ!……ああ!君は!」
「カインさん、お久しぶりです!」
「わん!わん!」
僕が挨拶すると、カインさんが近づき……僕の手をギューッと握ってくれた。レルの頭も撫でて、気持ち良さそう!
「ティム、レル!久しぶりだね!俺達で今復興作業を続けているんだ。結構直ってきたから、もし完了したら君がクエストを受けられるよう準備出来るよ!」
「ありがとうございます!今回はサリアの事で来たんです。ギルから話は聞いています!」
「ティムが手伝ってくれるんだな!これは心強い!それでは後ろの二人は、君の知り合いかな?」
「はい、こちらがラルフさんとタルト、あちらはカズハさん、マイラさんです!」
「…………。」
「ラルフさん?」
ラルフさん、口を開けて全く動かない。あっ、体がぷるぷる震えてる。
「…………ぇ。」
「ど、どうした君!?」
「凄ぇ!カインさんだ!超有名人、伝説の冒険者だぞ!ここに居たのか、サインください!」
「さ、サイン?分かった、書くもの貸して!」
「ラルフさん!?先に街に入りますよ!カズハさんも……」
「あ、そ、そうだな。うん。早く入ろう。」
カズハさんの手には小さい板が…………
…………………………。
カインさんは冒険者の憧れ、同じ反応になるのは当然だよね。……そうだよ僕もサイン貰えるんだ!
「それならカインさん!僕もサイン下さい!」
「わふ!?」
「貴様らそんな事をしている場合では無いだろう!?」
「まあまあ。かかる時間はほんの少しだけです、むしろ緊張が解けていいではありませんか。」
「くっ……。」
「終わりましたね。では、話を聞きましょうか。役場まで案内をお願いします。」
「ああ!こっちだよ!」
サインを貰った僕達はカインさんに連れられ街役場に。どんな依頼か教えてもらって、それとカインさんの事情も聞いておこう。
サリア達の下に行けない理由……リーダーの仕事が忙しいから、かなぁ……。




