表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/278

閑話 勇者パーティー、解散する

 魔王の襲撃が終わった次の日。勇者シャーユはいつもの料理店で食事の真っ最中である。


「まさか、魔王が逃げ出したのは本当にティム達が戦ったからか?いや、そんな事出来る訳が無い!魔王は俺が居なければ勝てないんだ!……そうだ!あの場にはマーチとケビンが居た、きっと二人が追い払ったんだ!」


「お邪魔するわよ。」


「シャーユ、ここに居たのか。」



 料理店でぶつぶつと呟いていると、そこに二人の仲間が合流する。魔法使いのマーチ、武闘家のケビン。勇者パーティーの一員である二人は、席に座りシャーユの方を向く。



「おお!やっと来たかお前達!心配したぞ!」


「心配、ねぇ。」


「な、何だよその顔……。」


 不服そうな顔を見せるマーチ。その顔を見て、シャーユは驚きの顔を見せた。





「いやー!しかしお前達が魔王を追い払ったとは驚いた!さすが俺の仲間だな!」


「そうね。」


「ど、どうしたんだよさっきから……。」


 素っ気無い返事を返すマーチに困惑するシャーユ。するとケビンがシャーユをじっと見た。



「お前……俺達を置いて逃げ出したらしいな。」


「な、何!?」


「私達が起きた時、シャーユは居なかったわよね?どこに居たのよ?」


「お、俺は王の護衛と言う大切な任務があってだな。だから、お前達はあそこに置いていったんだ。だが結果的にはこれでよかった!魔王の脅威は去ったのだ、俺の英断だな!」



 シャーユのこの言葉を聞き……二人はため息をついていた。



「……駄目だな。」


「ええ。決心ついたわ。」


「ん?何だ?」










「私達……このパーティーを抜けさせてもらうわ。」


「…………え?」


 一瞬固まるシャーユ。しかしすぐにマーチに掴みかかった。



「な、何故だ!?俺達は皆揃って勇者パーティーだろ!それに、俺は勇者だぞ!俺の考えに文句でもあるのか!?」


「私達……こんな事を当たり前に思ってたのよね。ティムには本当に酷い事をしちゃったわ……。」


「ティ、ティムだと!?何でアイツの名前が出てくる!?」








「あの魔王達を追い払ったのはティムよ。それと、あのサリアっていうテイマー、二人とそのパートナーがやったのよ。」


「な、何だと!?それじゃあ、お前達はずっと寝てただけだったのか!?」



 シャーユは激昂する。最強の勇者パーティーが、追い出したテイマーに後れを取った。あってはいけない事だからである。


「その通りよ。ティムは私達よりもずっと強かったわ。パーティーから追放されて正解だったのよ。」


「黙れ!この役立たず共が!だいたい、お前達も俺と一緒にバカにしていただろう!今さら何を言ってるんだ!」


「だからあの状況を見て分かったんだ。俺達はどうしようもないクズだったんだよ。」




 淡々と事実を話す二人に、シャーユは怒りをぶつけていた。






「そんなに辞めたいのなら、二人ともクビにしてやる!さっさと俺の前から消えろ!俺の英雄譚に、お前達は必要無い!」


「そうね……。じゃあ、私達は行くわ。元気でね。」


「シャーユ、達者でな。」


 二人は料理店から出る為扉に向かう。すると後ろから手が伸びてきて、ケビンの腕を掴んだ。






「ど、どうしてそんな素っ気無いんだ!俺達は勇者パーティーだろう!?ここはホラ、頼むから残らせてくれって言う所だろ!」


「……お前、何を言ってるんだ?」


「だから、俺達は栄光ある勇者パーティーなんだ!俺の為に一緒に戦ってくれ!」



 さっきの激昂から一転、縋るように見てくるシャーユ。二人は彼の姿に困惑しながら返事を返していた。





「私達……色々しなきゃいけない事があるのよ。好き勝手にやりすぎたから、まずはそれを清算しないとね。」


「それに、今のままではこれから通用しなくなる。時間があるうちに、もう一度鍛え直すつもりだ。」



「そ、そうなのか?」





 シャーユの落ち込んだ様子を見て……二人は顔を見合わせる。





「……どうする?やはりお前もやり直すか?」


「シャーユ。それなら今の栄光を捨てて、先を見ましょう?やる事を済ませて、そうしたら今度こそ……。」


 二人の言葉に、シャーユは……。
















「分かった。ならお前達はやはりクビだ!」


「「……。」」


「俺は勇者だ!お前達が居なくても、俺は魔王を倒せるし、栄光は俺の物だ!役立たずは必要無い!」


「……じゃあ、元気でね。」


「……しっかりと特訓するんだぞ。お前が王国の希望なんだ、忘れるなよ。」








 そして扉に手を掛けたケビンが最後に一言、シャーユに伝える。


「そうだ、ティムから伝言だ。お前のもとに戻るつもりは無い。今は大切な人達と一緒に冒険してるから、そう言ってたぞ。」






 [勇者]の肩書を見せつけるシャーユ。それを見た二人は伝言を伝えると、料理店から出て行った。




「俺は勇者なんだ……俺が世界の中心なんだ……。」


 再びぶつぶつと呟くシャーユ。彼の運命が動くのは、もう少し後である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ