配信者三人、役場へ潜入する!
「二人とも急げ!もう夕方だぞ!」
「ラ、ラルフさん……。」
「ほら!もう少しだから、頑張ろうぜ!」
「ラルフ……。」
僕達は今、カーノンの街へ走っている。でも時間に余裕はあるし、疲れると作戦に影響が出るから、早歩きくらいで進んでるんだ。でも、ラルフさんは元気いっぱい!その理由は……。
「わん!わん!」
「「レルの上で言われても……。」」
「かめー。」
そう。ラルフさんは今、レルの上に乗っているんだ!
ラルフさんは僕達よりもちょっと疲れやすいから、万全の態勢で作戦に入れるよう、今は休んでもらってるよ。タルトは僕の背中に乗ってるんだ!
「わ、悪い。ミーが元気無かったから、俺が盛り上げようと思って。」
「そ、そうなの?……ミーの方こそごめんね。でも、おかげで元気が出たよ!」
「僕もです!それなら、皆で少しペースを上げましょう!」
「おー!いいねいいね!どんどんいこー!」
ラルフさんの元気に負けないよう、僕達はペースを上げてレルを追い抜く!
「わふー!わん!」
「おわぁぁああ!?」
もう少しでカーノンの街だ……でも大丈夫、僕達なら出来る!
◇◇◇
そしてカーノンの街へ着き、僕達は門をそっと抜ける。大勢の人達が街の中へ入っていく、皆帰る時間だからかな?
「おや?君達はロットンさんの所の子だね?戻って来たのかい?」
僕達はフォージャーさんとは別の門番さんに声を掛けられる。ここは僕が対応しないと!
「あっ、はい!僕達ちょっと忘れ物をしてしまったので、取りに来ました!」
「そっか!気をつけてね!」
「ありがとうございます!」
僕達は簡単に手続きをして、そのまま街へと入った。
「先生?見られちゃったけど、良かったのか?」
「はい。下手に忍び込もうとすると、絶対に捕まります。それに悪い事をしてるわけでは無いので、堂々と入りました!」
「そっか!なら問題無しだな!でも……ロットン大丈夫かな……。」
「ロットンなら心配いらないよ!それより今は、ミー達に出来る事をやろう!」
「わん!」
「かめー。」
そして、遂にこの時が来た。夜になって、僕達はカーノンの街役場にやって来たんだ。
「い、いよいよだな。」
「ラルフ?今までノリで着いてきたけど、本当に一緒にやる?考えさせてって言ってたけど……。」
「ああ!覚悟は決まってるぜ!俺の友達が頑張ってるんだ、俺も頑張らないと!」
「では、作戦はこうです。」
僕は地図を広げて、二人に作戦を説明した。
「ここがフェイクさんの部屋になります。おそらくここに証拠をしまっているはずです。そこで、ここにはミーさんに行ってもらいます。」
「わかった!ミーに任せてよ!」
「僕は近くで他の場所を調べます。もしも職員さん達に気づいたら、こっちで惹きつけますからすぐに脱出して下さい!」
「わん!」
「で?俺は?」
ラルフさんが目を輝かせている。そんなラルフさんには……。
「はい!ラルフさん達には入り口側で待っててもらいます。」
「おお!張り切って……え?外?俺外なの?」
「かめ?」
「はい。今回ラルフさん達にはもしもの時の切り札をお願いします。」
「き、切り札!?」
「か、かー!?」
ラルフさんには今回、一番重要なポジションを担当してもらうんだ!
「これは侵入に気づかれてる場合の保険です。もし同時に侵入がばれても、僕とミーさんの二人に敵は集中します。ラルフさんは外から様子を見て、援護をお願いします!」
「お、俺が切り札……。」
「はい!でも……どうしますか?やっぱり待機は駄目でしょうか……?」
「やるやる!俺達に任せてくれ!な、タルト!」
「かめー!かー!」
うん!これで大丈夫だ!でもこの作戦は……ラルフさんに責任が出ないようにする為なんだ。僕達二人で上手くやって、ラルフさんの出番が無ければ一番良い!
「じゃあ行ってきます!」
「いってくるねー!」
「わん!」
「おおー!俺も頑張るからな!」
「かめ!」
僕達は街役場の裏口へ。すると、すでに開いた扉がゆらゆらと揺れていた。
「あっ……ここの鍵開いてる。ロットンさん達はもう入ってるんだ……。」
「じゃあ、お邪魔しちゃおっか!」
「はい。レル?周りに敵は居ない?」
「わん!」
「ありがとう!じゃあ、僕はあっちを!」
「ミーはこっちだね!」
僕達は二手に別れて、街役場の探索に入った。絶対に証拠を見つけ出してやるぞ!
◇◇◇
「さーって、ミーの本領発揮だ!」
ミーは重要なお仕事をティムに任されたんだ。ここで証拠を手に入れて、悪い人達をみんな捕まえちゃうよ!
「そーっと、そーっと……。」
ミーは足音を立てずに廊下を走る。……あっ、誰か来た!?
「よっと!」
ミーは天井に張り付き、下を見る。あれは……フォージャー?やっぱりロットン達はもう役場に居るんだ!
「フォ……」
あっ。ミー達はもう帰った事になってるんだよね。ミーはそっと口を閉じたよ!
フォージャー、何か慌ててたみたい。フェイクが悪い人なら、自分で何とかしなきゃって思ってるんだ。なら、早く証拠を見つけて教えてあげよう!怒られるけど、証拠があれば大丈夫……だよね?
「こ、ここだ。フェイクのお部屋……。」
上手くここまで来れた。いよいよだ。いよいよ、突入するんだ……!
「では、お邪魔しまーす。」
そっと入るとそこには……あれ?随分すっきりした部屋だね?もっとこう、高級そうな物がたくさんあると思ってたけど。
「まあいいや。早く机を調べちゃおう!」
ミーは天井に張り付き、腰から石を机に投げる。それが机に当たると、カチャンって音がして、壁からナイフが飛んで来た!
「トラップはやっぱりあるよね。これで平気かな?」
ミーはそっと地面に降りて引き出しを見ると、何か細い線が張ってある。
「これ……触ったらトラップが作動するよね……早めに処理しちゃおう。」
ミーはさっき飛んで来たナイフで線を切り、すぐに移動!すると大量の銃弾が机に飛んで来た!?凄い轟音……これはまずいよ!
「い、急がないと!」
ミーは引き出しをさっと開け、中の書類に目を通す。すると……あった!
「ロストガルーダの卵……取引額は……一千万ゴールド!?」
これだ!このお金でフェイクは工場をパワーアップするつもりなんだ!
「じゃあ、取引相手を……お、王国!?」
た、卵はグランド王国に売るつもりだったの!?もしかして、あの人さらい達も王国から……?
「と、とにかく急いで離れよう!早くしないと誰か……え?う、うそ……。」
取引の相手はグランド王国、品物を用意する人物の欄、そこに書いてあった名前は……。
「フォ、フォージャー?な、何で……!?」
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