出発!深緑の神殿へ
「そこだ!ブラックアロー!」
「うわあああ!?避けてびー君!」
「びー!」
ダンジョンに入る許可をもらって数日。僕達は特訓と準備に時間を使っていた。今はカズハさんとの勝負、飛び道具を避ける特訓だ。ここではテイマーの力を使わずに戦いをしてるんだ。
「ティム、次は君だ!ファイアアロー!」
「……そこっ!えいっ!」
僕は飛んできた矢を短剣で弾く。腕が痺れたけど……上手く逸らせた!避けられない攻撃が来た時の為に、ダメージを減らす練習もしないと!
「これならどうだ!」
「軌道は分かってます!これなら!」
飛んできた矢を弾く為、僕は短剣を構える。そして矢に刃を当て、一気に
「甘いな!」
「えっ?」
矢が二つになった!?それが僕のお腹に!
「危ない!」
僕は体を反らせて、矢の軌道から移動する。
「い、痛っ!?お腹が!」
「無理に避けようとしたからな。こういう不意討ちもあり得るから、周りには注意しておく事だ。」
体を伸ばした状態で動けなくなっちゃった……。カズハさんに抱えられて、僕は体を起こす。
「でも、攻撃は見えてるようだね。後は慣れだ。最も、レルと居れば簡単に避けれるんだろう?」
「はい……僕自身も更に上に行かないと!」
レルと一緒なら、僕はものすごく強い。これは自信がある!でも、一人の力も底上げしないと。
「びー!びー!」
「うん、びー君もお疲れ様!カズハさん、ありがとうございます!」
「ああ。じゃあ、休憩に何か食べようか?持ってくるよ。」
「お願いします!」
一人で戦えるように……サリアは凄いなぁ。同じテイマーだけど、一人でも強いんだもの。僕も近づけるよう頑張ろう!
「二人ともー!遂に来たよー!」
この声……シュリちゃんだ!
「来たか!いつ出発だ?」
「今から三日後!部隊の編成は終わったって!」
「いよいよか。楽しみだな!」
ダンジョン突入……ようやくだ!これで依頼をこなせる!
それだけじゃない!アースラの人達との共同作戦だ。これを解決すれば皆喜んでくれる!
「おいしい物がたくさん食べられそうだね。」
「はい!……ち、違いますよ!?」
「そうなのか?顔にそう書いてあったぞ?……冗談だよ。一緒に頑張ろう!」
ヨツバソウの採集の為にも、必ず達成してみせるぞ!
「私もサポートで同行するの。このパーティーでお世話になるから、引き続きよろしくね!」
「頼もしいな、よろしく!」
「頑張ろうね、シュリちゃん!」
「うん!」
それからシュリちゃんは、ラーチャオさん達にも伝えるため外に走って行った。
そして早くも三日後。時間の流れがあっという間だ。それだけ僕達は、これを楽しみに待っていたんだ!参加する冒険者さんが何人も集まっている!更に国の警備隊の人達も!
「皆、準備はできたな?」
「おう!俺達の力を見せてやろうぜ!目指せヨツバソウ、目指せハーレムっしょ!」
「なら成果を出す事だ。お前なら自然と達成できるだろうな。」
「心配無しだし!期待してくれよな!」
ラーチャオさんは一人で盛り上がっている。そこにサキさん達も合流した!
「びー!びー!」
「ティム様、いよいよですね!」
「はい!よろしくお願いします!」
「こ、こちらこそ!私も皆様に負けないよう、頑張ります!」
「そうだびー君、レイクドラゴン君は?」
「びー?」
後で合流するみたい。ドラゴンの力を借りられるなら心強いよ!早く来てくれないかな?
「じゃあ待ち合わせ場所に行こう!よろしく頼む!」
「はい!」
「任せろし!」
「お、お願いします!」
「びー!」
アースラの任務……そしてマスターさんのクエスト、ここからがスタートだ!
「あっ、皆来たね!ありがとう、こっちだよ!」
「シュリ、君が仕切るのか。女王様は?」
「あ、今回は私がリーダーなんだ。私が物資の手配やサポートを担当してるんだよ!」
「がおー!」
「びー!」
ドラゴンの赤ちゃん!久しぶりだなぁ。
「ハッハッハ!いい顔をしてますな!」
「リザードマンさん!」
「今回の任務、私達も行くのだ!お客人には負けぬぞ!鍛えられた我らの力、見せて差し上げよう!」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそ!シュリ様も、お願いしますぞ!」
「はい!任せてください!」
リザードマンさんも来てくれるんだ……それだけ重要なんだね、緊張して来た。ちょっとお水を飲もう。水筒を荷物から出してと……
「あ……おいあれ!見ろし!」
「どうしたラーチャオ、かわいい子が居たのか?……奴らは!」
カズハさんと一緒に顔を向ける。そこに居たのは……最初にシュリちゃんと会った場所、あの時に護衛していた冒険者だ!
「おお!シュリ様!よくぞご無事で!」
「えっ?……あ。」
「心配しましたよ!不慮の事故で置いて行ってしまって、申し訳ありません!」
「じ、事故!?どういう意味ですか!?貴方達が私を置いて……」
「はは!あそこで馬車が止まってしまったので、助けを呼びに行っていたのです!いやぁ、まさか生きて帰って来るとは思いませんでした!」
あの人達、よくもそんな事を真正面から!
「しかし、黒い魔物を倒して霧を晴らした……素晴らしい!これは我々の手柄にさせてもらいましょう!」
「ふざけないで下さい!もし彼らが居なければ……。」
「彼ら?まあいい。もうミスはしません!今度こそ貴方をちゃんと奥地に送り届けてみせます!おい、連れて行け!」
「な、何を」
シュリちゃんの腕を掴む冒険者。そこへ小盾が飛んできた!
「おいそこの奴ら!シュリっちは俺達とパーティー組んでるんだし!勝手な事言うなよ!」
ラーチャオさん!
「何だ貴様……い、いや貴様ら、あの時の冒険者か!?」
「その通りだ。よく堂々とそんな口が聞けるな。私には次こそ始末してやる、という意味にしか聞こえなかったが?ついでにもう一つ、その件は既に女王様に報告してある。貴様らの出番は無い。」
カズハさん!そしてシュリちゃんの側にはサキさんと僕が居るぞ!
「そ、そうか!貴様らが……!」
「誰の差し金だ?一国の重役を暗殺しようとは、正気とは思えないな。」
「だ、黙れ!だが、貴様らも参加するのか……シュリ様!我々と来ない事、後悔しますよ!」
「そ、そんなの知りません!私はこの人達と組んで行くんです!もちろん他の冒険者さん達にも支援はしますので、心配しないで下さい!」
「くっ、行くぞ!」
冒険者達はこの場を離れていった。あの人達も参加するのか……。
「シュリ様!行きますぞ!早く馬車へ、我らが護衛します!」
「はい!今行きます!」
「元から気を抜くつもりはないが……予想よりも厄介な事になりそうだ。警戒しておこう。」
「女王様、あんなのにも要請出したの?ありゃやばいっしょ。人を見る目が無いなあ。」
「き、きっと何か考えがあるんだよ!じゃあ、私は皆に指示を出さないと!また後で!」
「シュリちゃん行ってらっしゃい!それとリザードマンさん、あの人達に気をつけて下さい!何か企んでるかもしれません!」
「さっきの奴らか……分かった、こちらでも監視を付けておこう。ではこちらに!お客人、健闘を祈るぞ!どちらがお役に立てるかな?ハッハッハ!」
シュリちゃんはリザードマンさんと一緒に先頭の場所に乗り込む。すると少しずつ動き出し、他の冒険者さん達を乗せた馬車も後をついて行く!
「とにかく目的地に着かないと始まらない!私達も出発だ!」
カズハさんの馬車に乗り込み、彼女は馬の背中に。ちょっと心配な事もあるけど、早速出発だ!
「はいっ!」
「ヒヒーン!」
皆で力を合わせて……ダンジョンを攻略してみせるぞ!




