絶体絶命!?地中からの攻撃!
「来たぞ!皆構えろ!」
僕達は一斉に武器を構えラーチャオさんの居る地面を見る。その地面が一気にひび割れ、中から魔物が姿を現した!
「ギィィィィ!」
「おわっ!?来たし来たし!皆気をつけろよー!」
出てきたのは巨大なアリの魔物。数匹で地面から顔を出し、ラーチャオさんに噛みつこうと牙を向ける!
「よっと、ほらよっ!」
それを回避し、小盾で魔物を殴りつけるラーチャオさん。……待って、あの魔物何か展開してる!頭に展開しているのは……バリア!?緑色をした魔力の壁が、頭を覆ってる!
「へぇー!やるじゃん!なら!」
ラーチャオさんは展開されたバリアを踏み、ジャンプ!僕達の所に帰って来た!
「あれは……バリアアント!」
「バリアアント!?Cランクレベルの相手だ!お前ら気を引き締めていけ!」
「「「「おーーー!!」」」」
バリアアント。バリアを展開して突進する、攻撃と防御を同時に行う魔物だ。一体ずつならそれほど強くは無いけど、群れで暮らしている事が多い。数で攻めてくる魔物なんだ!
「ティム、君ならどうする?」
「カズハさん……はい、僕達が取れる手は背後を取ることです!後ろにはバリアが展開できないから、そこが弱点になってます!」
「後ろか……ラーチャオ、頼む!」
「任せろ!ウォークライ!」
「「「ギィィィィ!」」」
ラーチャオさんが技を使うと、バリアアントは一斉にラーチャオさん目がけて突進する。そこでガラ空きになった後ろを……
「行くぞ!ブラックアロー!」
カズハさんの矢で貫く!
「ギィィィィ!?」
「「「「ギィィィィ!」」」」
矢が一体に当たり、体が弾け飛んだ!ラーチャオさんを追うバリアアント達は一瞬振り向くけど、すぐに目線をラーチャオさんに戻す!
「ラーチャオ、そのまま頼む!」
「おう!皆も続けよ!」
「ああ!弱点は俺達も知ってるからな!魔法を撃てる奴は援護してくれ!」
魔法使いさんが魔法を撃ち出す。それはバリアアントの背後を直撃し、時には炎が、時には氷や電撃がバリアアントを攻撃する!
「「「「ギィィィィ!」」」」
「いいぞ!確実に数を減らすんだ!どんどん倒すぞ!」
冒険者さん達で攻撃を続けると、バリアアントは一箇所に固まった。頭をこちらに方向転換、バリアで攻撃を弾いた!
「クソッ、どうする!?」
「そのまま魔法をお願いします!僕が空中から攻撃しますから!びー君力を貸して!サキさんも一緒に!」
「びー!」
「はい!」
僕達三人で空中に飛び上がり、奴らの頭上を取る!ここなら背中とお尻を狙い撃てるぞ!
「これでも食らえー!」
「ふ、フレイムブラスト!」
僕は爆薬の付いた短剣を、サキさんは魔法で炎の弾を叩きつける!真下のバリアアント達は……爆風に巻き込まれ、一気に吹き飛んだ!
「「「「「ギィィィィ!?」」」」」
「もう一度だ、ブラックアロー!」
「俺達もだ!喰らいやがれー!」
空中に浮いたバリアアントを次々撃ち抜くカズハさん。冒険者さんは地面に落ちた敵を武器で攻撃だ!完璧だ、これなら消耗しないで勝てるぞ!
「ほらほら!こんなもんか!俺達の力を舐めるなよ!」
「ギィィィィ!」
「あ?……えっ、なんでギャァァァァァァァ!!!?」
ひ、悲鳴!?僕達は後ろを振り向くと……そこには冒険者さんに喰らいつくバリアアントの姿があった。
あれだけの数がいたのに、まだ全部じゃ無かったの!?は、早くしないと!
「びー君、お願い!」
「びー!」
僕とびー君は魔力を込めて全力で飛行。攻撃中でバリアの無い敵の頭に、短剣と毒針を叩き込む!
「このっ、その人を離せー!」
「びー!びー!」
「ギィィィィ!?」
「うわぁぁあ!?こっちにも出たぞー!?」
僕達の周りは、追い詰めたバリアアントよりも更に多い大群が囲んでいた。しまった……これは奴らの作戦だ!
「うりゃぁぁ!」
「ギィィィィ!?」
僕はバリアアントが動かなくなったのを確認して、冒険者さんを起こす。
「う、うう。」
「シュリちゃんこっち来て!この人大変だよ!」
「ご、ごめんなさい!今は皆の援護で手一杯なの!」
「済まぬお客人!こちらは動けない!何とかここまで来てくれ、そうすれば援護できる!」
遠くのシュリちゃんは冒険者さんの周りに光の壁を張り防御、リザードマンさんは近づくバリアアントを槍で牽制。その間に皆は一箇所に固まり、円形になって敵を睨みつける。
……さっきとは逆だ。奴らの方が有利、こっちはまずい状況だ。僕達はシュリちゃんに合流、冒険者さんを降ろして回復魔法をかける事にした。
「これで傷口を塞いで……今はこれ位しか出来ない……。」
「おいおい!?いくらなんでも多すぎっしょ!?」
ラーチャオさんは敵の合間を縫って逃げ続けているけど、だいぶキツそう……。今の僕に出来る事は……。
「「「「「「「ギィィィィ!!!!」」」」」」」
来た!皆は迎撃態勢だ!……うん、僕は突破口を探らないと!
ギギギ……
い、今の音は……?
バリッ、ベキッ
この音……下から鳴ってる?
僕は地面を見た。僕達は一箇所に固まっている。それを囲むようにバリアアントも近づいて来ている。そしてその外側…………バリアアントが僕達を囲む為、掘った穴が……。
「ま、まさか……。」
「どうしたティム!?君も手を貸してくれ!」
「み……」
「皆さん衝撃に備えて!ここが崩れます!」
「何だと!?」
「何でもいいです!体を守ってください!」
「お、おお!」
「「「「「「「ギィィィィ!!!」」」」」」」
皆、攻撃に使う魔力を体に集め防御姿勢!それと同時にバリアアントが一斉に僕達へ走り出し……。
ズガァァァァン!!!
重さに耐えきれなくなった地面が、一気に崩れ出した。
「う、うわぁぁぁぁぁ!?」
体が空に浮き、一気に下に落ちる!僕も魔力を体に込めながら、下へと落下していった……。




