出発。少年テイマー、パートナー交代!?
「わん!わん!」
「かめー!」
「びー!」
「へえ。サキさんか!いい名前だと思うな!」
「ミーもラルフと同じ意見だよ!よろしくー!」
「はい、よろしくお願いします!」
今は皆でご飯を食べながら、サキさんの名前を報告中!明日に備えてたくさん食べてると、僕の手をロットンさんがそっと押さえた。
「ティム君、頑張ってくれ!俺は明日に出ちまうが、何かあったら相談に来てくれて構わないぞ!」
「ロットン、心配し過ぎだぞ?先生は俺達より強いんだから大丈夫だって!」
「その時はよろしくお願いします!」
僕達の横、モブロウさんとモブスケさんもご飯を勢いよく口に入れていく。
「旨い!この料理は……リース姉貴のスープだな!」
「はい!正解です!」
「こっちはマイラ姉貴とびー君のはちみつパンですね!俺にはお見通しですぜ!」
「びー!びー!」
「ほう。よく分かりましたね。」
リースさん、僕が初めに来た時よりもずっと楽しそう!賑やかだと楽しいし、ご飯もすすむし、さあどんどん食べ進めよう!
「あ!ラルフさんそれは僕のパンです!」
「先生!これは俺が早かったから俺のパンだぞ!」
「慌てなくてもまだまだありますから、落ち着いて食べて下さいね!」
「あー、ラルフとティムは怒られちゃったね。一個ずつゆっくり食べないと!」
そう言うミーさん両手にパンを持ち、口に一つ咥えている。
「お前が言うなよ!三つ持ってんだろ!」
「ミーさん僕にも一個ください!」
「あはは!だーめ!」
皆で笑いながらご飯を食べる。……勇者パーティーに居た頃は、こんなに楽しくご飯を食べた事なんて無かったなぁ。皆に会えたのは、配信を勧めてくれたサリアのおかげだよね。今は何をしてるんだろう……。改めてお礼をしなきゃ!
「んじゃ、適当な所でお開きにするか!明日も早いぞ、今日はゆっくり寝とくように!」
「はい!」
片付けもきちんとやらないとね。僕達は使った食器を集めて流し台に持って行く。そうだ、ロットンさんに気になった事を聞いてみよう。
「そう言えば、僕の冒険者証ってどうなるんでしょう?ストーレやカーノンに行った時も黒塗りだったんですよね。」
「心配無いさ。ストーレに行った時は観光だったんだろ?カーノンには職員の俺が同伴してたから、身分証明も出来てるし。あのマスターも同行してくれるなら必要無いが、息子さんの側に居た方がいいよな。」
「じゃあ。」
「一応正式に更新してもらうといい。ラルフの試験に付き添ってるし、ティム君はアイツと違って他にも実績あるからな。条件のCランク証はすぐ出せると思う。」
「分かりました!」
そして食器を整理して、明日の準備も終わったのを確認。よし!大丈夫!
「明日が楽しみだな!ティム君!」
「はい!」
◇◇◇
「わふー。わふー。」
「………………。」
「わふ?わふー……。」
「そーっと、そーっと……。」
「……わふ?」
「ご、ごめんね……えいっ!」
ぱくっ。
「わふ……。わうー。」
◇◇◇
朝だ!さあ起きるぞ!
「リースさん、おはようございます!」
「ティムさん!いよいよ出発ですね!」
「はい、頑張ってきますよ!」
リースさんに挨拶をして、早めにご飯。服を着替えてからパンを咥え、リュックを背中に!
「おー。起きたねティム。」
「おはよう先生!いよいよだな!」
ラルフさんもミーさんも起きた!
「ラルフさん、ロットンさんは?」
「アイツはモブロウ達と畑だよ。体を温めるんだってさ。」
「なるほど!では……行ってきますね!」
「がんばれー!応援してるよー!」
「先生!しっかりな!」
「はい!レルー!そろそろ行くよー!」
…………あれ?
「レル?レルー!」
「わ、わふ……。」
「レル!おはよう!ってどうしたの!?」
「わふー……。」
レル!?顔色が悪いよ!
「もしかして、昨日ご飯を食べ過ぎたでしょ!」
「わ、わふ!?わん、わん!」
レルは首を横に振ってる。でも、何かフラフラしてるし……。
「何か混じってたのかな?ちゃんと食べれる物を確認したと思うけど……。」
どうしよう……レルが居ないとテイマーの力を発揮できない!
「おはようございます。皆起きましたね。」
「マイラさん!」
マイラさんがクワを持って扉を開けた。太陽の光が入ってきて、眩しく光る。
「レル?体調を崩したのですか?」
「はい……どうしましょう。」
「びー?びー!びー!」
「おや、びー君?」
「びー!びー!」
「……えっ?」
あっ、びー君が飛んで来た!それで僕の肩に止まって……
「びー!」
「えっと、びー君が一緒に来てくれるの?」
「びー!」
「それは良い。ティムは以前、びー君から力を借りていましたよね。信頼関係なら大丈夫でしょう。」
「た、確かに。びー君の力を借りれば、ちゃんと戦う事も出来ます。……レル?今回はどうする?」
レルをじっと見るけど、お腹を下にしてぺたんと寝そべっている。やっぱり難しいよね……。
「わ、わふ!わん!わん!」
「びー!」
「わん!わん!」
「びー?びー!」
びー君と話をして、レルはこっちを向いた。
「わん!わん!」
「……分かった!今回はびー君と頑張ってくるよ!レルは今回はお休み!しっかり体を治してね!」
「わん!」
ちょっと予想外の事態になったけど、何とかなる!いや、何とかしてみせる!僕達は強いんだ!
「で、では行ってきます!行こうびー君!」
「びー!」
「ま……待って下さい!」
奥から声が掛かる。声の主は、サキさん!?
「その依頼……私もついていきます!」
「えっ!?」
突然の提案!何でだろう?
「そ、その……私サキュバスですし、戦力の面ではお役に立てるかもしれません。それに……名前を頂いたお礼をしたいんです!お願いします、連れてってください!」
…………どうしよう。でも戦力は欲しいし、サキさんの力も見てみたい!
「それでは、一緒にお願いします!」
「はい!」
満面の笑みで返事をくれたサキさん。今回はこの三人で出発だ!
「では、行ってきます!」
最後に畑のそばを通って、ロットンさん達の所へ。ちゃんと挨拶しておこう!
「ロットンさーん!モブロウさん、モブスケさんも!行ってきますねー!」
「ティム兄貴!こっちは任せてくれよなー!」
「兄貴!応援してますぜー!」
「んじゃ、俺も行くか!じゃあな皆!また来た時はよろしく頼むよ!リースちゃんも元気でな!」
「はい、ロットンさんも行ってらっしゃい!」
「ああ、では諸君!さらばだ!」
◇◇◇
僕達はそれから街まで進み、門の前に着いた。ここでロットンさんともお別れだなぁ……。
「そんな顔すんなって、また遊びに来るさ!ティム君、頑張れよ!君達なら今回の依頼も大丈夫さ!」
「はい!では……また!」
「おう!」
ロットンさんは後ろを振り向きながら自分の帰路に。そして僕は……街の方に!
「じゃあ……行くよ!」
「びー!」
「は、はい!」
一応びー君は僕の服の中に。そしてサキさんには羽と尻尾を隠してもらう。まずは街役場に行かないと、冒険者証をちゃんと更新してもらうんだ!
「おっ、来たな来たな。」
「そうか。あの子が噂の……。」
「どんな挨拶をしちゃおっかなぁ!」
「礼は尽くせ。失礼のないようにしろ。」
「へっ、楽しみだねぇ!」




