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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第九章

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冒険者一行、薬を作る

「頼む!息子を助けてやってくれ!」


「ああ、入るぞ!」


 マスターさんの家に着いた僕達。息子さんはベッドの上で寝ているんだ、早く起こさないと!


「カズハっち、ヨツバソウはどうやって薬にすんのよ?」


「これを使うんだ。」


「馬車?」


「ああ。私が寝坊したあの時だ、シュリから薬の作り方を聞いていたんだよ。専門じゃ無いからいくつか手順を踏むが、メモ通りにやれば大丈夫さ。」


 馬車から出したのはお鍋にポーションだ!シュリちゃんが使ったのと同じ物みたい。


「ティムはここに湯を沸かしてくれ。ラーチャオはポーションをメモの通りに混ぜるんだ。」


「任せろし!それ位なら俺でも出来るもんな!」


 台所を借りて急いで準備だ。僕は机をどかして、床にドンと鍋を置く。ここにお湯を注いで……。





「ほい出来た、分量は間違い無いっしょ!」


「次はその中に入れてくれ。サキは加熱を頼む!」


「はい!ファイアブラスト!」


 ポーションとヨツバソウを中に入れ、それからはラーチャオさんと僕で鍋をかき混ぜる。サキさんは横から魔法で鍋を温めるんだ。


 後は重い棒を使って混ぜる。……僕達は皆でやってるけど、シュリちゃんは一人で、しかも魔法で薬を作ってたんだ……。








 [別に魔法使いだから打たれ弱い訳じゃねぇぞ!スキルは才能の一端だ。そう、一端に過ぎないんだ。

 他が伸びないって訳じゃない、得意分野がはっきりしてるってだけさ。]







 ふと頭の中に浮かんだ言葉。これはロットンさんの言葉だ。スキル……才能はもちろんだけど、努力しだいで他も伸ばせる。シュリちゃんは魔法使いの才能もあるけど、努力をたくさんしたんだ。だからあんなに凄い薬も作れる……僕も負けられない!




「ラーチャオさん!ここからは全部僕がやります!休んでて下さい!」


「いーや駄目っしょ!無理したら上手く出来ないだろ?こーいうのは皆でやればいいんだし!はい交代!」




 ……焦っちゃった。一人で出来ない事は皆でやればいいんだ。皆を見て、僕も色々学ばないと。うん、僕の事は後回しだ、とにかく今は薬を完璧に作るぞ!


「お、お願いします!」


「任せろし!」













 しばらく鍋をかき混ぜ続けていると、腕が痺れてきた。も、もし一人でやってたら大変だった……。ラーチャオさんもきつそう、そろそろ交代の時間だ!


「は、はい交代!」


「も、もう少しですね……。」


「ああ。だいぶ色も変わってきたな。ここは私が代わろう。」


「カズハっちー!俺もう腕が疲れたし!」


「お前が居てくれて本当に助かるよ。頼りになる。」


「まだまだやれるぜ!疲れたら言ってくれよな!」







 それから鍋をかき混ぜ続けて……







「………出来た!ここで止めてくれ!」


「は、はい!重かった……。」


 僕の番で遂に完成だ!鍋の底には緑色の液体が溜まっている!


「後はこれを取って……これで出来たぞ!」


「おお!出来たのか!?」


「ま、マスターさん!」


 マスターさんが扉を開けると、そこには散らかった台所と、ポーションの容れ物を持ったカズハさんが目に入った。


「出来たぞ!後はこれを飲ませてやるんだ!」


「分かった!すぐに頼む!」


「ティムっち行くぜ!」


「はい!」







「さあ、飲んでくれ……!」


 マスターさんが息子さんの口を開いて、そっと薬を流し込む。


「作り方通りだ、大丈夫とは思うが……。」


「絶対に平気っしょ!だってシュリっちの作り方で、俺達が作ったんだし!」


「落ち着いて、もう少し待ちましょう。」











「う、うう。」


「おお!?」


 マスターさんの声で一斉に振り向くと……息子さんが声を出したんだ!


「う、ここは……?」


「起きたのか!?本当に治ったのか!?」


「と、父さん?」


「うう……うおお……!」


 マスターさんはガバっと息子さんを抱きしめる。息子さんは、あっ。



「父さん!?お客さんだよ!?恥ずかしいよ!」


「うう……良かった、良かった……!」






「私達は邪魔だな、台所で待つとしようか。」


「え!?感動の場面なのに!?」


「台所の掃除をしないとね。それとも……先にお前を掃除しようか?」


「えっ?……怖いし!?何でそうなるんだ!?」


「冗談だよ。せっかくの再会だ、水を差すのは失礼だろう?さあ、行こう!」


 驚くラーチャオさんを連れて僕達は部屋の外に出る。二人が落ち着くまで、掃除をしながら待つ事にしたんだ。















「やあ。待たせてしまってすまないな。」


「マスターさん!息子さんはどうでしたか?」


「ずっと寝ていたせいか、まだ頭がぼーっとするようだが、問題は無さそうだ!」


「良かった良かった!んじゃ、俺達の依頼は!」


「ああ、これで達成だ!」


 マスターさんは嬉しそうな顔をしながら書類を用意する。そこには今回の依頼について書かれていた。


「皆、本当に感謝している。私の息子を助けてくれて、ありがとう、ありがとう……!」


「こちらも達成出来て良かったよ。いい経験も出来たからな。」


「これが今回の報酬になる、受け取ってくれ!」


 用意されたのはゴールドの入った袋。中身は……20万ゴールドだ!


「もともと準備していた金額になる。本当はもっと用意できれば良かったのだが……。」


「いえ!息子さんが元気になって本当に良かったです!」


「ああ、さっきの再会が一番の報酬だよ。」


「そうだぜ!気にすんなし!」


「あの……私達もですか?」


「び?」



 そう、袋はびー君とサキさんの分も用意されていた。



「君達も手伝ってくれたんだ、しっかりと払わせてくれ!それが我々の誠意だ!それとティム。」


「は、はい!」


 マスターさんは僕に向かって頭を下げた。


「この前は本当にすまなかった!王国の噂を真に受けて、君に酷い事をしてしまったんだ……本当に申し訳無い。」


 出てきたのは、僕に対する謝罪の言葉だった。……うん。あの時は凄く辛かったし、まだ怖いと思う自分もいる。でも……


「分かってもらえたなら良かったです。でも今はそんな事より、息子さんの所に居てあげて下さい!色々話もあると思いますから!」


 テイマーの強さを知ってもらえた。それに息子さんも助かった!今はこれでいいよね!




「本当にありがとう……!この恩は忘れない!何かあれば言ってくれ、出来る事なら力になるぞ!」


「ありがとうございます。その時が来たら、よろしくお願いします!」






 そして話が終わってすぐ、ラーチャオさんとカズハさんが僕の側に。


「ティム、今回はありがとう。テイマーの強さ、私達も見させてもらったよ。」


「色々世話になったっしょ!俺、皆と旅が出来て楽しかったし!」


「僕もです!ありがとうございます!」







「んじゃ、ここで。」


「そうだな、これで……。」


「はい。」


 僕達は息を思いっ切り吸って……同じタイミングで声を出したんだ!



「「「依頼終了!お疲れ様でした!」」」

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