出発進行!再びのストーレへ!
「ラルフさんも、ですか?」
「ほら!俺達強くなったし、何か役に立てないかなって思ったんだ!な、タルト?」
「かめー!」
「随分自信があるようだな。」
ラルフさんとタルトは二人とも自信満々。一緒に来てくれれば……
「好きにするといい。だが守ってやれるとは限らない、自分の身は自分で守る事だ。」
「おう!そうこなくっちゃ!」
「後は……ティム、お前の知り合いに強い冒険者は居ないか?」
「知り合い?うーん……」
ロットンさんとミーさんはこの場に居ないし、マスターさんの所も居ないし……ラーチャオさんは別れちゃったし……。
「……あっ!」
「居るのか!?」
「カズハさん!今カズハさんが居るよ!」
「カズハ……ハイシンで見たな。中々の弓の使い手だ。今何処に居る?」
「ティム、どうしたんだ?今私を呼んだかい?」
「カズハさん!」
丁度いいタイミングだ!カズハさんは二階の部屋からここに降りてきた!
「何やら取込み中のよ、!」
カズハさん!?階段の一番上にジャンプ、手には弓を構えてる!
「皆下がれ!何でここにギルティスがいるんだ!?」
「カズハさん待って!ギルは僕の友達なんだ!」
「と、友達?」
「いい動きだ。ティムが推すだけの事はありそうだな。」
弓をしまって下に降りるカズハさん。表情が固くなってる……。
「すまないティム。危うく君の友達を撃つ所だったな。」
「何、気にするな。それでカズハ、貴様に頼みたい事があるのだ。今話していたのは、こういう内容だ。」
僕達はカズハさんに説明してると、彼女の顔が段々と笑顔になっていった。
「なるほど、人手が欲しいという訳か。」
「そういう事だ。どうだ、貴様も来てはくれぬか?勿論報酬は用意しよう。」
「そうだな……ティムはこの話、受けるんだろう?」
「はい!」
「なら……考える必要は無いかな。私も行こう!いい経験になるだろうからね。」
やった、カズハさんも来てくれるんだ!皆で行けばそれだけ余裕ができるぞ!
「カズハ即決だな!……待って、俺は?報酬って無いの?」
「ラルフ、貴様は勝手についてくるのだろう?」
「いや、まあそうだけどさぁ……。ちょっと俺も欲しいかな。」
「ならハイシンを撮っておけ。貴様も配信者だろう?その映像で判断する。」
「おう!俺の力をちゃーんとアピールして、この事件を解決してやるぜ!」
そうと決まれば早速準備だ!僕達は自分の家に戻って荷物を用意するんだ!
「レルー!僕の方は準備出来たよ!レルはどう?」
「わん!わん!」
「うん!そろそろ行こう!」
「わふー!」
それから大急ぎで準備を進めて、用意ができた頃にはもう夕方。僕は背中に荷物を背負って、もう一度リースさんのお家に向かう事にした。
「皆さん!お待たせしました!」
「先生!こっちも準備完了だぜ!」
「かめ!」
「私も終わっているよ。しかしもう行くんだね。目的地までは遠いが、何か考えがあるのか?」
ラルフさん、タルトとカズハさんも外で待っている。後は二人だけだ!
「ギル達はストーレの街から依頼先に向かってますから、最初にストーレに行くと思います。」
「俺、ストーレの街に行くの初めてだな。そうだ先生!前先生が配信してた料理店あるだろ?あそこで夜食べようぜ!」
「いいですね、皆で食べましょう!」
「ティム、準備が出来たようだな!」
別の家からギルが歩いて来る、ギルは手ぶらかな、荷物はほとんど無さそう!
「我はストーレで荷物を揃えてある。準備が出来たなら、早速出発するぞ!」
ギルの呼びかけ、このタイミングでリースさんの家の扉も開いた。中から出てきたのはマイラさん達だ。
「この時間に出るのですね。もうすぐ夜になる、歩くのは危険ですよ。それとも何か考えが?」
「心配は不要だ。これを使えばすぐに到着する。」
ギルが出したのは転移用の水晶だ!これを使えばすぐストーレに行ける!
「人数はこれで良いな。リース!この六人を借りていくぞ!」
「はい!皆さん気をつけて、いってらっしゃい!」
「リース。困った事があればサキとびー君を頼ってください。必ず力になってくれます。」
「マイラさん、分かってますよ!サキさん、びー君、よろしくお願いします!」
リースさんがサキさん達と手を繋ぐと、二人は何だか顔が赤くなる。ちょっと照れてるんだ。
「が、頑張ります!」
「びー!びー!」
「ティム兄貴!俺達も居るから安心して行ってきてくれ!」
「リース姉貴達は俺達に任せて、そっちは頼みますぜ!」
「モブロウさん、モブスケさん!お願いします!」
モブロウさん達も居るから絶対に大丈夫。じゃあ……出発しよう!
「では、今から転移水晶を使うぞ。我の体を触れ!」
「うん!お願いギル!レルも!」
「わん!わん!」
「では私も。」
僕はギルの手を握り、レルは体に触り、マイラさんは頭に手を乗せる。
「…………貴様達も早くしろ。転移が始まるぞ?」
「お、おう!行こうタルト!」
「かめー!」
「私は……ここを掴むか。」
それぞれ適当な場所を触ると、ギルの周りが光り始めた!
「では、飛ぶぞ!」
僕達は目を閉じて転移のタイミングを待つ。……サリア、待っててね!もうすぐ行くから!
◇◇◇
ピシュン。
「き、消えた!?リース姉貴、皆は本当に移動したのか!?」
「た、たぶん。では、私達もご飯にしましょう!皆の活躍は、配信で確認して応援です!今できるのはおいしいご飯を食べる事、これも立派なお仕事ですよ!」
「分かった。よーし、飯だ飯だ!明日からの畑仕事は俺達に任せてくれよ!」
「はい、お願いします!私も頑張りますよー!」
「あれ、サキさん、どうしたんですかい?」
「も、モブスケさん。あの……私ちょっと家に戻りたくて。荷物の確認を……。」
「了解です!リース姉貴達には言っておきますから、早めに来てくださいよ!」
「ありがとうございます。」
「びー!びー!」
「びー君、こっちですぜ!さあ!」
「…………。」
「はい……。テイマーの力、やはり凄まじい物です。あれだけの力なら、やはり必要かと……。」
「…………。」
「分かりました。引き続き監視を続けます。では……。」
ピッ。
「ティム様……どうか、無事に戻って来て下さい……。」




