探せ!もう一つのヨツバソウ
「ほう。つまり私は倒れたまま起きなかった……と言う事ですかな?」
「はい。でも、ティム君達が持って来たヨツバソウで治ったんです!最初に使って良いって許可をもらったの、だからリードさんからもお礼を!」
「ハッ!ではちょっと失礼して……。」
目を覚まし立ち上がったリードさん。彼はこっちを向いて頭を下げた。
「ハッハッハ!さすがティム達だ!私も感謝しなければな、本当にありがとう!」
「ああ!ちゃんと治ってくれて良かったよ!」
「ん?しかし最初か。もしかして、私で実験しようとしていたのかな?」
「そうだね。依頼主に効くかの確認をしたかったんだよ。」
「それはいい!ちゃんと効き目があったではないか!それにもし無くても、シュリ様が何とかしてくれただろう。皆様、感謝致しますぞ!さて、諸君には何かお礼をしなければな。」
豪快に笑うリードさん。そこで僕は彼にお願いをする事にした。
「そ、それならちょっと頼みたい事があるんです。お願い出来ますか?」
「何かな?」
「その……ヨツバソウをもう一つ探すのを手伝って欲しいんです?」
「何?ヨツバソウを?」
それから僕達は事情を説明……リードさん、頷きながらこっちをじっと見ていたよ。凄い眼力だ……。
「私の分で使ってしまったと!?わ、分かった!暇な警備隊の者を呼ぶから、一緒に探そう!」
「お願いします!」
「私からもお願いするよ。さあ、行こうティム!」
「はい!」
僕達はお辞儀をして部屋を出る。ラーチャオさんに合流しないと!
「ではシュリ様、私も隊の方へ行って参ります!恩人の為です、今日の分の仕事はお任せしますぞ!」
「えっ!?わ、分かりました!皆をお願いします!」
「み、見つからねぇ。参ったなこりゃ。」
「び、びー。びー。」
「ど、どうしましょう……。」
「皆さんお待たせしました!」
僕達が神殿に入ると、あちこちを調べているラーチャオさん達を発見だ!僕達も手分けして探そう!
「どうだ?見つかったか?」
「中々見つからないし。こりゃ相当ヤバいっしょ。見つからなかったら大事だし!」
「焦るな。少し休んだ方が良い、私達が交代しよう。」
「頼むわ……俺達ヘトヘトだし。サキっち、びー君、休憩しようぜー!」
「は、はい!ティム様、よろしくお願いします!」
「任せて下さい!」
交代した僕達は小部屋を中心に調べていく。簡単に周りを警戒したけど、バリアアントは今は居ないみたい。爆風や衝撃波が飛んで来たから、一旦逃げちゃったんだね。
「僕はこっちを探します!カズハさんは向こうを!」
「ああ!敵は居ないようだから単独行動で行こう。何かあったら呼んでくれ!」
早速調査だ。この部屋は……無い!こっちは……ここも無い。この部屋は……埋まってるよ!
「短剣……爆風で崩れたら駄目だよね。うーん……隙間だ!」
爆薬を使わず、入れそうな隙間に短剣を差し込む。体重をかけて強引に押し込むと、ゴロンと瓦礫が落ちてきた。
「これで入れるぞ!」
僕は地面を這って奥の部屋に。体が小さくて良かった!こういう時に役に立つんだ!
「………無い。」
あれから数時間。ずっと調べてるけど全く見つからない!
「か、カズハさん……。」
「な、何気にすることは無いさ。リードが起きるまでまだ時間が……。」
「も、もう起きてますよ!」
「そ、そうだったな。どうしようか、すぐに見つかると思っていたんだが……。ん?」
色々考えてると、入り口の方から足音が聞こえてきた。
「待たせたな諸君!私達が来たからにはもう安心だ!」
こ、この声は!
「リードさん!」
「仲間を連れてきた!これで効率が上がるぞ!」
「ありがとうございます!」
「だが君達は少し休んだほうが良い。まだ一日しか経ってないのだ、ここは頼れる私達に任せてくれ!」
「だ、だがそれでは……。」
するとラーチャオさんがカズハさんの背中をそっと叩いた。
「どうしたラーチャオ?」
「あー、ここはちょっと休もうぜ?俺達凄く焦ってるし……今のままじゃ見つけられないかもしれないっしょ。」
「お前、だが」
「冒険者は休むのも仕事だし。万全じゃなきゃ何日あっても無駄になるっしょ!ちゃんと休んで明日で決めようぜ!」
この言葉を聞いて……カズハさんはひとまず落ち着いた。深呼吸してからラーチャオさんに話しかけた。
「そ、そうか……分かったよ。リード、ここは任せていいか?」
「ああ、心配無用だ!必ず見つけてみせよう!」
「じゃあ帰ろうぜ!シュリっちの飯が楽しみだ!」
「お、おい待てラーチャオ!全く……!」
「びー!びー!」
「ティム様、私達も一度帰りましょうか。」
「は、はい!」
ラーチャオさんの言う通り……確かにここで急ぐよりも、明日に全力で取り掛かる方が効率がいいかもしれない。
それに土地勘のあるリードさん達なら、上手く見つけてくれるかも!
「どうよカズハっち、リラックス出来てる?」
「お前のおかげでな。助かったよ。」
それから僕達は大浴場を借りて休憩。皆でお湯に浸かりながら、今後を考えていた。
「明日もう一度行くだろう?今度はレイクドラゴン君にも手伝ってもらおうか。」
「そりゃいい!崩れた所を見てもらえばすぐに見つかるっしょ!」
「僕達も頑張ります!ね、びー君!」
「びー!」
「私もです!必ず見つけましょう!」
「「「「おー!」」」」
「びー!」
今日は早く寝よう。明日リードさんからの報告をもらって、調べ直すんだ!必ず見つけるぞ!
「そういえばシュリっちは?夕食楽しみだったんだけど。」
「リードさんがお仕事を頼んでたので、たぶんお城に居ると思います。」
「大変だろうな。リードを仕事に戻す為にも、私達も早く済ませないとね。」




