黒幕の野望、見えた正体
「フォージャーの名前が、何でここにあるの!?」
ミーは手元の書類を見ながら驚いてた。だって、フォージャーはいい人だよ!?こんなの間違いだよ!
「で、でも……まずはロットンに相談しなきゃ!」
ミーは外に出る為、慌てて扉に。でも、扉から足を踏み出した時に、誰かとぶつかっちゃった。
「痛った……え?ミー!?」
「フォ、フォージャー!?」
ど、どうしよう。フォージャーが目の前に!
「ミー!?何でこんな所に!帰ったんじゃなかったのかい!」
「う、うん。ちょっと忘れ物をね……。」
ミーは慌ててポケットに書類をねじ込んだ。何とか言い訳を考えないと!まずはロットンの所に行かなきゃ!
「ほ、ほら!フェイクへの報告で応接室に入ったでしょ?あそこでお金を落としちゃったみたいで、だ、だから馬車を借りられなかったの!」
「それでここに来たのか……暗いから仕方ないか。分かった!すぐに取って来るよ!」
フォージャーはミーに背を向けて歩き出す。ここで逃げたら怪しまれる……そっとついて行こう。
そして何歩か進むと、急にフォージャーの足が止まった。
「ん……ちょっと待って?ミー、応接室って一階だよ?」
「……えっ?」
「……道に迷ったとしても、階段を上ったか位は分かるよね?」
「そ、そうだったかな?」
「ミー?」
「わ、わっ!?」
フォージャーはミーの方を向いた。ミスしちゃった!これは疑われてるよ!でも、後ろに下がろうとしたら転んじゃった……。
「ミー?……ミー!その足元に見えてるのは何だい!?」
「足元?」
ミーの足元には、ラルフがくれた丸いおまもりが転がってる。それを見たフォージャーは……凄く怖い顔をしてた。
「これは……ロストガルーダの卵を!?何でこれを君が持ってるんだ!?」
「え、いや、これは」
「これは没収だ!これのせいで街が大変な事になったんだよ!……もしかして君が、人さらいの仲間か!?」
「ち、違うよ!それはフォージャーだもん!」
あっ……言っちゃった……。
「わ、私が人さらいの仲間……?」
「あ……あの……」
「…………。」
フォージャーは顔を下に傾け、何かブツブツ喋っている。な、何か怖い!こうなったら……
「えいっ!」
ミーは高速移動でこの場を離れるよ!早く皆に合流しないと!
「逃がすものか!」
「えっ!?」
フォージャー……ち、違う!この気配は……。
「ハァッ!」
「ぎゅっ!?」
ミーの背中に強い力がかかり、立てなくなっちゃった!?こ、これは……あの時の……
「まさか貴様のような小娘に計画がバレるとはな。」
フォージャーはミーのポケットから書類を奪い取る。
「これを見たのか……ならば、生かしておく訳にはいかないな。」
「こ、この!離して、離してよー!」
「フン!」
フォージャーはミーを地面に振り下ろす。あの魔力……間違い無い!山でミーを捕まえた奴だ!
「ロットンが勘違いをしているうちに終わらせたかったが……こうなっては仕方ないか。」
「か、勘違い?」
「冥土の土産に教えてやろう。私はこの街が欲しかったんだよ。その為には金と……椅子が必要なんだ。」
「い、椅子?」
「そう!リーダーの座だ!だから私は前のリーダーを始末し、その椅子を空けたんだ!それがフェイクの仕業に見えるようにな。」
な、何言ってるの……こんなのフォージャーじゃない!フォージャーはこんな人じゃ……。
「元々リーダーとフェイクは武器の生産について争っていた。だからいい機会だと思っていたのだ。だが、次の椅子に座ったのはフェイクだった!」
「そ、それと今回の事件に関係があるの?」
「工場の改良には金がいる。だからそれを利用したのさ。まずは人さらい共を集めて山を調べる。そこで金になる物を見つけ、フェイクに献上する。
後は違法な取引で得た物として没収……奴を牢に送り込むつもりだった。」
「て、適当じゃない、その作戦?フェイクなら、すぐに気づくよ?」
「ああ。今ならそう思うよ。だが……山での収穫は私の予想を遥かに超えていた。ロストガルーダの卵!これがあれば、私は街だけでない、巨万の富を手に入れられる!」
フォージャーはそう言って、ミーの顔をじっと見ている。こ、怖くて動けない、凄い威圧感だよ……。
「しかも私は運が良い!卵を奪ってから起きたトロールの事件、これのおかげでお前達が来たんだ!私はこれを使う事にしたんだ。ロットンがフェイクを捕まえれば、椅子は私に回ってくる。」
「め、めちゃくちゃだよ……。」
「まあ、バレてしまったなら仕方ない。お前にはここで消えてもらって、卵は回収するとしよう。では……さらばだ!」
そ、そうだ!おまもり、ラルフのおまもりがあった!ミーは転がったおまもりを取り、魔力を込めて握りしめた。
「お願い!誰か助けて!」
「神頼みか?無駄な事を!死ね!」
フォージャーの手が迫る中、おまもりがキラッと光る!びっくりして、おまもりを手放しちゃった……。
◇◇◇
「ミーさん!大丈夫ですか!?」
「ティム!」
ティムはフォージャーとミーを見て、すぐにこっちに来てくれた!
「ティム!?何で君まで!?」
「あっ……ミーさんの忘れ物を探して色々歩いてたんです。この事をロットンさんに報告しないと!」
「ま、待って!それよりロストガルーダの卵が見つかったんだよ!」
「ロストガルーダの卵?」
「そうなんだ!ミーが人さらいの仲間だったんだよ!」
「え?ち、違うよ!?」
フォージャー何言ってるの!?悪いのはフォージャーなのに!
「……ミーさんがですか?」
「ああ!あそこにある丸いのが卵なんだ!私はこれを回収するから、君はミーを拘束していてくれ!」
「は、はい!」
するとティムは短剣を取り出し……ミーのおまもりに近づくフォージャーを攻撃したの。
「ティム!?何するんだ!?」
「ご、ごめんなさい!手元が狂ってしまって。」
「ああ……びっくりした。じゃあ、私はこれを持って行くね!」
そして、フォージャーがティムの前に来た時、ティムはフォージャーの腕を掴んだ。
「フォージャーさん。一つ聞きたい事があるんですがいいでしょうか?」
「何だい?早めにお願いするよ。」
「はい。フォージャーさん……。」
「どうしてロストガルーダの事を知ってるんですか?」
「……は?」
「いえ……ロットンさん達と報告をした時には、ロストガルーダの事を言ってなかったので。それに……あの場に居たのはフェイクさんだけですよ?」
「そ、そうだっけ?……そうだ!君達が帰った後、ロットンがリーダーの所に残ってただろう?あの時に一緒に聞いたのさ!」
「それはねぇな。」
「へ……?」
この声は……ロットンだ!
「俺はフェイクが怪しいと睨んでたから、奴と一対一で話す為に子ども達を返したんだ。その時アンタは居なかっただろ?」
「ろ、ロットン……。」
「フォージャー……お前が黒幕だったのか!?私とロットンの同士討ちを狙っていたのか!?」
銃を構えたフェイクも部屋に入って来た。この状況でフォージャーは……。
「ハハハ!いい機会だ!この場で全員皆殺しにしてやる!そして証拠を消し去り……この街は私が頂く!」
い、一気に魔力を放出した!この感じ、やっぱりフォージャーはあの時の男だ……!
「ミーさん立って!」
「ティム!」
ティムの手を取り、ミーは立ち上がる。……怖い。でもミーには仲間が居るんだ!
「来るぞお前ら!気を引き締めていけ!」
「ロットン、力を貸してくれ!フォージャー、お前は……ここで止める!」
「ハハハハハハ!やってみろ!出来るものならな!」
黒幕との戦い……負けるわけにはいかないんだ!




