新たな目的地、目指せ地竜の国!
マスターさんが現れ緊張が走る。彼は机を持って来て、そこに地図を乗せた。
「簡単には説明したが、改めて確認させてくれ。今回の目的は、貴重なヨツバソウの確保になる。諸君達はCランク、つまり一人前の冒険者だ。難易度も想像がつくと思う。
もしも無理なら辞退してくれて構わない。このクエストは難しいが……引き受けてもらえるだろうか?」
マスターさんはこちらを見渡す。大丈夫、僕達ならできる!
「もち」
「無論だ。その為に私はここに居る。」
「俺に任せろし!サクッと終わらせてくっから、期待して待っといてーよ!」
「……もちろんです!頑張ります!」
「そうか……ありがとう!」
そしてマスターさんは地図を指差し、説明を始める。
「ヨツバソウの生息地を確認したのだが……あるダンジョンに生えているらしい。その場所は、ここだ。」
「あ?ここって?」
「ここは、もしかして!」
……僕は横を見る。ラーチャオさんは首をひねっていて、一方のカズハさんは淡々と地図を読み進めていた。
「……国を跨ぐか。一応ここはグランド王国の領土だからな。それでこの国は……。」
マスターさんは大きく息を吸い、緊張の面持ちで話を続けてくれた。
「そう。ここは地竜の国、アースラだ。多くの草花や木材を扱う、竜族の住む国……ここのダンジョンに向かってもらいたい。」
「マジっすか!ま!俺っち旅をしながら冒険者やってるから、ちゃんとしてれば入れてもらえるっしょ!」
「その態度、どこもしっかり出来てないぞ。その点……君は落ち着いているな。」
「あ、はい。勇者パーティーのメンバーとして、一度周辺のエリアには行った事があります。でも、国に入った事は無かったなぁ……。」
「では、道中の案内は君に任せるとしよう。交渉は私がやるべきだな。コイツでは当てにならない!」
カズハさんはラーチャオさんを指差してはっきりと言葉を放った。これにはラーチャオさんも怒ってる……。
「ま、いいけど?こーいうのは適材適所って言うし、任せるわー。」
……あれ、普通に決まっちゃった。反対すると思ったけど、この人ちゃんと空気を読んでる?
「で、では。皆、よろしく頼む!」
「ああ。」
「任せろー!」
「はい!」
……とにかく、ここからスタートだ!張り切って行くぞー!
「ティム、冒険者証の更新が出来たぞ!」
「やった!ありがとうございます!」
皆が部屋から出る時、マスターさんが僕を呼び止める。彼の手から渡されたのは……冒険者証だ!
「今は暫定的にCランクになっている。君の実力を考えればもっと上になるだろうが……すまない。今はこれで勘弁してくれ。」
「い、いえ!今は勇者パーティーでは無いので。個人として頑張ってランクを上げ直します!」
「そ、そうか……。」
「では、行ってきます!」
マスターさんとの会話を終え、僕達は二人に合流する。まずは入り口に戻ろう。
「さて、出発しようか。」
「マスターさんからたくさん荷物を頂きましたね。」
「ああ。後は馬車を手配してもらおう。しばらく待っていてくれ。」
カズハさんが街へ戻り、僕達とラーチャオさんは一緒に入り口で待つ事に……ラーチャオさん、ずっとサキさんを見てる……。
「ねーサキちゃん?今度俺とお茶しない?」
「え?い、いえ、遠慮します。」
「つれないねぇ。」
「あ、あの!」
「ん?どしたのティムっち?」
ラーチャオさんがこっちを向くと、アクセサリーがジャラジャラ音を立てる。……やっぱり苦手かもしれない。とりあえず、何か話を……。
「ら、ラーチャオさんはタンクなんですよね。防具って持ってないんですか?」
「防具?」
「はい、盾とか鎧とか。」
「俺が?盾?鎧?まっさかー!このファッション見てみ?俺にはそんなの似合わないっしょ!俺にはこれがピッタリなのよ!」
「そ、そうなんですね。」
……うん。やっぱりこの人苦手かも。チラチラとサキさんを見てる……な、何か嫌な予感がしてきた。
「ティムっち、そんな心配すんなって!ティムっちもカズハっちも、ティムっちのパートナーの二人も、俺がしーっかり守ってやっから!」
「は、はあ……。」
「馬車の手配が終わったぞ!皆、こっちに来てくれ!」
カズハさん!いいタイミング!
「じゃ、じゃあ行きましょうか!行こうサキさん、びー君!」
「おーけー!俺も行くぞー!」
僕達はカズハさんの借りた馬車に荷物を乗せると、カズハさんが運転を担当するみたい、先頭の馬に乗って手綱を握った。
「では行こう!今から私達は仲間だ、よろしくな!」
「はい、よろしくお願いします!」
「わ、私も頑張ります!」
「びー!びー!」
「皆元気だねぇ!俺も負けられないし!」
いよいよ出発だ!いざ、地竜の国、アースラへ!




