少年テイマー、帰る途中にて
今回から本編に入ります。よろしくお願いします。
「ほらほらお前達!さっさと走れ!」
「ロットン!だから急かすなって言ってんだろ!」
「ラルフさん、頑張りましょう!僕も頑張りますから!」
「ラルフもティムも元気だね!ミーも負けられないよ!」
「わん!」
「かめー!」
僕達は今、カーノンの街からリースさんの村に帰る所なんだ。今回も色々あったけど、無事に解決できたよ!
「さて、ティム君。君はこれからどうする?やっぱ休憩かな?」
「はい。ちょっと疲れたので少しのんびりしようと思います。」
「ねーねー!せっかくティムの村に行くんだから、ミーにもお友達を紹介してよ!」
もちろん!リースさんもきっと喜ぶと思う!
「いいぜ!リースちゃんはいい子だから、きっと仲良くなれると思うよ。」
「ラルフには聞いてないよ?」
「俺の方が先生より付き合い長いの!リースちゃんの事は色々知ってるぞ!」
「うわぁ……。」
「悪いラルフ、流石に俺も引くわ。」
「からかうなよ!?俺は真面目に答えてるんだぞ!?」
ロットンさんとミーさんは二人でくすくす笑っている。ラルフさんは怒ってるけど……何だか楽しそう!やっぱり、慣れた相手だと話してるだけで楽しいよね!
……サリアはどうしてるかな?一段落したら、ストーレの街に行ってみよう!リースさんの手料理と、僕の料理も持ってってあげよう!きっと喜んでくれる……と思う。
「いやぁ悪い悪い!やっぱお前はいい奴だよな。そんなお前が昇格出来るか……ちゃんと審査しねぇとな。俺は役場に書類や映像を持ってくから、お前はしばらく休んどけ。」
「そうするよ。俺疲れちゃった……。」
「まあ、頑張ったからな!……それでティム君、君から見てラルフはどうだった?」
「そうですね……。」
……走りながらで聞く内容かな?でも、ラルフさんは凄く強くなった。初めに会った時よりもずっと!それを伝えなきゃ!
「ラルフさんは充分合格点だと僕は思います。タルトと一緒なら、トロールだって倒せた!本人がもっと力をつければ、向かうところ敵なしです!」
「だってさ。ラルフ単体だとそれほど……。」
「いや、事実だけどさ!?そう言う言い方やめて!」
◇◇◇
「さて、ここまで来たか。」
僕達が着いたのは、最初に皆で野宿をした所。後はここを下って村に帰るだけだよ!
「もうすぐだね、レル!」
「わん!わん!わふー!」
レルを撫でながら、村の皆の事を考える。帰ったら何を食べようかなぁ。ラルフさんは地面に座って、ロットンさんは木に寄っかかっている。ちょこっと休憩だね!
「ハァ……疲れた……。」
「ではラルフ、ここで質問だ。」
「い……行きでやった奴だな!何が来るんだ?」
ロットンさんの質問。ラルフさんはどう答えるかな?
「じゃあ聞くぞ?ゆっくり歩くか、一気に下っちまうか、好きな方を選べ!」
「えっ、じゃあ歩きで……。俺本当に疲れた……。」
「んじゃ、ここで少し休んでからのんびり行くか。まだ夜まで時間はあるし、走りまくったからな。」
するとミーさんはラルフさんの持ってる荷物を受け取り、自分で抱えていた。
「いいねー!ならラルフ荷物貸して!ミーが持ってあげるよ!」
「ミーは元気だよなー。」
「レル!ラルフさんを乗せてあげて!」
「わふー!わん!」
レルは疲れたラルフさんを背中に乗せる。もふもふの毛皮で、ラルフさん気持ちよさそう!
「ありがとうな、レル!……癒やされるなぁ。」
「さて、軽く飯でも作るか。今から火を……あ?」
ロットンさん……どうしたのかな?急に動きが止まっちゃった。
「ロットンさん?」
「おい……あれは……。」
「えっ?」
僕とロットンさんの視線の先には……
「う、うう……。痛、痛いよぉ……。」
女の人!?こっちに歩いて来てる!?
「おい!そこの人!大丈夫か!?」
「ロットンさん、僕が行ってきます!」
「頼むティム君!おいミー、ラルフ、計画変更だ!すぐ出るぞ!」
「何かあったのか?」
ラルフさん達の声が聞こえる中、僕は女の人の所へ走って行った。
「大丈夫ですか!?」
そこに居たのは、オレンジ色の髪の女の人。僕が近づくとその人は体を揺らして、その場に倒れ込んじゃった!?
「酷い傷……いったい誰がこんな事を!」
「た、助けて……下さい……。」
「あ、あの!」
「殺さ……ないで……。」
もう体力の限界なんだ、早く治さないと!
「大丈夫です!僕が傷を塞ぎますから!どこが痛みますか!?」
「せ……背中に……。」
言われた通りに背中を見ると……縦に斬られた様な傷がついていた。ここを何とかしないと!
「ポーションを買っておいて良かった!早く治そう!」
僕は背中に手を当て魔力を込める。早く、早く塞がないと……!
「ティム君、俺も入ろう!どこを治せばいい!」
「一緒に背中を!深い傷です!」
「ったく、酷え奴もいるもんだな!今治すからもう少し我慢してくれ!」
「は、はい……。」
ロットンさんと一緒に傷に魔力を送り続ける。大丈夫です、絶対に助けますから!




