少年テイマー、ダンジョン配信をスタートする
「行くよ皆!今からダンジョンへ突入します!」
「わん!」
「びー。」
僕はリュックから魔導カメラを取り出して、プロペラを取り付けた後、ボタンを二つ押す。これで映像の録画と、リアル……タイム配信が出来るようになるんだよね?僕達はカメラの前に立って、挨拶をした。
「き、緊張するよ……。み、皆様初めまして!僕はティム、テイマーをやっています。今回はこのダンジョン、……名前ってまだ無いよね……ここを調査して行きたいと思います。よろしくお願いします!」
「わん!」
「この子は僕のパートナー!ブレードウルフのレルです。よろしくお願いします!」
「わふー。わん!」
うん、挨拶はばっちりだ!早速始めよう!
「レル、索敵はお願い!」
「わん!」
「結構暗いから、足元に気をつけてね!」
「わふー!」
僕達は洞窟に入り、少しずつ進んでゆく。何があるか分からないから、動きも慎重になるんだ。やがて通路を抜け、広い空間に出た。
「わふー。……!」
「レル!?敵が来た!?」
「グルルル……ガァッ!」
レルが前方を警戒する。すると僕の頭目掛けて、鋭いトゲが飛んできた!
「危ない!」
僕は頭を捻ってトゲを避ける。鋭いトゲの飛んできた方向を見ると、……そこには植物の魔物がいた。
「あれは……ハイプラント!?何でこんな魔物が!?」
「ヒュッ。」
ハイプラント……自分のツルを使って歩行し、対象を捕食する魔物。かなり上位の魔物だ!何でこんな所に!?
「ガァァ!」
今度はレルにトゲが飛んで来た。レルはそれを避け、凄いスピードで駆け出す。
「レル!今行くよ!」
僕は敵に向かって走る。レルの狙いは……ハイプラントの足元だ!
「グルァァ!ガァァァ!」
レルは立っているハイプラントのツルを噛み切り、体勢を崩す。続いて本体へ噛みつこうとするが、そこに別のツルが迫る。
「キャウウン!?」
「危ない!」
ツルに打たれたレルは地面を跳ねながら吹き飛ばされる。そこに僕が滑り込んで体を受け止めた。
「力を貸して、レル!」
「わん!」
僕はレルの背中を撫でて、ブレードに手を掛ける。レルのおかげで、ハイプラントの姿勢は安定を失っている。今なら突っ込めば行ける!
「そりゃァァァ!」
僕は一目散に走り出した。ツルでの攻撃もあるけど、ブレードで弾きながら接近する。そして遂に、ブレードの届く範囲に近づく事ができた。
「薙ぎ払えぇぇぇ!」
僕はブレードを思いっ切り振る。すると足代わりのツルは全部スパッと斬れ、ハイプラントの本体は地面に倒れ込んだ。
「これでトドメだ!」
ハイプラントの弱点は、トゲを飛ばす穴なんだ。普段はそこから呼吸をしているから、そこを攻撃すれば倒す事が出来る!僕はブレードを穴に突き刺し、一気に体重をかけて押し込んだ。
「シュー!?シュー……。」
ハイプラントはやがて空気が抜けたようにしぼんで、動かなくなった。これで一安心かな?
「わ、わふー?」
「レルー!やったよ!勝ったんだ!」
ハイプラントを倒した僕達は、広間の壁に腰掛け休憩していた。リュックから果物を取り出して、レルと分け合う。
「みずみずしくておいしいね、レル!」
「わふー!」
「はい、君もどうぞ!」
「びー!?」
手持ちのナイフで果物を切り分け、ポイズンビーにもそっと持たせる。一緒に調査してるんだから、食べ物も分け合わないとね!
「でも……入ったばかりでハイプラントなんて、ここのダンジョン、物凄くレベルの高い場所なのかな?」
「わふー!」
「レル、どうする?一度帰った方がいいかな?」
「わふ!わふ!」
レルは首を横に振った。まだまだやる気満々みたい。それなら僕も頑張らないと!
「そっか。うん!僕もまだまだやれるよ!」
「わん!」
「びー。」
「君も行けるかな?お外で待ってる?」
「びー!?びー!」
ポイズンビーも元気一杯だ!……大丈夫。僕は強いテイマーなんだ!仲間が居れば僕は凄く強いんだ!
「よし、休憩は終わりにして、そろそろ進もう!」
「わん!」
「びー!」
きっと出来る!そう意気込んで、僕達はダンジョンの奥へと足を進めて行った。
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