冒険者一行、出発!
「「「ごちそうさまでした!」」」
「さて、食事も済んだし準備を始めるか。私が続けて運転しよう。皆は荷物をまとめておいてくれ。」
「おう!任せろし!」
「うん、サキちゃんも一緒にやろう!」
「わ、分かりました!」
カズハさんは馬の側へ。僕達は食器や荷物を馬車の端に移動させて出発準備!って言っても、僕は座って皆を待ってる。足の怪我、早く診てもらいたいな。
「びー!びー!」
「がおー!」
「ぴゅー?」
びー君達は外でお話中。仲良くなったんだね!何だか楽しそうで、見てる僕も楽しくなってきた!
「ヒヒーン。」
「馬の体調も問題無しか。うん、もう少し頼むよ。さあ皆!出発するぞ!」
「待ってました!席に座るぜ!」
「ティム様はこちらに。少しでも楽になれば……。」
「ありがとうございます!」
「サキちゃんは私と一緒に座ろう!」
「びー!」
「がおー!」
僕は荷台の壁に寄りかかる。隣はラーチャオさん、前にはサキさんとシュリちゃんだ!びー君と赤ちゃんは荷台の中でパタパタ飛んでる!
「揺れるからな、気をつけてくれ!ハッ!」
カズハさんが馬に鞭を入れ、いよいよ出発だ!
「レイクドラゴン君、僕達はもう行くね!ありがとう!」
「レイクドラゴンさんー!またねー!」
「助かったっしょ!あんたマジ強ドラゴンだったぜ!」
「ぴゅーー!ぴゅーー!」
レイクドラゴン君は手を振って僕達を見送ってくれた。またあそこでのんびりと過ごすんだろうなあ。毎日水浴び……気持ち良さそう!僕もやってみたいな。
「だいぶ道を逸れたな。まず元のルートに戻るのに時間がかかりそうだ。」
「気にしない気にしない!旅ってのはそんなもんだし!」
「しかし助かるよ。君が交渉に入ってくれればすぐにでもダンジョンに行けるだろう?」
「ど、どうだろうね?早くはなると思うけど。」
シュリちゃん?
「どうしたよ?何か難しい顔してるぜ?」
「うん。こっちのリーダー……女王様なんだけどね。そこに行くまでが大変なんだよ。」
「そうなの?」
「会う人がちゃんとした人か調べる為に、時間が必要なんだ。だから私が一緒に居れば、早くはなると思うけど……やっぱり時間は少しかかると思う。」
「そこは承知してるさ。王に許可を求めるんだ、その辺りは問題無いよ。」
僕もそこは気にしてない。時間が必要なのは当たり前、シュリちゃんが交渉に入ってくれるのが幸運なんだ。だから贅沢を言うつもりは全く無いよ!
「まずは早くアースラに入ろう。何か考えるなら落ち着かないとな。そう……待て、何か変な音がしないか?」
「変な音……足音かな?ドンドンって聞こえてきた。」
本当だ、遠くから音が……だんだん近づいてきた!?
「ラーチャオ、見れるか?」
「ああ!ちょっと待ってろ!」
ラーチャオさんが後ろを見る。その瞬間……
「ま、マジか!?皆!さっきのレイクドラゴン、こっちに走ってきてるし!」
「えっ?」
「本当ですか!?」
「お前!何か気に障る事したんじゃないのか!?」
「してねえし!俺の事何だと思ってんの!?」
のっしのっしと足踏みしながら馬車に迫ってきた。レイクドラゴン君、何かあったの!?
「とりあえず止まるぞ!このままでは恐らく追いつかれる!捕まるくらいなら早く話を聞くべきだ、ティムはどう思う?」
「は、はい!僕に任せてください!」
「あ、ドラゴンの言葉なら私も分かるよ!一緒に行かせて!」
「分かった!では止まろう!」
急ブレーキで馬車を止めるカズハさん。そしたらレイクドラゴン君が馬車の隣に並んだ!?
「ぴゅー!」
「ど、どうしたの?」
「ぴゅー、ぴゅーぴゅー!」
「ほ……本当!?それでいいの!?」
「ぴゅーー!」
…………うーん。
「シュリちゃん……どうしよう?」
「わ、私は良いと思うな!その方が早く着くんでしょ!」
「ぴゅー!」
「じゃ、じゃあ皆に聞いてみよう!ちょっと待っててね!」
「ぴゅー!」
レイクドラゴンの言葉を聞いて、急いで馬車の中に。まずはこれを伝えよう。
「どうだった?何かあったのかい?」
「それが……ちょっと悩む事になりまして……。」
「あのね。ドラゴンさんが馬車を持って運んでくれるんだって。空を飛べば早く着くって言ってるんだけど……。」
「「「えっ…………。」」」
カズハさん、ラーチャオさん、サキさん。三人はしばらく固まっていた。
「わ、私は構いません!皆様が平気なら……。」
「私も構わない。空の旅というのも良いだろう。安全性は大丈夫……なのかな?」
「ドラゴンさんは平気だって!」
「お、俺は」
「なら断る理由は無いな。お願いするとしよう。」
「分かりました!伝えてきますね!行こうシュリちゃん!」
「あ、待ってティム君ー!」
早く伝えよう!レイクドラゴン君も待ってる、僕達も早く着きたいし!
「これはありがたい。着いたらレイクドラゴンに何か買ってあげようかな。好きな物は……二人に聞けばいいか。ではサキ、ここからもよろしく頼むよ。」
「はい!か、頑張ります!」
「心配無いさ、それに君達も居るんだ。ね?」
「びー!びー!」
「がおー!」
「ラーチャオ、お前も頼……何をしている?」
「ラーチャオさん、丸くなってます?」
「お、俺……空に浮かんだ事無いし!?ちょっと怖いんだしーーーー!?」




