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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第七章

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少年テイマー、依頼を引き受ける!/なまえをもらった日

「この人がマスターさんの……。」


「そうなんだ。私の大切な息子なんだよ……。」


 僕達はマスターさんのお家にいる。ここのベッドに寝ている男の人が、マスターさんの息子さんなんだ。



「森の中で採集依頼をしていたんだ。そうしたら突然、黒い魔物に襲われた。本人はそう言ってたんだ。」


「傷は大した事無さそうだ。これは一体どういう事だ?」


「原因は分からない。だが、しばらくしてから急に動けなくなって、そのまま眠ってしまったんだ……。」


 息子さんはすやすやと普通に寝ているように見える。でもそれが何日も続いているなら、明らかにおかしい!


「ティム……頼む!私は後でどうなってもいい!だがこの子だけは何としても助けてやりたいんだ!」


「…………。」


 頭を下げ、僕に依頼を出すマスターさん。本当はちょっと迷ってる。でも、息子さんを放ってはおけないよ!


「分かりました!その依頼、僕が引き受けます!」


 改めて僕は宣言する。テイマーの力を発揮して、ヨツバソウを手に入れてみせるんだ!


「よ、よろしく頼むよ!じゃあ、準備が出来たらこちらに来て欲しい。本当に、本当にありがとう!」


 涙を流しながら僕の手を振るマスターさん。さっそく準備をして、早めに出発だね!















 ◇◇◇


「って事があったわけよ。ティム君はお人好しだな。」


「先生は優しいからな!何とかしてあげたいって思ったんじゃないか?」


 僕達はそれから村に帰り、今は荷物の整理中。僕は二階に居るけど、ロットンさん達は下で色々と話をしてる。リースさん達は外で畑のお世話中だね。


「ま!ここからはティム君に任せるか!俺も仕事があるし、彼なら一人でも大丈夫だろ!」


「一人じゃないよ!ティムにはパートナーのレルがいるでしょ?」


「確かに!なら全く心配はいらないな!んじゃ、俺も荷物を揃えてくるかな。ラルフの審査が楽しみだ!」


「ミーも準備しよー!これから何の配信をしようか、考えるだけでわくわくしちゃうよ!」


「俺は少しここに残るよ。休みを取ってリフレッシュだ!」



 皆それぞれの活動のために、一度借りている家に戻るみたい。僕も準備の続きをしないと。








「ポーションよし、短剣よし、ご飯は……」


 ご飯は明日にしよう。リースさんに作ってもらって……ううん、自分で作ろうかな?サンドイッチを用意しておこう!














◇◇◇


「おや、ティム。料理ですか?」


「あっ、マイラさん!それと……」


 キッチンに立つと、マイラさんとサキュバスさんが一緒に立っていた。マイラさんは格好良くて、サキュバスさんはやっぱり美人だ。ついつい目が二人に向かって行っちゃう……。



「ティム、よそ見はいけませんよ。包丁は危ないですから。」


「は、はい!」


「そう言えば、貴方の名前をまだ聞いていませんでしたね。せっかくですから教えてくれませんか?」


「そ、それが……。」


 マイラさんはサキュバスさんに質問しながら、コップの水を口に入れる。僕は包丁を動かしながら二人の話を聞いている。手元には気をつけてるからたぶん平気だよ!











「私……名前って無いんです。ジャ……ご主人様にはずっと、おい、とかお前、と呼ばれていました。」


「ぶっ!?」


「いっ!?」


 マイラさんが口から水を吹き出し、僕はまな板に包丁を深々と突き立ててしまった……どういう事!?







「ちょ、ちょっと待って下さい!サキュバスさん、名前は無かったんですか?」


「は、はい。」


「……男にとってはやはり、貴方はオモチャだったのでしょうね。ふざけた男だ、私が居れば消し炭にしている所ですよ。」


 マイラさんが怒ってる。当たり前だよ!魔物は物じゃ無いんだから!






「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


 さ、サキュバスさん!?頭を抱えて、地面にしゃがんじゃった!?今度はどうしたの!


「わ、私が悪かったんです!こんな事を言ってしまったから、お二人は怒ってらっしゃるのでしょう!ごめんなさい、ごめんなさい!」




 ……サキュバスさんは何度も何度も謝ってる。サキュバスさんが逃げ出すまで、男にとってはお気に入りのオモチャだった。でもおそらく、周りの人達は彼女の事を……。









「落ち着いて下さい!貴方は何も悪くない!」


「そうですよ!ここには貴方を傷つける人は居ないです!」


「うう、うあああああ!」



 サキュバスさんをそっと抱きしめるマイラさん。サキュバスさんはしばらく泣いていたけど、やがて落ち着き、こちらをそっと見た。




「ご、ごめんなさい……。急にパニックになってしまって……。」


「気にしないで下さい。私達で良ければ相談に乗りますから。」


「あ、ありがとうございます……。」


「……そうだ。ではここで名前をつけましょうか。」


 マイラさんはサキュバスさんをじっと見て、言葉を発した。



「こ、ここで?」


「はい。貴方は家を出て、今はここに居る。心機一転、ここから再スタートする為にも必要ですよ。」


「そ、それでは……どんな名前が良いでしょうか?」









 それからは僕とマイラさんで、サキュバスさんの名前を考えていた。色々提案してはみたけど、サキュバスさんに合った名前が中々思いつかない!




「さて、困りましたね。」


「困りました……。」


「……そうだティム、貴方は名前をつける時、どうしていますか?」


「ぼ、僕ですか!?そうですね……種族の名前からとっています。レルはブレードウルフから、びー君はポイズンビーから。マイラさんもそうですよ!ヘルキマイラからとってます!」


「おや確かに、自分で決めたのに忘れていましたね。では、サキュバスさんには……。」














「「…………サキさん。」」


 僕とマイラさんは同時に口にしていた。


「は、はい?」


「サキュバスのサキさん!どうでしょうか、かわいい名前だと思います!」


「私も同感です。優しい響きのいい名前だと思いますが……。」








 ど、どうかな……?


「……サキ。私の名前!」


 サキュバスさんは小さな声で何度も名前をつぶやいている。これは……!





「お二人とも、ありがとうございます!私は……私はサキュバスのサキです!素敵な名前を、ありがとうございます!」



「や、やったー!サキさん、よろしくお願いします!」


「決まりましたねティム!では、これからよろしくお願いしますね、サキ!」


「はい!」



 サキュバスさん……サキさんは大喜び!名前を何度も呼んで嬉しそう!マイラさんも……小さく跳ねているのが分かる、すごく嬉しいんだ!










「あっ。」



 外……もう夕焼けになってる……。


「…………サンドイッチ!?忘れてた!」


「ティム、すみません。時間を使ってしまいましたね。では今回は、私も作るのを手伝いましょう!期待していて下さい!」


「お、お願いします!」


「私も少しならお手伝いできます!や、やらせて下さい!」



 急がないと!リースさん達が帰ってくる前に、明日の用意をしておかなきゃ!僕はマイラさんとサキさんと三人で、サンドイッチを作り始めたんだ。


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