発見、ヨツバソウ!そして……
「お疲れ様です!ティム様!」
「サキさん!ありがとうございます!」
「終わったな!もうヘトヘトだし!」
異形の魔物を倒してから少し経って、僕達はその場にぺたんと座り込んでいた。皆で頑張って倒せたけど、手強い相手だった……今のままじゃ駄目だ、まだまだ強くならないと。
「皆お疲れ様。さて、私達はもう一仕事だ。早く立ってくれ。」
「カズハっち?俺もう立てないっしょ!」
「お前、何の為にここに来たのか分かってるのか?」
「何かあったっけ?」
「はあ……。」
カズハさんが頭に手を当て上を見る。何か……あっ。
「そうだ!ヨツバソウ!」
「君も忘れてたのか……まあ無理もない。こんな事態になるとは思ってなかったからな。」
「じゃあ、僕が一緒に行きます!ラーチャオさん達はここで休んでて下さい!」
「そ、そうだった……ごめんな。じゃあ、二人とも気をつけてな!」
ラーチャオさん達にはここに待機してもらって、僕とカズハさんで周囲を探索する。
でも、今の僕達じゃ瓦礫は動かせない。だから空いてる部屋を覗きながらちょっとずつ調べる事にした。
「この部屋は無いか。ここは……駄目だな、埋まってる。ティム、そっちはどうだい?」
「駄目です!こっちも見つかりません!」
「そうか。何とか見つけたいが……。」
「ぴゅー?」
「えっ?レイクドラゴン君?」
僕達の後ろに着いてきたレイクドラゴン君。瓦礫をそっと動かしながら、部屋に首を入れていた。
「もしかして……探してくれてるの?」
「ぴゅー!」
「本当か!?助かるよ!ありがとう!」
「ぴゅー!」
よかった、これで瓦礫の山も調べられる!どうにかして見つけないと!
それからしばらくして……。
「ぴゅー!ぴゅわー!」
「えっ!?本当に!?」
「どうしたティム!」
「ありました!レイクドラゴン君が見つかったって!」
「本当か!分かった、そっちに行こう!」
遂に、遂に見つかったんだ!僕達はレイクドラゴン君の所に歩いて行くと……ドラゴン君は大広間にある空洞を覗いていた。
「ぴゅー!」
「ここ?どう……あっ!」
「あれか……やったなレイクドラゴン!」
目の前にあったのは、四つの葉っぱを付けた、緑色の植物。きらきらと光るその植物は……間違い無い!ヨツバソウだ!
「後はこれを持ち帰れば、私達の依頼も完了だな!」
「はい!」
丁寧に掘り出して、これをそっと袋に入れた。このまま帰って、マスターさんに届ければクエスト達成になる!
「よかったー!これで……」
あっ……安心したら急に眠く…………
「ティム?……ティム!どうした!?しっかりしろ!ティム!ティ…………」
僕が次に目を開けると、そこに映っていたのは綺麗な天井と、見た事のある部屋。
「んー……あれ?ここは?」
「すぅ、すぅ。」
「び。」
僕の側にはサキさんとびー君が寝ていた。僕はベッドの上に。……あそこで倒れちゃったんだ!?
「二人とも、起きて下さい!」
「び?……びー!びー!」
「ふぁぁぁ……。びー君?ティム様はまだ起きて……ティム様!?」
「は、はい!起きました!」
「よかった……すぐに皆様を呼んできます!」
慌てて部屋を飛び出すサキさん。僕とびー君はこの場でじっと待つ事にした。
「無事かティム!?どこか痛い所は無いか!?」
「は、はい。今は痛くありません。これはシュリちゃんが?」
「ああ!あれから彼女が私達皆の怪我を治してくれたんだ。君は丸一日寝ていたんだよ。ここはシュリの城で、君の部屋だ。アイツが運んでくれたんだよ。」
カズハさんはラーチャオさんに交代すると、彼は僕の手を握ってくれた。
「ティムっちぃぃい!俺達ホント心配したんだし!でも、起きてくれてよかったぁぁぁ!これで安心っしょ!」
「そうなら良かったんだが……。」
言葉を濁すカズハさん……何かあったんだ。話を聞かないと!
「カズハさん。顔色が悪いですけど、何かあったんですか?」
「ああ。シュリのお付きのリザードマン、彼の事なんだ。」
「リードさん?……そうだ、リードさん魔物の攻撃で倒れちゃったんです!怪我は良くなりましたか?」
「うん。怪我は治ったんだ。だが……。」
カズハさんは顔を伏せて、言葉を続けた。
「あれからずっと目を覚まさないんだよ。」
「そ、それって……僕みたいに疲れて眠ってるって事は……。」
「シュリは最初に彼を治療して、すぐに外に連れ出したんだ。怪我は軽かったから時間はかかってない。それに彼女の側近だから、優先しても誰も文句は出なかったよ。」
「でもよ、それからずっと安静にして、シュリっちが回復魔法を掛けてるのに、全く起きないんだよな……。」
「まだ一日しか経っていないが、相手は未知の魔物だ。ちょっと心配でね。」
そ、そんな……。
「それで彼の様子を見てる時に、ふと思いついたんだ。彼のあの様子……どこかで見たと思ってね。」
「そ、それは?」
カズハさんがコホンと咳払いをして、また一言、言葉を続けた。
「襲われて以降目を覚まさない……私達の依頼主、あのマスターの息子と同じだよ。」
「えっ!?」
そう言うカズハさんが出した手には、僕が採集したヨツバソウが乗っかっていた。




