見えた目的地!地竜の国、アースラ!
「うわー!たかーい!」
「凄いなこの光景……いや、悪くない。」
「み、皆様しっかり掴まって下さい!」
「びー君、ここまで高く飛んだことってある?」
「びー?びー!」
「そうだよね。ここまで来るのは大変だもんね。」
レイクドラゴン君の提案を受けてからちょっとして。僕達はドラゴン君に移動をお願いする事にした。早く着くならそれが一番!
……本当は空の旅っていうのも興味あったんだ。ここまで飛んだ事なんて無いんだもん!興奮しちゃうよ!
「うわあああ!?高いし、揺れるし全然落ち着けないしー!?」
「そこまで慌てる事も無いだろう?安全は保証されているんだ。」
「カズハっちには分からないんだし!大丈夫だって思ってても、怖いもんは怖いんだよ!」
ラーチャオさんはずっとこの調子。馬車を転がしながらぷるぷる震えていた。
「この速さだと、アースラまでは予想より早く着きそう!本当に速い!」
「シュリ、そうなのか?意外だな、時間がかなり必要だと思っていたが。」
「ヒヒーン。」
「お馬さん、狭くない?大丈夫?私の国に着いたらご飯をあげるよ!」
……馬車を引いていた馬も、一緒に荷台に居る。大きい荷台だったから、ちょっと強引だけど何とか入ってもらったんだ。
「ティム様!」
「はい!サキさんどうしたんです?」
「あ、あの!もし着いたら、少し休みませんか?皆ボロボロですし、落ち着いてからダンジョンを目指した方が……。」
「はい!僕は賛成です!足の怪我も治したいですから。カズハさんとシュリちゃんはどうかな?」
サキさんの言う通り。随分疲れたし……
「それいいね!許可を取るのに時間がかかるし、休んでいくといいよ!」
「私も賛成だ。折角来たのだから、準備も兼ねて周りを歩いてみたい。」
「ラーチャオさんは?」
「お、俺も賛成かな……。こんな状態じゃ冒険、出来ないし……うっ。」
あっラーチャオさん、顔色がすごく悪い。まさか……。
「貴様!まさかとは思うが!」
「うっぷ。な、何か気持ち悪いし……。」
「わ、わー!?どうしようティム君!?」
「き、きっと酔ったんですよ!何とかしないと!」
「くっ……無理もないか。初めての空の旅だろうしね。」
「な、なら私に任せて!何とかしてみるよ!」
シュリちゃんはラーチャオさんを隣に移動させた。手に魔力を溜め、お腹をそっと触っている。
「少しすれば楽になるからね。お願い……ここでやらないでよ!」
「うっ……ぎぼぢわるい……。」
「ぐがー。ぐがー。」
「ようやく落ち着いたー。もう、ラーチャオは世話のかかる人だね!」
それからしばらく空を飛んだ僕達。ラーチャオさんは体調が良くなったみたいですっかり寝ちゃった。シュリちゃんが頭を撫でながら愚痴っていたよ。
「ティム様、ラーチャオさんは?」
「もう大丈夫!後は目的地に着くだけです!」
「ん、あれは……見えた!シュリ、あそこか?」
「どれどれ?うーん……そう!それそれ!遂にここまで来たんだね!やっぱり空を飛ぶとあっと言う間だ!」
シュリちゃんは手を広げて馬車をくるくる回る。その肩にはドラゴンの赤ちゃんが座り、一緒に回ってる!
「では、ちょっと早いけど……。」
シュリちゃんは手を前に組んで、小さくお辞儀。
「皆!あそこが皆の目的地。そして……私の国だよ!ようこそ、地竜の国アースラへ!」
着いた。着いたんだ!降りたらまずは挨拶しなきゃ!
「ティム様?」
「はい!ちょっと汚れを落としてるんです。」
僕は服をパンと叩き、ホコリを落とす。それを見てシュリちゃんは笑っていた。
「もう!今すぐ女王様に会うわけじゃ無いんだよ!そんなに慌てないで!」
「そっか!ちょっと急いじゃった。」
「では、私もホコリを落としておくかな!」
「カズハさん!?」
皆で笑いながら外を見る。その先には……大きく広がる街並みが広がっていた。




