発見!黒い玉、黒い思惑……
「シュリっちー。地図だとどの辺りー?」
「えっとね……ここ!」
「おお最下層ってことね。んじゃここを調べながら上に上がるっしょ!」
深緑の神殿、地下五階。シュリちゃんが地図を出して居場所を確認、僕達はまた小部屋や通路を調べて進んでいくんだ。それにしても随分下に落ちたなぁ。
「複数人で動くように!あまり距離が離れないようにな!」
リードさんは率先して小部屋を調べ、シュリちゃんに報告を入れる。この調子ならもうすぐ調べ終わりそう。警備隊の人達は階段を見張ってるからとりあえず安心だ!
「ラーチャオ、周りに敵は居るか?」
「あっちこっちに居るし!気をつけろよ!」
「出たぞー!こっちだー!」
「早速か。私は向こうに行く。お前はどうする?」
「カズハっち、こっちは任せろし!早く行った方がいい!」
「気をつけろよ。ティム、君も来てくれ!」
「はい!」
敵はすぐそこだ!急がないと!
「こ、これは……!」
僕達の前に現れたのは大広間!バリアアントを攻撃しながら冒険者さん達が先に進んで行く!そこにはリードさんの姿もあった。
「この程度の相手に、私は負けぬぞ!フンッ!」
「ギィィ!……ギィィ!?」
槍を操り的確にバリアアントを突くリードさん。バリアを展開されても、それごと壁に吹き飛ばしてぶつけるんだ!勢いで背後を押しつぶす攻撃……勉強になるぞ!
「僕達も行こう!びー君お願い!」
「びー!」
僕はびー君の短剣を握り、空を飛びながら攻撃だ!あちこちに居るバリアに短剣を突き立て、弱った所は他の冒険者さんにお任せだよ!
「うん!弱ってきたぞ!後はお願いします!」
「おう!皆行くぞー!」
「「「「「おーーーー!」」」」」
それから少しして、バリアアントは皆倒す事が出来た。今は周りの調査をしてる……でも、さっきよりも霧が濃い……。
「数が多かったな。しかしここに集まっていたのか?」
「多分そうです。なら、ここに何かあるかもしれません!」
「落ち着いて調べようか。ティム、君はこの部屋を」
「あった!皆あったぞー!」
冒険者さんの声だ!
「あったか!?黒い玉だぞー!」
「ああ!この部屋だー!早く来てくれー!」
「分かった!シュリ様、行きましょう!」
「はい!」
シュリちゃんはリードさんと一緒に部屋に入る。僕達も皆でついて行こう!
「あ、あった……。」
「後はこれを壊すだけか。」
大広間の横にあった小さな部屋。ここに黒い玉がふわっと浮いている。これが霧を起こしてるんだ。中にはおそらく……。
「このまま戦闘に入ると思います。道具や魔力は大丈夫ですか?」
「問題無しだ!俺達は行けるぞ!」
冒険者さん達は一斉に頷いた!なら後はシュリちゃんに任せよう!
「分かりました……では、行きます!」
「シュリ様、私もお側に!」
「リードさん、お願いします!」
シュリちゃんとリードさんが部屋に残り、僕達は攻撃準備。奴が姿を現したら毒を使って、それから弱るまで時間稼ぎ、最後は火力を集めて一気に……。
「緊張してるな、ティム。」
「は、はい……。」
「今緊張できるのは、私達が情報を集められたからだよ。落ち着いてやれば絶対に大丈夫さ。知識は力……本当にラーチャオの言った通りだな。おかげで皆構えられている。」
僕達の横には冒険者さん達、それに警備隊の人達も!もし情報がなければここまで準備は出来なかったよね……。側にはサキさんとびー君も来てくれた!
「ティム様!わ、私達も居ます!」
「びー!びー!」
「そういう事っしょ!んじゃ、始めようぜ!」
「……はい!」
皆が居るんだ。大丈夫、僕なら出来る!今はシュリちゃんに任せて、僕達はここで待機だ!
「では、やります!」
シュリちゃんが杖を構えて魔力を黒い玉にぶつける!それを見守る僕達……来た、ヒビが入ってきたぞ!
「あっもう少しです!シュリちゃん頑張れー!リードさんも気をつけて下さい!」
「心配無いぞティム!私なら平気だ!」
ヒビが大きくなって玉がピシッと音を立てる。もう割れる!
「さあティム、構えて!」
「はい、カズハさん!」
僕は短剣を握り前を見る。一回突き刺して二人を誘導、後は魔法で押し込んで……こんな感じだよね?確認を取っておこう。
「あ、あのー。」
「心配いらねえさ!俺達も分かってるからな、あの二人は頼むぞ!」
「はい!」
うん、大丈夫だ!
ピシッ、ピシッ、バリン!
玉が弾け飛んだ!そして霧が濃くなって、だんだん形を作っていく……来る!
「ティム君お願い!」
後ろに後ずさりしながらシュリちゃん達がこちらに。僕は二人の前に立って攻撃だ!
「今だ!びー君行こう!」
「びー!」
「あっ手が滑った!」
「えっ!?」
う、後ろから飛んできたのは……爆弾!?
ドガァァァァン!
へ、部屋の壁が崩れちゃった!?
「な、どうして!?」
「いやー!悪い悪い!俺追撃用に爆弾持ってきてたんだけど、手元が狂っちゃったわ!」
後ろに居たのは……あの冒険者だ!完全に頭から抜けていた!
「これで一安心だな!魔物は閉じ込めたから外には出てこれない!シュリ様の事は諦めよう……これは事故だったんだ!」
「き……貴様ァ!」
カズハさんが冒険者に掴みかかる!でも……今はそれどころじゃない!
「ティム君!?ま、魔物が出てきたよ!?今は壁を作ってるけど、長くは耐えられないよ!?」
「今行きます!少しだけ待ってて下さい!」
な、何とかしないと!早く、早く考えなきゃ!




