表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

172/278

閑話 その頃の実家/騎士団長の思惑

次回本編へ戻る予定になります。よろしくお願いします。

「せいっ、はあっ!」


「いいぞ!その調子だ!」


 ここはある人物の自宅前。そこでは少年と男性が二人で剣を打ち合っていた。少年は自分の剣に魔力を込め、果敢に攻めたてる。


「そこだっ!」


「やるな!だが、まだ甘い!」


「なっ!?」


 少年が剣を振り下ろした瞬間、その剣が上に弾き飛ばされる。それを見て呆気にとられた少年が次に見たのは、自分の首元に突きつけられた剣先であった。




「あっ。」


「今日はここまでだな。いやー!持久力が上がってきたな!もう何時間打ち合ったか、忘れてしまったぞ!」


「ありがとうございます!でもまだまだ足りません。俺はもっと強くなって、皆を守れるようになります!」


「その意気だ!でも今日は帰ろう。そろそろ夕飯を作らねばな。」


 剣を下ろし、帰る支度をする二人。すると家から一人の執事がこちらに走って来た。


「旦那様!坊ちゃま!大変です、至急こちらに来て下さい!」


「ど、どうしたんですそんなに慌てて!?」


「坊ちゃま!急いで下さいませ!」


「行こう!何事か確認しなければな!」


「は、はい!」


 三人は家に向かって大急ぎで帰って行った。













 そして到着。執事が走る先にはメイドや料理人、護衛の騎士……ここで働く人達が集まっていた。


「ど、どうしたのだ皆!?」


「旦那様!これをご覧下さい!」


「これ?」


 男性が受け取ったのは平らな機械……魔導パソコン。皆が見ていたのは配信された映像だった。


「ほう。そうか、皆休憩中だったな。という事は何かな?旨い料理の作り方でもあったのか?」


「いえ!と、とにかく早く!」


「ハハ、あまり急かさないでくれ!」


 パソコンを操作し、皆が見ていた配信を確認する。すると……





 ◇◇◇


「ぴゅわー!」


「ピギャァァァァァァァァァ!!????」


「今だ!合わせて!」


「びー!」





「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「びー!びー!」


「突っ込めーーーー!」




「とりゃぁぁぁぁぁぁ![魔技] ヴェノムスパイラル!」


「ピギャァァァァァァァァァ!!!!」








 ◇◇◇




 映し出されたのは、異形の魔物と戦う少年テイマー、ティムの映像だった。それを見た男性は……




「うおおおおお!やったぞー!凄いじゃないかティム!」


「父上!?兄上に何かありましたか!?」


「これを見てみるんだ。ソード、お前も驚くぞ!」



 配信にかじりつく二人。この二人はティムの家族である。父親であり剣聖でもあるガイアと、ティムの弟で剣聖のスキルを持つ少年、ソード。

 二人は配信を最初からチェック。ティムの動きを目で追いかけ、興奮しながらパソコンに話しかけている。


「いいぞ!そこだティム!お前の力は凄いんだぞ!」


「沢山の魔物と、知らない魔物も居ます!それを上手く対処するなんて……流石です兄上!」


「おお、これは以前の配信で見たぞ!魔技という技だな……うん?レルさんはどうしたのだ?あの魔物は?」


 配信の中にレルが居ない事に気づき、首を傾けるガイア。ソードは魔物を指差し、ガイアに話をしている。


「今回はお休みかもしれませんね。ここに居るのはポイズンビーですか。びーさん……きっと兄上の新しい友達ですよ!」


「そのようだな。ティム、お前はどんどん強くなるな!ソードももっと強くなるんだ。お前ならティムを超えられるぞ!」


「はい、任せて下さい!皆を守る、その為に俺は強くなります!」


「私も協力するぞ!まあ、それはそれとして今は休憩だ!皆もくつろいでくれ、今軽食を用意しよう!」


「父上、俺も手伝います!」



 調理場に立つ二人。自分の家族が活躍する様子を胸に刻み、修行と休憩に力を入れるのだった。



「兄上……俺は必ず兄上を超えてみせます!待っていて下さい!」










「旦那様!お手紙が届いています!」


「手紙か。分かった、これが終わったらすぐに行こう!誰からの手紙か……楽しみだな!」
























 ◇◇◇


「クソッ、しくじっただと!?……分かった。持ち場に戻れ、いいな?」


 場所が変わって、ここはグランド王国。騎士達の特訓が終わり、一人の女性が騎士団長の部屋で激昂していた。


「ロストガルーダの卵を回収する手筈が……全て台無しになった、という事か……。」


 緑色の髪を揺らして頭を抱えるのは、グランド王国の騎士団長、ジャンヌである。彼女がテイマーのティムを捕らえるべく作戦を実行し……そして彼が地竜の国、アースラを出発した頃、部下から連絡が入ったのだった。


「連絡がかなり遅れたが……これはティムの仕業か!」


 彼女は魔導パソコンを立ち上げ、ある配信を確認する。そこには三人の冒険者が映っていた。






 ◇◇◇



「皆の者、良く来てくれた!今日は街のピンチを救ってくれたこの方達に感謝を伝える為にパーティーを開く事になった!皆も思いっ切り楽しんでくれ!」



「「「「おおーーー!!」」」」



「今回、この街はトロールの襲撃によって脅威に晒された……しかし、それには王国から依頼された人さらい達が関わっていたのだ。」


「ひ、人さらいが!?」


「人さらい達はトロールの襲撃の後、街を襲撃してきた。おそらく街を支配して、武器の生産を一手に握るつもりだったのだろう。しかし、その陰謀をこの四人が解決してくれたんだ!」





「今回の冒険者達、そのリーダーのロットン!配信者のミー!テイマーのティムとパートナーのレル!そして……戦士のラルフとパートナーのタルトだ!」


「お、俺が一番目立ってる!?活躍したのは他の皆だろ!?」






「では、街の平和と彼らの今後の活躍を祈って……乾杯!」


「「「「「「乾杯ー!!」」」」」」





 ◇◇◇


 映し出されたのはカーノンの街。リーダーに紹介される形でパーティーに参加していたのは……戦士のラルフ、有名配信者のミー。そして、テイマーのティム。


「気づくのが遅かったか……ここで言う王国からの刺客は、フォージャーの事に違いない。奴に街を制圧してもらい、武器を一手に握る……計画が台無しになったか。」



 一人ワインをグラスに注ぎ、口をつける。


「まあいい。私達にはティムを手に入れる秘策がある。奴が献上する数々の手柄、それに比べればどうという事もない。」


 そして机の上に置いたアクセサリーを見る。それは小さい腕輪の様な、真ん中が空洞になった円型のアクセサリーだった。


「慌てるな……ティムがこちらに戻って来たら責任を取らせてやる。今は我慢の時だ……。」


 ワインを飲みながら笑うジャンヌの声は、部屋のドアに遮られ、外には聞こえなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ