異形との戦い、巨竜との共闘
こちらを見る異形の魔物。黒い霧を体に纏って、僕達をじっと観察してるみたいだ。
「ピギャァァァ!!?」
「ティム!?あれは!」
「はい!あれは、僕が初めて配信をした時に戦った魔物です!」
僕が配信を始めたダンジョン、そこの隠し部屋に居た魔物。マイラさん……ヘルキマイラを捕まえ、痛めつけていた魔物と同じ種類だ!
「おいおいヤバいの出てきたっしょ!?どうするティムっち!」
「前と同じなら……奴は攻撃しても再生してきます!斬ってもバラバラにしても、元通りになっちゃうんです!」
「そんな魔物が何故こんな所に!?い、いや焦るな。……馬車は死守しよう!これが無ければ逃げる事も出来ない!」
カズハさんは馬車の上に飛び乗り弓を構える。ラーチャオさんは僕達の前に出て、小型の盾をスッと構えた。
「守りは俺に任せろし!攻撃は二人に任せるっしょ!」
「分かりました!カズハさん、奴の弱点は毒の攻撃です!奴は再生力が強すぎて、傷口から毒を抜けないんです!撃ち込めれば弱体化します!」
「分かった、少し時間をくれ!」
カズハさん、矢を握って準備してるんだ。時間を稼がないと!
「びー君、力を貸して!」
「びー!」
僕はびー君の背中を触って力を借りる。出てきた短剣を構え、魔物に向かって走るんだ!
「ピギャァァァァァァ!!!?!」
「行かせないし!ウォークライ!」
「ピッピギャァァァァァァ!?」
ラーチャオさんが技を使うと、魔物は彼の方を向いて突進する。ラーチャオさんは盾で受け止めるけど、一気に足元がぐらつき出した。
「重っ!凄いパワーだし!?」
「そりゃぁぁぁ!」
「びー!」
僕達は空中から、短剣と毒針を奴に突き立てる!その二つは
「危ない!?ティムっち危ないし!?」
「えっ!何で!?」
「びー!?」
ラーチャオさんに当たる直前、彼が体をひねって回避する。高速移動だ!?これじゃ攻撃が当たらない!
「ピギャァァァァァァ?」
ニヤリと笑う魔物。……完全に舐められてる。
「あの野郎、馬鹿にしてるっしょ!嫌な性格してるし!」
「びー!びー!」
「なら、これなら!」
僕は短剣を何本も魔物へ向けて投げる。魔物はそれを見て……避けない!
「ピギャァァァ?」
「そ、そんな……。」
魔物は後ろを向き、投げた短剣は体に突き刺さる。そこがピカッと光って、光が無くなるとまたこっちを見た。これは、読まれてたの!?
「ティムっち……。」
「はい、閃光玉を括り付けて目眩ましをするつもりでした。」
「ここからどうするよ!?」
「び、びー?」
「攻撃を当てれば勝ちが見えます。何とか一撃を当てないと!」
「ピギャァァァァァァ!」
奴は急に後ろを向いて走り出す。あれは……逃げたんじゃない!そこに居たのは、さっきのレイクドラゴンだ!
「ピギャァァァァァァァァァ!!?!?」
「ぴゅ?……ぴゅー!?」
レイクドラゴンに噛みつき、自分の体を振りながら激しく攻撃している。それに対して、レイクドラゴンは慌てて地面を転がってる!
「ぴゅー!ぴゅー!?」
「ピギャァァァ!!」
「ぴゅー……ぴゅわー!?」
「ピギャ?ピ…、ピギャァァァァァァァァァ!?!!?」
転がっていたレイクドラゴンが急に大きな鳴き声を発した。すると尻尾を振り下ろし……魔物の体を真っ二つに!?
「ぴゅー!ぴゅー!」
そして上半身を咥えて、地面に叩きつける!
「ぴゅおー!」
下半身の方は足で踏み潰し、動きを止めた……やっぱりドラゴンだ、強い!
「ティムっち!」
「はい!!」
僕は急いで下半身の方へ走る!奴は再生するんだ、今のうちに毒を撃ち込まないと!
「ぴゅ?」
レイクドラゴンの足がもぞもぞと動き出す!やっぱり生きてるんだ!
「ぴゅー!?」
レイクドラゴンが転び、下半身が走り出す!そのまま落ちている上半身にくっついて、元通りになってしまった……。
「だ、駄目だ……攻撃出来なかった。」
「ティムっち、落ち着けし!チャンスは俺が作るから!まずは死なない事最優先にしなよ!」
「ピギャァァァァァァ!?!」
僕達を見てニヤリと笑う魔物。何とかしないと……
「ぴゅー!ぴゅー!!」
「レイクドラゴン!君も手伝ってくれるの?」
「ぴゅー!ぴゅー!」
「あ、ありがとう!じゃあ、一緒にお願い!」
怒った顔で魔物を睨むレイクドラゴン。こうなったら……皆で止めるしかない!
「びー君、何とか攻撃を当てるよ!」
「びー!」
「俺が何とか隙を作るから、悪いけど攻撃は任せるぜ、ティムっち!」
「はい!」
ドラゴンと一緒に戦うなんて初めてだよ……でも、敵は同じなんだ、一緒に頑張らないと!
大丈夫、僕達は強いんだ!絶対に出来る!
◇◇◇
「何あれ……あの魔物、凄く強い。あのままじゃティム様達が危ない!で、でも……。」
(サキさん!僕達が力を合わせればきっと大丈夫です!だから、一緒に頑張りましょう!)
「ティム様……私も、私も何かやらないと!今行きます!」




