冒険者一行、休息そして謁見の日へ/状況報告
「おおー!広い!マジで広い!ティムっちもそう思わない?」
「こんなお家見たこと無い!シュリちゃんは凄いや!」
「そうでしょう!もっと褒めてくれてもいいんだよ!」
「ここが調理場。ここでご飯を作るの!普段は私が作ってるんだ!」
「食材たくさん!僕も料理出来るんだよ!」
「ティム君すごい!でも、私の方がおいしいよ!」
「ここは訓練場だよ!普段ここで魔法の特訓をしてるの。冒険者さん達にも開放してるから、気軽に寄っていってよ!」
「これは良い施設だ。私も利用させてもらうかな。」
「わ、私も!もっと強くなりたいです!」
「ここは図書室!魔導書とか、お店のチラシがあちこちに置いてあるんだ。」
「いいねー!知識は力だぜ?こういうは大切にしないといけないし!」
「意外だな。お前はそんな奴なのか。」
「タンクはこういうのも必要なの!」
「それでは……ジャジャーン!ここが私一番のお気に入り!大広間でーす!」
僕達はお城の中を一通り案内してもらい、大広間に辿り着いた。長いテーブルがズラッと並び、一番奥には巨大な木の幹が見えている。
「今日はこの私の家で過ごしてもらって、明日女王様に謁見するよ。今のうちにご飯は済ませておこう!」
「分かった。では今から買ってこようか。」
「あ、こっちで用意するよ。私に任せて!」
それからシュリちゃんは調理場に走って行く。僕は足の調子を見ておかないと。
そっと触って、それから強く握る。……あんまり痛くない。シュリちゃん、あんな短時間で治してくれたんだ。偉い魔法使いさんなのも分かったし、本当に凄い人だ。……凄いって何回思ったかなぁ。驚く事がいっぱいだよ!
「という訳で用意しました!私が腕を振るって作った料理、楽しんでね!」
「おおー!マジ旨そう!皆早く食おうぜ!」
そして出てきたのは豪勢な夕食!あっちこっちに高級そうなお料理が並ぶ光景……も、もう待ちきれない!
「分かっているさ。では、いただきます!」
「いただきます!僕はこれにします、サキさんは何を食べますか?」
「わ、私もこれです!」
サキさんと僕が取ったのはミルクに浸したパン。少しふわふわで、ひと口食べると口の中に甘さが広がる!
「あまーい!シュリちゃん凄いよ!こんなの知らなかった!」
「えへへ~。今度作り方を教えてあげよう!そっちはどうかな?」
「うん、これは木の実を使ったパイか。……サクサクで歯ごたえも良いし、果物の甘さも上品だ。本当に美味しいよ!」
「カズハにも教えてあげようか?」
「私はこういうのは苦手でね。でも、やってみるのも悪くないな。」
僕達がシュリちゃんに感想を伝えていると……
「う、旨い!やっぱり肉は旨いし!脂がとろけてもう、最高!」
「びー!びー!」
「ぴゅー!」
ラーチャオさんはお肉の炒め物、びー君はハチミツ。レイクドラゴン君はお魚の入った大皿をもぐもぐ食べていた。
僕も負けられない!思いっきりお皿に乗せるんだ!
「ティム、慌てすぎだぞ。」
「いいんです!僕は大きくなるんだ!」
「さ、まだまだあるよ!どんどん食べてね!」
この日のご飯は夜まで続いたよ!それから明日の準備をして、早く寝る事に。それぞれ案内された寝室で一泊、僕はびー君と一緒に寝る事になったんだ。
「びー君、明日は女王様とお話するよ。失礼な事をしないように気をつけなきゃ……。」
「びー?」
「うん。ちょっと心配だけど……マスターさんの為にも許可は必ずもらってみせるよ!」
「びー!」
「そうだね!じゃあ、もう寝よっか!おやすみー。」
「びー。」
僕達はお互いに気合を入れてから、明日に向かって布団に潜り込んだ。
◇◇◇
「……はい。私はティムに同行して、依頼先まで来ています。これからダンジョンに入る許可を取る所です。」
「……………………」
「は、はい。今の所、彼の強さは確認できていません。一緒に居る冒険者がかなりの手練れでして……。」
「……………………」
「わ、分かりました。監視を続けて、テイマーの力、それと同時に敵になった際の脅威を探ります。では……。」
「ティム様……もらった情報とは全然違う、とっても優しい人……。皆もいい人達ばかり。私は、どうすればいいのかな……。」
◇◇◇
「おはようございます!」
「びー!」
「よっティムっち達!俺が一番早起きだったし!そして遅れたのは!」
「黙れ!緊張して寝るのが遅れたんだ!全く……おはようティム、それとびー君も。」
「お、おはようございます!皆様!」
「おはようサキ。……本当に私が一番遅かったようだな。」
「サキっちー聞いてくれよー。カズハっちがねー」
「うるさい!」
朝が来た。そして皆元気いっぱい。うん、これならきっと上手くいくはずだ!皆で顔を洗っていると、ぬいぐるみみたいにドラゴンの赤ちゃんを抱えたシュリちゃんがこっちに走って来た!
「起きたね皆!おはよう!」
「おはようシュリちゃん!」
「早速だけど女王様のお城に行くよ!日中は人が増えてくるから、早めに済ませちゃおう!」
シュリちゃんは素早く髪を整え、赤ちゃんを肩に乗せると門に向かって歩いていく。僕達は彼女の後を追って、一緒に門へ。
「おう!俺に任せろし!」
「まあ……落ち着こう。私なら大丈夫だろう。」
「わ、私も頑張ります!」
「さあ、行くぞー!しっかりとついて来てね!」
そして遂に……僕達は女王様の居るお城に辿り着いた。ここからが本番だ。
「……よし!」
気合を入れて、僕達は門の中に入っていった。




