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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第六章

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閑話 テイマー捕獲作戦

 ここはグランド王国。王国擁する勇者パーティーのリーダー、シャーユは、いつもの料理店で一人で座っていた。


「ど……どうしてこんな事になったんだ……。何で、どうして……。」


 一人でぶつぶつと呟いていると、そこに一人の女性が現れる。それは緑髪の女性……騎士団長ジャンヌである。


「勇者様!しっかりして下さい!貴方は世界最強の勇者であり、魔王を討ち滅ぼすお方なのです!私がお傍に居ます、だから安心して下さい!」


「ジャンヌ……。」





 二人は王にティムの捕獲を命じられ、現在はここで休憩を取っている。ジャンヌは考えがあると言っていたが、シャーユには見当もつかなかった。








「では、行きましょうか。」


「あ、ああ!」


 二人は料理店から出ると、騎士団の拠点に足を運ぶ。ここでは多くの騎士達が訓練に励んでいた。



「ジャンヌ様!お戻りになられましたか!」


「ああ。私は少し地下に籠もる。私が出て来るまで誰も入れないようにしろ。いいな?」


「了解しました!」


 近くに居た騎士に命令を飛ばし、二人は地下室へ。そこには大量の訓練器具や武器が綺麗に並べられていた。







「ジャンヌ?ここに何の用があるんだ?普通の訓練所じゃないか。」


「いえ、ここはただの訓練所ではありません。見ていて下さい。確かこの辺りに……。」


 ジャンヌは壁を手探りで調べだす。すると一箇所、感触の違う所が手に触れた。


「ここだな。……ハアッ!」


「な、何だこの音!?」


 掛け声と共に強く壁を押すと、地面から轟音が響く。シャーユが驚いて目を向けると、そこには階段が現れていた。



「この下に私の考えがあるのです。さあ、一緒に!」


「ああ!よろしく頼む!」


 二人はまるで恋人のように手を繋ぎ、一緒に階段を降りていった。

















 地下に広がるのは巨大な空間。そこには多くの魔物が閉じ込められていた。



「ガウウゥ!ガウウゥ!」


「グルルル……。」


「ちっ、ちっ、ちっ!」


「フン……ゴミ共が……。」


「ジャンヌ?ここは一体……。」


「ここでは魔物を捕獲して、騎士団の成長に活用しているのです。訓練用のターゲットにするも良し、ストレス解消のオモチャにするも良し、最悪死んでも何の問題もありませんからね。」



 魔物の入っている檻を抜け、ひたすら奥に進む。するとある一つの檻で、ジャンヌは足を止めた。













「ここです。ここに私の作戦があります。」


「ここか?一体どんな魔物が……な、何!?」








「ひっ、な、何よ!?」


 二人の目の前に現れたのは、オレンジ色の髪をした魔物。こちらに気づいた彼女は、スラッとした長身に怯えた表情をしている。シャーユはその姿を見て、思わず唾を飲んだ。


「な……何て美しい女だ……!」


「勇者様もそう思いますか。確かに、コレは見た目だけなら絶世の美女でしょう。しかし……見て下さい。コレは魔物なのです。」


 ジャンヌは魔物の背中を指差す。シャーユがそこを見ると、黒い羽が背中に生えているのが分かった。



「こ、この女は!」


「そう。私の作戦にはコレを使います。ティムはテイマー、魔物と共に戦うのです。つまり……パートナーには絶対の信頼を置いている。」


「つ、つまり……?」


「はい。コレを奴の所に送り込んで、奴を懐柔するのです。奴とて男、コレに惹かれるのは間違い無いでしょう。」


「そうか!」


 シャーユはジャンヌの言おうとしている事が分かり、強くうなずいた。




「奴はパートナーの言う事なら簡単に聞くでしょう。言う事を聞いてこちらに戻って来ればそれで良し、来ないなら……。」


「こ、来ないなら……。」


「命令を出してすぐに始末できる。その為に送り込むのです。」


「なるほど!しかし……。」



 シャーユは目の前の魔物を見て、何かつまらなそうな顔をしていた。




「勿体ないな。コレをティムなんかに渡してしまうのか。」


「我らには不要な物です。勇者様の為なら何の問題もありません。」


「そうか……だが、どうやって送り込む?ティムの場所は分かってるのか?」


「配信動画がありましたよね?あそこはカーノンの街に属する村です。ならカーノンに向かわせればいい。……あそこには私が取り引きしている物があるのです。もうすぐ達成されるでしょう。」


 得意気に語るジャンヌ。どうやら、カーノンの街で何かを行っている様だった。



「色々大変だな。だが、これでティムを取り戻せる!あのクソテイマーや配信者共には渡さないぞ!」


「しかし、流石にこのままでは駄目です。奴と長く過ごすきっかけを作らねば……。」


 そう言うとジャンヌは牢を開け、魔物をじっと見下ろした。





「な……何ですか……?」


「お前にはこれから任務を言い渡す。成功すれば自由の身にしてやろう。」


「ほ、本当ですか!?」


「だが、まずはこれを着けてもらう。」


 ジャンヌは魔物に腕輪を取り付ける。



「いいか、お前の任務は…………。」


「は、はい……。」










 何分か話していた二人。それが終わり、魔物は牢から外に出される。


「さあ、行け。失敗すれば命は無いと思え。」


「は、はい。」


 魔物は外に出て、一歩踏み出す。そのすぐ後ろには、ジャンヌが腰の剣に手を掛けていた。


「だが……流石に無傷で合流すれば、怪しまれるだろうな。」


「えっ?」


 ジャンヌは魔物に向けて、自分の剣を振り下ろした。

















 場所は変わって再び料理店に。シャーユとジャンヌは食事をしながら話し合っていた。


「上手く行けばいいな。」


「大丈夫でしょう。貴方は勇者様なのですから!」


「そうだな!俺は勇者なんだ!」


 二人は今後の栄光を夢見て食事を続けるのだった。

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