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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第七章

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サキュバスと出会った日

 僕達は一度、椅子に座って休憩する事にしたんだ。皆でジュースを飲みながら、カーノンの街であったことを話してるよ!


「それでねー!ミーはここでドカーンって敵を投げ飛ばしたの!そしたらみんな驚いてたんだよ!」


「すごいです!見てみたいです!」


「いいよ!ラルフで試してみよう!」


「駄目に決まってんだろ!?」


「わん!わん!」


「かめー。」



 僕は楽しそうに話す皆を見ながらレルを撫でる。忙しくてあんまり出来なかったから、今はたくさんもふもふしたいなー。


「わふー。」


「もふもふー!」


「さて……どうするかな。」


「ロットンさん?」


「どうしたロットン?」


 ロットンさんは腕を組んで椅子に座ってる。考え事があるみたい。




「いやな、この書類と映像を送らねぇと審査できねぇからな。早めに行きたいんだが……。」


「なら俺が行くよ!お前はここに居たらどうだ?」


「さっきも言ったがお前は少し休め。それと……お前が行ったら駄目だぞ、試験官がやらないとな。」


「俺はすぐじゃなくても良いよ。お前もここに残れば?」


「そうだな……。」


 ロットンさんはそう言ってミルクをグイッと飲む。そのタイミングでマイラさんが部屋から出てきた。




「ティム、少し来てくれませんか?」


「マイラさん?どうしましたか?」


「いえ……少し困りましてね。こちらで見て頂きたいのです。」


「はい、今行きます!」


 何だろう?僕はジュースの入ったコップを置いて、マイラさんの部屋に入った。












「失礼しま、わっ!?」


「来ましたか、ティム。」


「ど、どうして彼女は裸なんですか!?」


「服が汚れていたので、後で洗おうと思って脱いでもらいました。見て下さい、傷は完全に治りましたよ。」


 僕の目の前には、ズボンを履いて背中を向ける女性が眠っていた。た、確かに傷は無い。傷跡も無い!さすがマイラさんだ!でも彼女の背中には……





「黒い、羽?」


「ええ。この人は普通の人間では無いようですね。」


 背中に二本、羽が畳んである。怪我を治した時は服を着てたから気づかなかった……。


「しかし、見た感じは間違い無く人間です。呼んだ理由はこれです。ティム、どう見ますか?」


「そうですね……思い当たる種族はあります。でも……。」


「でも?何です?」


 僕は顔をふさいだ。だって……


「早く確認しますよ?それによって今後の対応も変わってくるでしょう?」


「そうなんですけど……。」


 それで、後ろを向いてからその理由を言ったんだ。






「その人……おしりに尻尾はありましたか?」


「はい。黒い尻尾がありましたね。」


「だったら……。」


 よかった、それが分かれば方法はある!この人は!







「この人はおそらく……サキュバスです。」


「サキュバス?あのサキュバスですか?」




 サキュバス……気に入った生き物を巣に連れ帰って捕食する……って言われている魔物。目撃例の少ない珍しい魔物だ。



「サキュバス……こんな話がありますね。サキュバスと他の生き物の間に生まれた子は、優れた才能を持つという話があります。それを目当てに各地の有力者が乱獲して、数を一気に減らしてしまったと……。」


「はい。でも、そのサキュバスがどうしてここに?」


「考えている余裕はありません。傷は塞ぎましたが、早く精のつくものを用意しなければ。」


「分かりました!」


「ではティム、早く用意しましょう!」


「はい!すぐに準備します!」


 僕はカバンを降ろして、装備を脱ぎ始めた。


















「短剣と荷物はここに置いておきます!」


「分かりました。行ってらっしゃい。」


 僕は駆け足で皆の所へ!




「ティム先生?」


「ちょっと街までミルクを買いに行ってきます!」


「ん?なんでミルクなの?」


「あの人はサキュバスだったんです!」





「「サキュバス!?」」


 ラルフさんとミーさんは驚いて椅子から落ちちゃった。


「先生!?サキュバスって、あのサキュバスか!?」


「嘘!全然気づかなかった!」


「サキュバスの好きな物はミルクなんです。魔力回復の効率がいいのか、種族全体での好物みたいです。」


「マジか……。」


 僕はレルに乗って、街へ向かう!この村の近くにあった街ならミルクも売っているはず!冒険者証を更新したあの街なら!







 ◇◇◇


 [悪いが君に出すクエストは無い。君は勇者パーティーを追放されたんだ。そんな汚いテイマーの面倒を見るほどウチには余裕は無い。帰りたまえ。]


 [えっ!?あの]


 [聞こえなかったか!さっさと消えろ!]


 [ま、待って下さい!]


 [しつこい奴だ!あまり付き纏うと力ずくで追い出すぞ!]


 ◇◇◇









 あの街……なら…………。






「どうしたティム君!震えてるぞ!」


「あ、あの。」


 思い出しちゃった……冒険者証の更新の時、すごく怒られたんだ。あの街じゃ、もしかして売ってもらえないかも……。





「僕、あそこには……。」


 僕はロットンさんに事情を説明したんだ……。




「嘘だろ!?役場の職員がそんな事言ったのか!?言うにしても言い方ってもんがあるだろ……。」


「ど、どうしよう……。」


「他の奴らが行くでもいいが、ミーとラルフだと……追い返されるだろう。ティム君と知り合いなのは配信を見てれば分かるからな。でも、ティム君の今後の活動の為には……。」


「僕は……」


 不安になった僕、その肩にロットンさんは手を置いた。



「乗りかかった船だ。帰る前にもうひと仕事してくかな!俺が着いていこう!」


「ろ、ロットンさん!」


「いやー!デキる職員は辛いねぇ!ま、任せときな!」



 ロットンさん……かっこいいなぁ。僕も頑張らないと……!



「僕はずっと頑張って来たんだ。大丈夫……大丈夫だ!」


「その意気だぜ!んじゃ、行こうか!」


「はい!お願い、レル!」


「わん!」


 僕はレルの背中に乗って、ロットンさんと一緒に街に向かう。



 僕は強いんだ!絶対にミルクを手に入れてみせるぞ!



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