少年テイマー、村へ到着!
「ふう、気張れよティム君!」
「はい!頑張ります!」
僕とロットンさんは、倒れた女性に魔力を送り込んで傷を塞ぐ。少しずつ傷は塞がっていくけど……何だかふらふらしてきた……。
「ティム君、ポーション飲んで!魔力切れで倒れたら助けられねぇぞ!」
「は、はい!」
僕は一度手を止め、ポーションをがぶ飲みする。それから目を閉じて呼吸を整え……うん、大丈夫だ。
「あんま無理すんなよ!キツいなら言ってくれ!」
「大丈夫です!早く終わらせましょう!」
二人で魔力をガンガン送り込み、それから数分。ようやく傷が塞がり、女性はすやすやと寝息をたて始めた。
「すぅ……。」
「これでおおむね良し!今のうちに村まで運ぶぞ!」
「はい!」
「ロットン、先生ー!おーい、大丈夫かー!」
ラルフさんとミーさんがこっちに向かって来る。この状況を見て、二人は顔を真っ青にしていた。
「ティム!ロットン!どうしたのその人!すごい傷だよ!?」
「ミー。悪いな、やっぱり早く出ないと駄目だ。ラルフ、お前は後ろからゆっくり来てくれて良いぞ。」
「あ、ああ。分かった、俺はゆっくり行くよ。レル、この人を乗せてやってくれよ!俺は平気だからさ!」
「わん!わん!」
レルは女性をそっと背中に乗せると、皆より早く歩き出した。僕達は早く村に帰ろう!あの人はレルに任せるんだ!
「レル、ごめんね!僕達は先に行くよ!」
「わん!わん!」
レルを追い越して、僕達は村に急ぐ。皆に知らせないと、このままじゃ危ないよ!
◇◇◇
「ふんふーん。ふふーん。」
「びー!びー!」
「びー君!今日もいいお天気ですね!日が暮れる前にお料理用のお野菜をとりましょう!」
「びー!」
私はリース。今は友達のびー君と一緒にお野菜を集めてます。今日はシチューを作るんです、楽しみですね!
「姉貴!こっちの収穫は終わったぞ!」
「モブロウさん、お疲れ様です!」
モブロウさんが別の畑から、にんじんとお芋を持って来てくれました。後は……何を収穫しましょう?とうもろこしなんて入れたらおいしそうです!
「皆楽しそうですね。私も嬉しいです。」
「マイラさん!今日はシチューを作りますよ!」
家から出てきたのはマイラさん。その手にはシャベルを抱えてます。
「それは楽しみです。どうでしょう、今日は私が作りましょうか?」
「おっ、マイラ姉貴の手料理か!これは仕事が捗るな!」
マイラさん、何でも出来て凄いです!でも、私の方がお料理はおいしいです!たぶん!自信あります!
「……おや。来客ですか。」
「マイラさん?」
「この魔力は……フフッ、帰って来ましたか。」
「それでは!」
マイラさんが感じた魔力は……もしかして!
「ティム、レル、ラルフ。それと……確かロットン、ですかね。他にも知らない魔力が。新しい友人でしょうか?」
やっぱり!マイラさんが皆を迎える為、村の入り口に!私もついていきます!
「見えました。あそこですね。」
「えっ?ま、まだ見えません……。」
「あそこですよ。はい。」
マイラさんが私を持ち上げ、魔力を感じる向きに動かしてくれました。そこで目を凝らすと、見えた!見えました!ティムさんとロットンさんがこっちに走ってきます!
◇◇◇
僕達は村に帰って来た!でも、今はのんびりしてる場合じゃ無い。ロットンさんはひと足早く村の入り口に入った。
「着いたぞ!リースちゃん!」
「ロットンさん!あれ、ラルフさんは?」
「悪い、今はそれどころじゃ無ぇんだ。至急ベッドを借りるぞ!」
「何かあったのですか?」
「マイラさん、僕が説明します!まずはあの人を!」
僕が後ろを指差すと、レルとミーさんが。そこからだいぶ遅れてラルフさんが見えてきた。
「わん!わん!」
「ここがティムの村だね!早く早くー!」
「ふむ、あの人ですか。分かりました、私が診ましょう。ベッドに寝かせて下さい。」
「わふ!」
レルはお家に入り、ベッドに近づく。そこでマイラさんが女性を抱えて、そっと乗せた。
「なるほど……これ位なら私が治しましょう。皆さんは部屋の外へお願いします。」
「ああ。……なぁティム君、前来たときにも居たが、この人は誰なんだ?」
「最近移住したマイラさんです。畑仕事が大好きな人なんですよ。」
「そうなのか……じゃあ、よろしくお願いします。」
「ええ、では。」
マイラさんはパタンと扉を閉め、僕達は外で待つ事に。少し遅れてラルフさんもやって来た。
「先生、あの人は大丈夫かな?」
「今マイラさんが傷の手当をしてくれてます。マイラさんなら絶対大丈夫です!」
「まああの人ならそうだよな。だってヘルキ」
「あ、あの!」
リースさんがコップの載ったお盆を持って、こっちに来てくれた!
「皆さん、一度休憩しませんか?何があったのか、お話も聞きたいですし……。」
「いいねー!ミーが教えてあげるよ!」
「俺も教えるよ!今回は大活躍だったんだぜ!」
ロットンさんは僕の方を見る。
「ティム君、ここはあのマイラって人に任せて、俺達も休憩しようか。」
「はい!」
僕達はリースさんと一緒に机に直行だ!……マイラさん、よろしくお願いします!




