表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/279

少年テイマー、女性の身の上話を聞く

「ふう。ごちそうさまでした。」


「全部飲んじゃいましたね。体の方はどうですか?」


「はい。もう大丈夫です!」


 女性は樽いっぱいのミルクを飲み干し、ベッドにちょこんと座っている。だいぶ落ち着いたみたいだし、そろそろいいかな?


「すみません!貴方はどうしてあんな怪我をしてたんですか?やっぱり魔物に襲われたんでしょうか?」


「は、はい。よく分からなかったんですが、後ろから斬られてしまって。」


「なるほど……。でも、どうしてあの山の中に?服を見た時、きれいな物だったので気になってしまって。」


「………。」


 女性は口を閉じてしまった。聞いちゃいけない事だったかもしれない。



「す、すみません。言いづらいですよね。」


「あっ……い、いえ!お話しします。私、実は……。」



 腕をさすった後、慌てたように話し出した女性。いったい何があったんだろう?







「私、実は逃げてきたんです。」


「ほう、逃げてきた?いったいどこから?」


 マイラさんも一緒に話を聞く。いきなり気になる言葉が出てきたよ……。


「はい、私は元々グランド王国に住んでいたのです。」


「グランド王国に!?」


「ティム、落ち着いて下さい。」


「ご、ごめんなさい。」


 僕が聞きたいって言ったのに、話を止めたら駄目だよね。気をつけます……。






「私は小さい頃に両親を亡くしました。それで途方に暮れていた所を、人間の男に拾われたのです。」


「ふむ。」


「私は初め、その男に感謝していたのです。身寄りのない私を引き取ってくれた。私はその方をご主人様として、屋敷でお仕えしていたのです。」


「その人、いい人だったんですね。やっぱり魔物と共存できる人もいるんですよ!」





「ですが……私は……。」


「私は?何があったのですか?」


「……うう。ああ……!」


 女性は急に泣き出しちゃった!?



「ある日私は男の寝室に呼ばれました。ご主人様の用事、私は何事かと思い、すぐに向かったのです。」


「は、はい。」


「そこで待っていたのは、他の使用人を含めた大勢の男達でした。そしてご主人様は私に、皆の前で自分の隣に座るよう求めたのです。」


「ま、まさか……考え過ぎ、ですよね。」


「そ、そうでしょう。しかしサキュバスの言い伝えの通りなら、もしかしたら……おそらく貴方も。」


 女性はタオルで顔を拭きながら、話を続ける。







「はい。……私は初めから道具としか思われていなかった。私はそれを拒否しました。いくらご主人様でも、それは出来なかったのです……。」


「酷い事を……それで貴方は。」


「そしてその日の夜、私はクビを宣告されました。そしてこうも言われたのです……[人の姿をしていてもやはり魔物、オモチャにもなれない出来損ない。]と。」


「…………。」



 僕は拳をギュッと握っていた。そんな酷い事があるなんて……。



「私はすぐに荷物をまとめて家を出ました。そして走って走って、気づいたら森の中に居たのです。ようやく落ち着けると思ったら、後ろから斬られてしまって……。」


「「…………。」」


 僕とマイラさんは黙ったままだった。言葉が見つからなかったんだ……。






「それで、今は助けて頂いてここに居ます。本当に、本当にありがとうございます!」


「そんな事情があったとは知らず、深く聞いてしまいましたね……。すみません。」


「……。」


 今、この人は行き先がどこにも無い。追放された時の僕と一緒だ。何とか、何か出来ないかな……?











「そうだ!」


「ティム?どうしました?」


「いえ、それならしばらくここに居てもらったらどうでしょうか?傷は治りましたし、落ち着ける拠点としてここを使ってもらえば!」


「ふむ。ではリースの許可をもらいますか。しばらく待っていて下さい。」









「その必要はありません!」


「……リース、それに二人も。」



 マイラさんが外に出ると、そこにはリースさんにラルフさん、ミーさんの三人が居た。扉に耳をつけて、話を聞いていたんだ。



「もしここで良ければ、空いたお家があるのでそこを使って下さい!今後の事はゆっくりと考えましょう!」


「そうだぜ!まあ、俺達が何を出来るって訳じゃないけど、ひとまず家があった方がいいよ!」


「そーそー!困ったらティムに相談して!そしたらミー達も話を聞いてあげられるよ!」


「皆さん……。」





 女性は笑顔をこちらに向け、ペコリとお辞儀をした。


「しばらくの間、ここでお世話になります。よろしくお願いします!」


「はい!こちらこそよろしくお願いします!」


 リースさんが女性の手を取り、ギュッと握った。それを見た女性も嬉しそうだ!






「それではご飯をお持ちしますね!しばらく待ってて下さい!」


「は、はい!お願いします。」


 リースさんが外に出ていく。これで一安心だ、僕もまた休憩しよう!


「ラルフさん!ミーさん!一緒にジュース飲みましょう!」


「いいね!先生こっちだ!」


「ティムの分もちゃんとあるよ!いそげー!」


















 ◇◇◇



「ところで一つ気になったのですが……。」


「はい、何でしょうか?えっと、マイラさん?」


「ええ。その腕輪、綺麗ですね。」


「あ、ありがとうございます。こ、これは親からもらった形見なんです。肌身離さずつけておくよう言われた、お守りなんです。」


「そうですか。しかし……。」


「あ、あの……?」


「いえ。利用されていたとはいえ、お屋敷勤めなのでしょう?その腕輪、仕事の邪魔にはなりませんでしたか?」


「っ!いえ、特には……。り、理解のあるご主人様でしたので……と、当時は。」


「そうでしたか。変な質問をして申し訳ありません。では、失礼しますね。ゆっくりと休んで下さい。」


「は、はい。」






 パタン。

















「う、うまく入りこめたけど……ここからどうしよう……?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ