友人との再会 近況と……新たなる依頼!
今回から、第六章終盤で少し触れた、サリア達の依頼に踏み込む予定になります。よろしくお願いします。
僕達はモブスケさんの悲鳴が聞こえた場所まで走る!魔物が来たのかな……よし着いた!
「モブスケさんどうしました!?」
「ティム兄貴、あの人ですぜ!」
「えっ?あの人……ああ!?」
見つけたのは門の前に寄りかかる男の人。スーツを着ている人だ。
「あれって……。」
「先生どうした!?」
「かめー!」
「ラルフさん、タルト!ちょっと行ってきます!」
僕は門に走る。だってあそこに居るのは!
「やっぱりだ!久しぶり、ギル!」
「ウム。久しぶりだな、ティム!」
見つけたのは……サリアのパートナー、ギル!久しぶりだなぁ!ずっと会ってなかったから、色々話したい事もあるんだ!
「でも、どうしたの?サリアは一緒じゃない?」
「……その事について話があるのだ。一度家に入りたい、頼めるか?」
「分かった、ちょっと待ってて!」
一度家に戻ってリースさんに事情を説明すると、彼女は喜んでギルを中に入れてくれた。飲み物を出して、皆で話を聞くことになったんだ。
「どうぞ!果物のジュースになります。」
「感謝する。丁度喉が乾いていたからな。」
「それでギル、話は?」
「その前に……貴様どういうつもりだ?」
「おや、気づきましたか?」
壁に寄りかかるマイラさんと、椅子に座るギル。二人がお互いに魔力で威圧している……。
「以前はすぐに帰りましたよね。無いとは思いますが……万一彼女に手を出したら消し飛ばしますよ?」
「ティムの恩人にそのような事をする訳が無かろう。貴様こそ……口の聞き方に気をつけた方がいい。」
あっ、魔力が消えた。
「冗談ですよ。それでは話を聞かせて下さい。」
「ヘルキマイラ……マイラと言ったか。貴様が居ればこの村は問題無さそうだ。これで我の頼み事も安心して出せるな。」
「それで?サリアは居ないの?」
「ああ。奴は今依頼である街に滞在している。我は物資調達の為に一度戻って来たのだ。」
ジュースを飲み、水を入れ直すギル。二人で長期戦なんて、珍しいなぁ。
「結構大変なんだね。」
「まあな。それと……ティム、お前の活躍を見させてもらったぞ!カーノンの街、地竜の国アースラ。配信者として順調に実績を積んでいるようだ、サリアも喜んでいたぞ!」
「ありがとう!テイマーは強いんだもん、この調子でどんどんアピールしていくよ!」
ホッとしたかのように、一瞬ギルの目が優しくなる。そしてすぐに真面目な顔に戻り、話を続けた。
「では、本題に入ろう。ティム……我らの依頼を手伝ってはくれないか?」
「……え?」
「わん?」
「犬っころ、お前もだ。この依頼、我らだけでは手に負えない可能性が出てきたのだ。」
…………二人でも難しい依頼!?
「ギル、それって何の依頼なの!?」
「ある街で起こった、人が眠れなくなる異変だ。街の者達は皆弱って来ている。早めに解決をしたいのだが……どうも一筋縄ではいかないようだ。」
「眠れなくなるの?それってお医者さんじゃないの?」
「我もそう思ったが……実際に調べたらそれどころでは無かったのだ。」
「それなら、ストーレの街で冒険者さんを探した?カインさん達なら!」
僕はまず、サリア達の住む街のリーダー、カインさんに頼るよう提案した。あの人は超凄腕のAランク冒険者。今は引退してるけど僕達なんかよりもずっと上にいる!
「奴は駄目だ。事情があるらしい。それも外せぬ事情だ。」
「そうなの!?じゃあ」
「他の奴も駄目だ、レベルについて行けない。お前ならと思ったのだが……。」
「ギルにここまで言わせるなんて……相当危険な依頼なんだね。」
「無論一人なら他愛も無い、と言いたい所だが今回は厳しい。とにかく今は数が必要だ。」
しばらくの沈黙。でも返事は決まっていた。二人でキツいなら、僕達が協力しなきゃ!
「どうだティム、頼めそうか?」
「うん、僕は大丈夫だよ!レルはどう?」
「わん!わん!」
「レルもいける。ギル、これでいいかな?」
「すまない、恩に着る!」
僕は席を立つ。まずは自分の家に行って道具の用意!の前に水を一杯おかわり……。
「……何か言いたいのか?」
ギルが目を向けると、マイラさんは手を挙げた状態。質問しようとしてたんだね。
「マイラさん?」
「ふむ。貴方達でも厳しいとは……ではどうです?私を連れて行っては?」
「確かにな。貴様は強い、だがここはどうする?ティムの初めてハイシンしたダンジョンは近い……魔物もそれなりの強さだ。見張りは必要ではないか?」
「なるほど……では私は待機しておきますか。」
マイラさんが来れば戦力になりそうだけど、ギルの意見もその通りだ。魔物の事も心配だし……。
「は、はい!」
「何だ貴様……そうか、貴様サキュバスか……!」
「わ、私が留守を預かります!びー君も一緒に!」
「びー!びー!」
サキさん、びー君!?
「ほ、本当に良いんですか?」
「はい!ここは私に任せて下さい!私の炎で、この村を守ります!」
「……どうだティム?我の考えでは奴に任せても良いと思うが。配信での動きも悪く無い。種族的にも問題無いだろう。」
「そうだよね……サキさん、本当に一人で大丈夫ですか?」
「一人ではありません!びー君も、村の皆も一緒です!」
…………よし!サキさんが強いのは知ってるし、びー君もパワーアップしたんだ!二人なら絶対に大丈夫だ!
「ではサキさん、お留守番をお願いします!」
「ティム様、お任せ下さい!」
サキさん達に村をお願いして、僕はマイラさんの方を向く。彼女……彼……?マイラさんは指をパキパキ鳴らしながら体をほぐしていた。
「マイラさん、一緒にお願いします!」
「ええ。存分に暴れてやりましょう。期待してくださいね。」
「決まったな。早めに戻りたい、支度が出来次第教えてくれ。」
「うん!ギルもよろしくね!」
「お前が居てくれれば百人力だ。ティム、よろしく頼む!」
ここしばらくの間、休憩も訓練もやってきたから体は万全だ!今からでもいけるよ!
「はーい!はい!はい!」
「貴様はラルクだな。どうした?」
「ラルフ。」
ラルフさん?何か慌てた顔してるけど、どうしたのかな。
「ラルフ。何か用があるのか?」
「その依頼ってさ……。」
「俺達も一緒に行っていいかな?」
「かめー!」




