少年テイマー、再会と休息と……
「へぇ。そんな事があったんだな。」
「ああ。色々と大変だったが、何とか成功して良かったよ。」
僕とカズハさんはリースさんとラルフさんに、今回の事を色々話している。ラーチャオさんやシュリちゃんと会った事、神殿を調査した事、そしてヨツバソウを手に入れた事!
「なあ先生、ラーチャオは居ないみたいだけど、どうしたんだ?」
「はい。ラーチャオさんは一度帰りました。防具を新調するみたいです。」
「そっかあ。配信での動きが凄かったから、一度話を聞きたかったんだけどな。」
「それで、ラルフさんは何をしてましたか?」
ラルフさんはジュースを飲みながら話をしてくれた。僕も一杯飲んで、のんびりと話を聞いているんだ。
「俺は先生に言った通り、しばらく休養してたんだよ。畑仕事をやったり、皆で日なたぼっこしたりだな。意外と気持ちいいから、先生も一緒にやろうぜ!」
「本当ですか!?是非一緒に!」
「わん!わん!」
「あれ、どうしたのレル?」
「わん!わん!がうー!」
「えっ?」
レルが足元に来たかと思ったら、サキさんの方を見てじっと睨みつけてる?
「グルルル……グガァァ!」
「ひゃっ!?」
「レル!駄目だよそんな事しちゃ!」
「わん!?わ、わん!わん!」
「えっ?サキさんがそんな事を!?」
「わん!わん!」
……僕はサキさんの方に歩いて、彼女に一つ、確認をする事にした。
「サキさん。ちょっとお聞きしたい事が……。」
「あ、あの!ごめんなさい!」
「さ、サキさん?」
「私、レルちゃんが可愛くて、その……私の持っていたお菓子をあげたんです。そうしたら次の日におなかを壊しちゃったみたいで……。」
「あっ……。」
レルの調子が悪かったのはそれだ!レルが怒るのもしょうがないや……。
「サキさん。どんなお菓子をあげたんですか?」
「そ、その。前に露店で買った飴を……。」
「な、なるほど。サキさん、レルに今度おやつをあげる時は、一度僕に声を掛けて下さい。レルの苦手な物とか、体に合わない物があるかもしれないので……。」
「も、申し訳ありません……。」
ペコリと頭を下げるサキさん。レルがかわいいのは分かるから、今度は僕を通しておやつをあげて欲しいなぁ。
「レル、サキさんに悪気は無かったから、今回は、ね?」
「わふ!?……わ、わん!わん!」
「え、えっ?」
「わふー?」
「ごめんなさい!次は気をつけます!」
「わふー!」
うーん!サキさんと仲直りしたレルを見てたら、何だかおなかが減ってきちゃった!
「リースさん!僕ごはん作ってきますね!」
「ティムさん、お料理なら私がやりますよ!?」
「いやいや、皆疲れてるでしょう。ここは私が引き受けましょう。」
マイラさんが椅子から立って、すぐに包丁を持ってくる。久しぶりの料理……楽しみだなぁ!
「にしても先生凄いよな!アースラの冒険者達って皆一人前の人達だろ?ちゃんと協力して動けてたし、指示も出してたもんな。流石先生だ!」
「ありがとうございます!」
「俺達も頑張らなきゃな!」
俺達……あれ、タルトが居ない?何かあったのかな?
「そういえばラルフさん、タルトは今どこに?」
「今は寝てるんだ。日なたぼっこが気持ちいいみたいで、最近ずっと日に当たってるんだよ。」
「楽しそうですね!レル、僕達も一緒にやろう!」
「わん!わん!」
「よし!行こうぜ!」
「皆さん!行ってきますー!」
僕はレルとラルフさんと一緒に外に飛び出した!早くタルトの顔も見たいなー!
「かめ?かー!かー!」
「居た!ただいまタルト!帰って来たよ!」
「かー!かめー!」
「うん!一緒に日なたぼっこだ!」
◇◇◇
「フフッ。」
「カズハさん?」
「いや、ティムはいい仲間が居るなと思ってね。リース、マイラ。君達はどうかな?彼らと居て楽しいかい?」
「もちろんです!私、ティムさん達に会えてから、毎日がずっと楽しいんです!」
「同感ですね。彼らの活躍を見ると、何だか嬉しくなりますよ。」
「そうか。羨ましいな。」
「あの、何か悩み事でも?」
「サキ……いや、私の故郷の事を思い出してね。」
「故郷ですか?」
「うん。」
「話したくなったら言って下さい。私達でも聞く事は出来ますから。」
「ありがとうマイラ。……アイツは今、どうしているんだろうな。」
◇◇◇
「そこだっ!」
「タルト、頼む!」
「かめー!」
「わん!わん!」
帰って来てからもう一週間!僕達は今特訓中、ラルフさんの剣を躱しながら、ブレードを叩き込む!
「かー!」
「しまった!?」
タルトが割って入った!?こ、甲羅でのガードだ。タルト、強くなってるんだ!
「かめー!」
「ガゥゥゥ!」
タルトに体当たりして吹き飛ばすレル。ここで僕はラルフさんに狙いを定めた。
「行きます!とりゃぁぁぁ!」
「こっちも行くぜ!ブレイブアタック!」
剣に魔力を纏わせ突進するラルフさん。……速い!ラルフさんも前より強くなってる!
でも!
「はぁぁぁぁぁぁ!」
僕はブレードを一気に振り下ろす!狙いはラルフさんの足元!
「とわっ!?」
宙に浮いたラルフさんをキックで蹴りつける。ラルフさんは……空中で姿勢を変えて着地!
「す、凄い!ラルフさん凄く強くなってますよ!」
「ありがとな先生!マイラに少し鍛えてもらったからかな?あの人強いぞ、先生もどうかな?」
「あ、機会があったら……。」
前の配信でマイラさんと撮った時、僕は動きに追いつけなかった……今はどうだろう?今度もう一度やってみようかな?
「それでは休憩を……。」
「ティム兄貴!?ちょっと来てください!」
えっ!?モブスケさんの声!?入り口の方だ!
「は、はい!」
「俺達も!タルト、頼む!」
「かめー!」
僕達が向かった先には……。




