空を飛び、依頼主の街へ!
「全然揺れない!凄くリラックス出来るよ!」
「これがワイバーンか。安定した飛行能力……よく鍛え上げられているな。」
「俺も全然酔わないし。こんな空の旅なら大歓迎っしょ!」
僕達は今、ワイバーンに空中を飛んでもらって街に向かっている。遂にヨツバソウが確保出来たんだ、早く帰ってマスターさんに渡さないと!
「そういや向こうのワイバーンは何を運んでるんだ?何か馬車の荷台が見えてるけど。」
「お前は何でここに来たか覚えてないのか?」
「馬車っしょ。ああ!そういう事か!」
もう一人のワイバーンが運んでいる大きな荷台。そこには行きを手伝ってくれた馬さんに乗ってもらっているんだ。中は揺れてないかな?
「ヒヒーン!」
「おい!顔を出すと落ちるぞ!早く中へ入ってくれ!」
「ヒヒーン。」
カズハさんが注意すると、すぐに顔を引っ込める馬さん。その方が安全だよ!
「すう……すう……。」
「び……。」
サキさんとびー君は二人で寄り添ってうとうとしているね。帰るのが急だったし、疲れもまだあるから……。
「着いたら起こすよ。ティムも眠たいだろう?」
「い、いえ!もう少し起きてます!」
「分かった。何かあったら言ってくれ。」
「せっかくだから景色見ようぜ!こんなの滅多に見られないし!」
「お前は行きは酔っていたからな。二人が起きてるなら、私は少し寝ようかな。」
それぞれで空の旅を楽しむ、その間にもワイバーンはどんどんと進んで行くんだ。この調子なら、後ちょっとで到着するぞ!
「ぐおー!」
「ぐおおー!」
「えっ!?皆さん!もうすぐ到着です!」
「ああ!こっちも確認出来てるし!」
「ふう。もう着くのか。意外と早かったな。」
ラーチャオさんが空を指差すと、その先には街が見える。カズハさんも外を覗き、街を確認していた。
「びー君もうすぐ着くよ!サキさんも起きて下さい!」
「び?びー?」
「ふぁー……。おはようございます。」
「もうすぐ到着しますから、準備をお願いします!」
「びー!?」
「えっ!?は、はい!」
僕達は荷物をまとめて着陸の準備。行きはドスンと衝撃があった。今回は……。
そういえばレイクドラゴン君どうしたんだろう?帰る時に顔を見れなかった……今度アースラに行ったらおみやげを持って行こう!きっと喜ぶぞー!
「ぐおー。」
「ぐおおー!」
「皆構えろし!この感じ来るぞ!」
「ああ!しっかり掴まって!」
「はい!」
「びー?」
「びー君はこちらに!」
壁にしっかり手を掛ける。衝撃に備えるんだ。
そして……!
「ぐおー。」
「………終わった?着いたの?」
「ぐおー!」
「……凄い!全く揺れなかった!」
「正確には、少しは揺れたが安全に着陸出来たといった所かな。」
「よし、早く出ようぜ!」
僕達は外に出ると、そこは街の入り口。帰って来た、帰って来たんだ!
「ぐおおー!」
「ヒヒーン。」
「お疲れ様。こっちに来てくれ。」
馬さんも降りてきた!カズハさんが誘導しながら入り口まで歩き、僕も移動。ワイバーンの二人は降りた場所から動かずじっとしている。
「ぐおー?」
「うん!ありがとう!」
「ぐおー。」
「ぐおおー!」
「ティム、何て言ってるんだい?」
「お疲れ様、速かったでしょ?って言っているみたいです!」
僕達は入り口に入る前に、ワイバーンの所へ戻ってお礼をする事にしたんだ。
「ありがとう!おかげでずっと速く着いたよ!」
「助かったし!マジサンキューな!」
「ああ。感謝している、本当に助かったよ。」
「あ、ありがとうございました!」
「びー!びー!」
「「ぐおー!」」
あっ!僕達のお礼を聞いたワイバーンは、すぐに空に飛び上がった。きっとシュリちゃんにこの事を報告するんだよね。
「ぐおー。」
「ぐおおー!」
「ありがとうー!シュリちゃんによろしくねー!」
それから一気に高度を上げ、街から離れていくワイバーン達。あんなに強い仲間が居るなんて……今更だけどアースラって凄い国だったんだな……。
「さ、早く行こうか。依頼主も待っているからね。」
「はい!マスターさんの所へ急ぎましょう!」
早くしなきゃ!まずは門をあ
「この辺りだぞ!?何の音だ!?」
「空からドラゴンが来てたって!?何か起こる前に対処するんだ!」
「避難準備はどうだ!?」
「待って、まだ時間がかかりそうよ!」
「分かった、ここは俺達が何とかする!」
ガタン。
「ぎゃっ!?」
「おわっ!?」
痛っ!いきなり門が開いて……
「き、君達は冒険者か!?」
「貴方達は……この街の冒険者か。すまない、何があったんだ?」
「ああ!空を見てたら急にドラゴンが向かって来てたんだよ!俺達様子を見に来たんだが、見てないかい!?」
「あー……事情を説明するのが先っしょ。」
「そ、そうだな。」
中から来たのは街所属の冒険者さん達。僕達は役場に案内され、事情を聞かれる事になったんだ。
「……という事があったんです。」
「そ、そうなのか?つまり君達はアースラから来た、と。」
「ああ!配信見てない?俺達大活躍したんだぜ!」
「配信?ちょっと待ってくれ、確認するから。誰か魔導パソコンを持って来てくれ!」
しばらく話をした後、冒険者さんはパソコンを確認。すると一気に画面に顔を近づける!
「こ、これは……君達確かに映っているな。しかし凄いな!俺達こういうのはあまり見ないが……中々やるじゃないか!」
「そりゃ俺達Cランクだし?一人前だからな!」
「素晴らしいな。我々はほとんどDランクなんだ。最近昇格した者も多いし、強い奴は皆ここを出て行ってしまってな……。」
そうか、マスターさんが冒険者が居ないって言ってたのはそういう事なんだ……。
「お前達!何かあったのか?」
こ、この声は!
「マスターさん!」
「おお!やはりそうか!ティム、ラーチャオ、カズハ!帰って来たんだな!」
「ああ!ヨツバソウ、ちゃんと確保してきたし!」
「マスター、そちらの様子はどうだ?」
「あ、ああ。医者にも見てもらったが相変わらずだ。た、頼む!こっちに!」
「分かりました!」
僕達はマスターさんの家に向かう。息子さんの様子は変わって無い……やっぱりヨツバソウの力が必要だ!
必ず助けてみせるぞ!僕達なら出来る!




