冒険者一行、力を合わせて……!
「ピギャァァァァァァ!!!!」
「……これでいきましょう!お願いしますカズハさん!」
「ああ!行こう皆!」
「やろうぜ!皆並べ!」
雄たけびをあげる魔物。冒険者さん達で正面に立ち、カズハさん達は瓦礫の山に移動。遠距離攻撃の準備をお願いしたんだ。
「勝負だ!ここで仕留めてやる!お願いびー君!」
「びー!」
「ティムっち、俺もやるぜ!」
僕達とラーチャオさんは同時に高速移動、僕はまず左側に走る。
「ピギャァァァァァァ!!!」
足でこちらを潰そうとする魔物。それにタイミングを合わせて、右側を走るラーチャオさんが魔力を込める!
「ウォークライ!」
「ピギャ!?!!!」
「今だ!」
思わず体を傾ける魔物、そこに短剣と毒針を叩き込む!
「こっちもだ!進めー!」
「「「「「おおー!」」」」」
そして怯んだ魔物を正面から、次々と切り刻んでいく冒険者さん達。……速い!あっという間に魔物の体がバラバラになっていく!
「ピギャァァァァァァァァァ!!!!」
「やべぇ!?」
「させません!ホーリーヴェール!」
シュリちゃんの防御で反撃を防ぐ。そして……
「ここだ、ブラックアロー!」
よろけた魔物に向けてカズハさんが攻撃だ!ここで魔物の体が完全に飛び散った!
「今ですサキさん!」
「はい!フレイムブラスト!」
巨体を消滅させるのには時間がかかるけど、毒で弱って、しかもバラバラになった状態なら!
「はあああああああ!!」
炎弾が当たった破片が跳ねながら焦げて……完全に無くなった。攻略法が見つかったぞ!
「びー君!」
「びー!」
僕達は体の破片を見つけ、ひたすら短剣と毒針を刺し続ける!すると毒に耐えられなくなったのか、破片は霧になって消えていった。
「ピギャ!??ピギャァァァァァァァァァ!!!」
再生を終えた魔物……でも大きさが小さくなった!ちゃんと効いてる!
ペタペタペタペタ………。
……何!?足音が近づいて来てる!
「ん?気をつけろよ皆、すごい魔力を持った奴が迫ってるっしょ!?」
「何だと!?新しい敵が来るのか!?」
「ちょっと待ってろ……あっ。この魔力……。」
「どうしたラーチャオ、早く言え!」
ラーチャオさんは小さく笑って……暗闇を指差した。
「増援だし!頼りになる奴が来たっしょ!」
「頼りになる奴?」
だんだん足音が大きくなってきた。何だかかわいい足音……これって!
「ぴゅー!ぴゅー!」
「レイクドラゴン君!」
「で、でかいぞ!?コイツもティムの仲間か!?」
「厳密には違うが、今はそれでいいだろう。さて……君も手伝ってくれ!アイツを倒したいんだ!」
「ぴゅー!」
現れたのはレイクドラゴン君!巨体と尻尾を揺らしながらこっちに走って来たんだ!後で合流するって言ってたけど、このタイミングになったんだね。
「ぴゅー?」
「レイクドラゴン君!やっつけるのはあの魔物だよ、力を貸して!それで、作戦はね……」
「ぴゅー?……ぴゅ!ぴゅー!」
小さくなった破片、あれなら何とか倒せる!まずはダメージを与えてもらって、弱った所でバラバラに……後は再生する前に数を減らすんだ!
「ピギャァァァァァァァァァ!!!」
「ぴゅー!」
説明した後、魔物を見てすぐに飛び出すレイクドラゴン君。その体を掴むと地面に放り投げた!
「ピギャァァァ!???」
「ぴゅーー!!」
続いて水のブレス!奴の足に命中し、地面に転ばせた!
「ぴゅおー!」
「ピギャァァァァァァ!!???」
前足でレイクドラゴン君を殴る魔物!ドラゴン君はそれを受けながらどんどん前へと進んで行くんだ。
「ぴゅー!ぴゅーー!」
「ピギャァァァァァァァァァ!!!??」
ドスンと壁に投げ飛ばし……尻尾が飛んで来た!?これで魔物を打ちつける!
「ぴゅー!」
また水のブレスだ、的確に体を撃ち抜いていく……僕達の作戦を完璧に実行してくれてるんだ!
「ピギャァァァァァァ!」
どんどん追い詰めていくドラゴン君、でも、奴の体がまた黒く光り出した!
「ぴゅー!?」
「逃げてドラゴン君!それ当たったら痛いよ!」
「ぴゅー!?」
ドラゴン君はすぐに魔物から離れ、魔力を口に集中させてる。……迎え撃つ気なんだ!
「ぴゅー!ぴゅー!」
「えっ!?わ、分かったよ!皆レイクドラゴン君の体にくっついて!」
「了解した!皆急いで!」
「お、おお!」
皆でドラゴン君の周りに集まる。するとドラゴン君が奴に向けて口を開いた!
「ピギャ……ピギャァァァ!」
「ぴゅわー!」
放たれた黒い衝撃波、対抗するレイクドラゴン君は……青色のブレス!水の属性とは違う、もっと強い魔力の塊だ!
空中でバチバチと火花を散らしながら、お互いの攻撃がぶつかり合う。ドラゴン君は全力でブレスを放ち、衝撃波を止めてるよ!
「奴は体力を相当使った!トドメを刺すなら今しかないです!」
「おい!?ティムっちどうすんのよ、今出たらヤバいっしょ!?」
「はい、だからドラゴン君が奴の攻撃を止めた後……そこで勝負を仕掛けます!」
そして、僕はびー君にそっと声を掛ける。
出来るかは分からないけど……あれをやるんだ!
「びー君、僕に貸して!」
「びー?」
「うん!力だけじゃない、心も一つにして、とーっても強い技を使うんだ!」
「びー?……びー!びー!」
許可はもらった!びー君をお腹に抱いて、一緒に魔力を集めるんだ!
「んっ……い、いくよびー君!」
「び、びー。びー……びー!びー!」
いいぞ……この感じ、魔力が合わさって……凄い力になってきた!
「ぴゅー!ぴゅー!」
「私の魔力を使って!そうすれば、きっと勝てる!」
レイクドラゴン君に魔力を送るシュリちゃん。そうしたら、ドラゴン君のブレスが大きくなった!
「ぴゅわー!」
「ピギャァァァァァァァァァ!!????」
魔物の攻撃を押し返し……遂に隙が出来た!
「今だ!合わせて!」
「びー!」
僕は一気に魔力を解放して……掛け声をあげた!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「びー!びー!」
僕の持っているびー君の短剣……これが一気に太くなり、ドリルのような形状に!びー君のおしりの針も大きくなった!
「突っ込めーーーー!」
「びー!びー!」
「ぴゅわーー!」
「ピギャァァァァァァ???!」
レイクドラゴン君も、完全に攻撃を押し返した!体中にブレスが直撃し、魔物は今動けない!
「とりゃぁぁぁぁぁぁ!」
僕の持つドリルが紫色に光り出す。それを魔物に向けて、突撃だ!
「[魔技] ヴェノムスパイラル!」
「ピギャァァァァァァァァァ!!!!」
回転したドリルは魔物の中心を捉え、一気に貫く!そしてドリルが当たった場所から煙が立ち込め、一気に溶かし始めた!
「びー!」
びー君も同じように毒針を突き刺すと、魔物の体が遂に崩れる。こ、これは……!
「ピギャ……ピギャァァァァァァ……。」
黒い霧になって消えていく魔物。その場に残ったのは……黒い玉だ。って事は!
「やった……やったよびー君!僕達が勝ったんだー!」
「びー!びー!」
僕達の力でやっつけたんだ!びー君を抱いて、僕は皆の所に駆け出して行く!
「ティム!見事だったよ!私達……勝てたんだな!」
「はい!」
「おお!マジ凄えな!ティムっちとびー君やるじゃん!俺の次くらいに凄いっしょ!」
「ティム様……お疲れ様です!これが……これがティム様の、テイマーの力……!」
「やった!やったよー!ティム君頑張ったね!」
「ぴゅー!ぴゅー!」
「大したもんだな、ティム!配信も凄いが実際に見るともっと凄いな!」
「ほんとほんと!私達生で見ちゃったわよ!?これは自慢しないと!」
「やったぞー!」
「「「「「うおおおおおーーー!!!」」」」」
皆喜んでくれてる!僕も頑張ったけど、皆のおかげで勝てたんだ!
「勝った……勝ったぞーーー!!!」
「びー!びー!」




