少年テイマー、新しい冒険者と出会う
僕、びー君、サキさんの三人は、まずは街役場に入る。マスターさんに冒険者証を更新してもらうんだ。
「ここが依頼者様のお屋敷……。」
「サキさん?ここは街の役場ですよ!」
「びー?」
「びー君は出ちゃ駄目ー!」
すると受付さんがこっちに走って来た。僕達の姿を見て、慌てて来たみたい。
「ティムさん!来てくれたんですね!」
「は、はい。でもまずはマスターさんに……。」
「分かりました!今呼んできます!」
……しばらくして、受付さんと一緒にマスターさんが走って来たよ!
「ティム、本当にありがとう!」
「はい!でもまずは、これを!」
僕は冒険者証を出して、マスターさんに手渡した。その後魔導カメラも取り出し、受付さんに渡す。
「冒険者証と映像です。これで更新をお願いします!」
「わ、分かった!すぐに取りかかろう!」
「でも、ティムさんの配信見ましたよ。テイマーはクズスキルなんかでは、無かったんですね……。本当にすみませんでした……。」
「私も反省している。テイマーだからと……いや、違う。そもそも相手が誰であっても、私の対応は絶対に間違っている物だった。あんな横柄な事をしてしまって、本当にすまない!」
「わ、分かってもらえたなら……。それで、この後僕達はどこに行けばいいんでしょうか?」
「あ、ああ。二階に一つ部屋があって、他に依頼を受けてくれた冒険者が待っている。冒険者証の更新をする間、そこで待っていて欲しい。」
あれ、昨日は受けてくれる人が居ないって言ってたけど、見つかったのかな?
「君が受けてくれた後に、二人の冒険者が名乗りを上げてくれたんだ。彼らは恐らく、旅の冒険者だろう。一緒に頼みたいのだが……。」
「分かりました!人数は多い方が頼もしいですし、一緒に頑張ります!」
「では……よろしく頼む!」
「お願いします!」
二人は深々と頭を下げ、それから奥の部屋に入っていった。
「ここです!ここに書いてあります![マスターの依頼を受けた人はこちら。]って!」
「びー。びー!」
「はい!さっそく入りましょう!」
二階に上がると、通路の先に一つ部屋があった。そこにカードがぶら下がっている。間違いない、ここだ!
「依頼を受けた人はどんな人なんだろう?挨拶をしておかないと。」
僕が扉を開けると……!
「あれ?」
誰も居ない?カードにはここって……。
「よっと!」
「っ!?」
上から気配が!?僕が上を向くと、魔力の玉が飛んで来た!
「危ない!それっ!」
僕は短剣を取り出し、魔力を纏わせそれを弾く!玉はふわふわと空を飛んで、すぐに消えてしまった。
「だ、誰ですか!?」
僕は部屋中を見渡す。すると居た!天井の壁に、一人張り付いている!あ、下に降りてきた。
「おおっ、いい腕!さすがティムっち!」
「は、はい?」
「……困っているじゃないか。だからやめろと言ったのだ。失礼にも程がある。」
「え、えっ?」
今度は前からもう一人!この人達が依頼を受けた人?
「君も依頼を受けたんだな。ならば、ここでは仲間と言うわけだ。」
「おーおー!堅苦しいのは抜きにして、語り合うっしょ!」
「あの、貴方達は?」
突然現れた二人。この人達はどんな人なんだろう?
「では、私から挨拶をさせてもらおう。」
最初に声を掛けて来たのは、黒髪の女性だ。背中には長い弓を背負っている。
「私はカズハ。見ての通り冒険者だ。まあ、一つの所に留まらず、旅をしながら修行をしている。スキルは狩人だ、よろしくな。」
「よ、よろしくお願いします。僕はティム、テイマーをやっています。」
「君の服の中にいる魔物が、パートナーだな。」
「はい。この子はびー君、ポイズンビーです。」
「そうか、よろしくな。」
カズハさん、クールでかっこいい人だなぁ。
「お?終わった終わった?なら次はおーれ!格好良くキメてみせるし?」
……この人は、何だろう。キラキラのアクセサリーをあちこちに着けた、金髪のお兄さんだ。ちょっと、近づきにくい雰囲気がある……。
「俺はラーチャオ!スキルはタンクって奴よ!守りに関しては、俺凄いんだぜ?つーことで、一つよろしくー!」
「よ、よろしくお願いします……。」
「お?ねーねーそこのお姉ちゃん、名前は?」
「は、はい!私はサキです。ティム様のパートナーを勤めております!」
「へぇ……。」
じ、じっとサキさんを見てる……。この人、少し怖い……。
と、とりあえず、話を変えよう!気になる事もあるし!
「あの。カズハさんはどうして依頼を受けたんですか?」
「私か?私はただ修行の一環だ。ヨツバソウというのは珍しい植物だ。それがある場所なら強い魔物がいるだろう。素材を集めて武器の新調を考えているのさ。」
「なるほど。ラーチャオさん、は?」
「俺?俺は気の向いた時にあった依頼を取っただけだし?難しいのをやれば、人気いっぱい金もガッポリっしょ?」
「な、なるほど……。」
二人とも個性的な人達だ。この人達と組んでの依頼……きっと僕も成長できるはずだ!
「……そろそろだな。依頼主の登場だ。」
「お?遂に来る?」
「緊張する……びー君、サキさん、よろしくお願いします!」
「びー!」
「は、はい!」
外から足音が聞こえ、この部屋の前で止まる。そして扉が開いてマスターさんが入って来た!
「皆、ありがとう!それではクエストの説明をさせてもらいたい。よろしく頼む!」
さあ、新しい冒険だ!頑張るぞ!




