少年テイマー、別れと再会と
「本当に、本当に感謝しているよ!皆、ありがとう!」
「喜んでもらえて私達も嬉しいよ。では、私達はこれで。」
「しばらくはのんびりして、お父さんに親孝行、だな!頑張れよ!」
「はい!助けて頂いて、ありがとうございます!」
僕達は門の前に立ち、マスターさんと息子さんに見送られる事になった。依頼も達成したし、一度村に帰らなきゃ!
「皆さーん!待ってくださーい!」
「受付さん!?何かあったんですか?」
街を出る直前、遠くから声が!受付さんが走って来たんだ!
「ハァ、ハァ……いいえ!お礼を言いに来たんです!この度はマスターの依頼を引き受けて下さって、ありがとうございます!」
「おう!ちゃーんと報酬ももらったし、思い出も出来て言う事無しっしょ!」
「君達もこれから大変だぞ?マスターを支える大仕事だ、お互いに頑張ろう!」
「はい!それとティムさん、本当にごめんなさい。私達、貴方の事を……。」
「マスターさんからも聞きましたし、大丈夫です!でもテイマーは凄いんです!パートナーと協力すれば色んな事が出来るんですよ!」
「はい。今回の件でちゃんと学びました……。反省してます……。」
隙を見てテイマーのアピールを。ちょっと強引だけど、今回の事でテイマーは凄いって事を伝えられたんだ、この調子だ!
「じゃあな!皆頑張れよ!」
「また機会があれば、その時は頼むよ。」
「あ、ありがとうございました!」
「び、びー!」
「お世話になりました!では、ここで失礼します!」
僕達は一歩すつ進んで行く。今回の経験で、僕はもーっと大きくなったぞー!
「行ってしまいましたね……。」
「彼らに緊急クエストを任せて本当に良かった。私達も強くならねばな。」
「はい!皆でこの街を盛り上げましょう!そして、彼らに恩返しをするんです!私は受付としてサポートします!」
「これからが大変だ、早速考えなければ!」
「と、父さん!?腕引っ張らないでよー!」
◇◇◇
それから草原を歩く僕達。今は村に向かって歩いてるんだ。でも、ラーチャオさんとはここでお別れ。依頼を受けて、防具の新調を考えてるみたいなんだ。そしてもう一つの目的は……
「んじゃ、俺はここで行くわ!」
「ラーチャオさん、本当にありがとうございました!」
「本当に良いのか?」
「ああ!俺の行く先には、かわいい女の子が待っているっしょ!」
そう、女の子に人気になる事!ラーチャオさんと気の合う人がいるかな……?胸を張って話すラーチャオさんをカズハさんは、寂しそうな顔をして眺めていた。
「その為には今より上に行かないとな。最もラーチャオなら心配無いだろう。」
「そりゃそうよ!俺は強いから、すぐに二人を追い越してやるし!」
「……頑張れ。応援してるよ。」
カズハさん!
「お……おお!?カズハっち!?」
「ほら、さっさと行け!私はお前よりも上に行くからな!」
「ああ!じゃあ二人とも、またな!」
「はい!」
「……またな。」
ラーチャオさんはびー君とサキさんにも顔を向ける。
「二人もありがとな!って事で、また一緒になったら、その時はヨロシクー!」
「びー!びー!」
「ラーチャオさん、ありがとうございました!」
「さあ、俺の冒険はこれからだしー!」
ラーチャオさんは走っていっちゃった。……格好いい人だったなあ。あんな風に僕もなるんだ!
「それでは、カズハさんもティム様と一緒に?」
「ああ。せっかく一緒になったんだ。ティムの住む村を見学したいと思ってね。」
「村はこっちです!リースさんもラルフさん……えっと、村長さんと、友達の冒険者さん達も喜びますよ!」
「楽しみだな。君の友達に早く会ってみたいよ。」
「びー!」
僕達は道を進む。このまま帰り道を歩いて行って……
「着きました!あそこです!」
「見たところ小さい村のようだ。君はここに住んでいるんだね。」
「はい!入り口はこっちですよ!」
目の前にはリースさんの村が!中を見ると、女性と男性二人が畑を耕している!
「僕は声を掛けてきます!ちょっと待ってて下さい!」
「分かった。早めに頼むよ。」
「びー君突撃だー!サキさんも!」
「びー!」
「わ、私も着いていきますー!」
僕達三人で入り口に走る。その音で、村の三人がこっちに気づいた!
「あ、兄貴、姉貴!ティムの兄貴が帰って来ましたぜ!」
「本当か!?久しぶりだな!」
「おお、帰って来ましたね!」
「皆さんー!ただいま戻りましたー!」
最初に気づいたのは、モブスケさん、モブロウさん、そしてマイラさん!皆元気そうで良かったよ!
「お疲れ様。疲れたでしょう、何か飲みますか?」
「はい!でもその前に紹介したい人がいるんです!リースさんとラルフさんをお願いします!」
「分かりました。ここで待っていて下さい。」
「わっ!?」
マイラさんの前に風が起きたと思ったら、もうリースさんのお家の前に移動していた。一瞬で移動するなんて、やっぱり凄い!
「ティム兄貴!俺達は畑の世話をちゃんとやっておいたぜ!」
「いやいや、俺の方が頑張ったんですぜ!ティム兄貴、褒めてください!」
「ありがとうございます!リースさんも喜んでますよ!」
「ティムさーん!」
「先生ー!」
二人の声も聞こえてきた。そろそろだ!
「カズハさん、こちらに!皆に紹介します!」
「分かった。な、何だか緊張するな……。」
カズハさんを村の中に案内すると、いいタイミングで二人も来てくれた!リースさんとラルフさんだ!
「リースさん、ラルフさん!ただいま戻りました!」
「ティムさん、おかえりなさい!」
「おかえり先生!配信バッチリ見てたからな!色々話聞かせてくれよ!」
「はい、でもまずはこの人を紹介しますね。カズハさん、お願いします!」
「ああ。私は」
「わん!わん!」
「わん?」
この声は……この声は!
「わん!わん!わふー!」
「れ……レル!レルだ!レルー!ここだよー!」
「わん!わん!」
家から走って来るブレードウルフ……そう、この子は!
「レルー!会いたかったよー!どうだった?ちゃんと運動した?ごはん食べ過ぎてない?」
「わん!わん!」
「良かったー!久しぶりにもふもふさせて!」
「わふー!」
ああ……久しぶりのレルだ!元気そうだ!おなか痛いのも治ったみたい、これで安心だね!
「もふもふー!」
「わん!」
「もふもふー!」
今日は久しぶりにレルとご飯だ!楽しみだなー!
「あ、あの……私は……。」
「カズハさん、ですよね?ティムさんの事、ありがとうございます!是非こちらに!色々話を聞かせてくれませんか?」
「は、はい……。」




