冒険者一行、落下した先には……
「うわああぁぁ!?」
「皆気をつけろ!下がどうなってるか分からないぞ!」
「んな事言ってもどうにもならないっしょ!?どうすんのよこれ!?」
僕達は神殿の地下に真っ逆さまに落ちていく!どうしよう!?
「びー!びー!」
「ティム様ー!」
上からはびー君とサキさんが飛びながら追ってくるけど、二人だけじゃどうにも出来ない!
「シュリちゃん!何か方法ないかな!?」
「ええっ!?う、うーんと……風の魔法使えば着地できるかも!」
「シュリ様、ここは私が!だが、他に誰か使える奴は居ないか!?」
「おう!俺なら使えるぞ!」
「私もいけるわ!」
リザードマンさんが声を掛けると、すかさず何人かの冒険者さんが応えてくれた!
「この人数……いけそう?」
「だ、駄目!勢いは落とせるけど、完全には止められないかも!」
「勢いは落とせる……ならシュリちゃん!下に光の壁を張って!」
「し、下に?どんな風に?」
「大っきい箱みたいなのを!皆が入れるくらいの箱があれば!手を貸して!時間が無いから、僕の魔力も合わせて!」
「分かった!やってみる!」
僕はシュリちゃんの手を握り、魔力を放出!それを受けたシュリちゃんが光の壁を展開する!
「ホーリーヴェール!」
「水属性の魔法使いさんっている!?」
「ああ!それも私が兼任だ!どうするのだお客人!?」
「下に思いっ切り打ち出して下さい!深い水を張れば、衝撃が和らぐはずです!」
「うむ、ならば……ウォータースピア!」
リザードマンさんが槍を投げる……その槍から水が噴き出した!一気に壁の中に水が流れ込む!
「溜まるまで時間がかかる!風の魔法で衝撃を抑えてください!」
「ああ!行くぞ皆ー!」
「「「おおーーー!」」」
魔法使いさん達が一斉に風を放つ!それで僕達の落下の速度が少しだけ落ちた!
「後は魔力を集めて!防御姿勢を!」
「「「「「「おおーーー!」」」」」」
魔力を纏った状態で下を見る。水は……貯まってきた!
「飛び込めー!」
僕達は次々と水の張ったスペースに飛び込んでいく。
ドボンと音がして…………よかった皆上に上がって来たよ!
「死ぬかと思った……ティムっち平気!?」
「ラーチャオさんも!大丈夫そうですね!」
「喜ぶのは後にしろ!上から来るぞ!」
「ふふーん!後は任せなさい!」
上から降ってくるバリアアント達。直前で慌てて逃げたのか、落ちてくる数はたった数匹だ。
「ホーリーヴェール!」
「ギィィ!?ギィィィィ!!」
僕達の頭上に壁が現れ、バリアアント達はそこへ直撃する。ぴょーんと跳ねて地面に投げ出されると、彼らは慌てて逃げ出していった。
「シュリ様ご無事ですか!み、皆も無事か!?」
「こっちは大丈夫だぜー!」
「私達も平気よ!怪我とかもしてないわ!」
「そうか……よかった……。」
「しかし、随分下に落ちてきたな。シュリ、この神殿の地図は無いかな?」
「待っててカズハ!今出すから!」
シュリちゃんの取り出した地図。それを皆で覗き込む。
「えーっと……今私達が居るのは地下五階。入り口は一階だから、五つ階層を降りたんだね。」
「上には上がれそうか?」
「うん。あそこから落ちたから……あった!あそこに階段があるよ!でも、こんな穴が開いてたなんて……。」
シュリちゃんが指差した所には階段が!これで上に戻れる!
「バリアアントの仕業だろうな。ここを解決したら、早急に直した方がいい。」
「分かった!ありがとうカズハ!」
「退路は確保出来そうだな。シュリ様、調査は続行しますか?」
「そうですね……皆さんはどうでしょうか?」
「俺達は続行でいいぜ!」
「私も私も!まだまだ元気よ!」
「こっちも大丈夫!ポーション飲ませてくれればいけるよ!」
冒険者さん達はこの場で少し休憩。リザードマンさん率いる警備隊の人達は……
「皆しばらく休んでいろ!俺達がここを見張っておくぞ!」
「体が丈夫で助かったよ!任せてくれていいからな!」
全く問題無さそうだ!
「では、少し休んでから調査に戻りましょう。怪我をした人はこちらにお願いします!」
それからは僕達も地面に座り、ちょっとご飯を食べる。サンドイッチを口に入れ、僕はリザードマンさんの所に向かった。
「お客人、さっきは助かったぞ!感謝する!」
「こちらこそありがとうございます!おかげで助かりました!」
「シュリ様はもちろん、我々皆ちゃんと帰れるようにしなければ。そちらの力も借りるぞ!」
「はい!よろしくお願いします!」
すると彼は槍を確認。磨きながら、ふと一言漏らした。
「……リードだ。」
「は、はい?」
「私の名前だ。何だろう、今言わないと……もう言う機会が来ないような気がしてな。」
リザードマ……リードさんが少しだけ不安そうな顔をしていた。
「君の名前も教えてくれないか?いや、もう知ってるがな。本人から聞いておきたいのだ。土産話になる。」
「は、はい!僕はティム、テイマーをやっています!今は冒険者で、それから配信も……。」
「ほうほう!聞かせてくれ!」
「皆準備はいいですね!では……調査を再開します!集まってくださいー!」
それから僕達は少し話をしてると、シュリちゃんの号令が。僕とリードさんは同時に立った。
「ここからも頼むぞ、ティム!シュリ様の事も、皆の事も守ってみせよう!警備隊隊長の誇りに誓って!」
「僕も頑張ります!リードさん!」
僕達は二人で皆に合流。先に進む事にした。
そして進んだ先、そこで待っていたのは…………。




