突入、真夜中の死闘!
「ハァ……まさかこんな事になるなんて……。」
フォージャーは裏口の鍵をゆっくりと開けて、街役場の中に入り込む。どこを見ても真っ暗闇、その光景を見ながらため息をついていた。
「ロットンの言う通りならリーダー……私は貴方を捕まえなくてはならない!」
手に剣を握り、辺りを警戒しながら彼は少しずつ進み始めた。
「よっ、ほいっと。」
ボコンと言う音と共に、地面からロットンが現れる。彼の出た先は、街役場の入り口だった。
「ちゃんと入り口から入るのがマナーだからな。フォージャーさんは別方向から探ってるし、俺はこっちから調べるか。」
そう言うロットンの後ろには、鍵のかかった扉がある。彼は外から地面を掘り、ここまでやって来たのだった。
「さて……まずは受付からだな。」
ロットンはまず、敷いてあるじゅうたんで入って来た穴を隠す。そして足音を立てずに受付の棚へ。
「どれどれ……。」
書類を調べるが、特に不審な物は無い。
「こっちはどうだ?」
別の棚も見るが、やはり怪しい物は無い。
「流石にここには無いか。なら次だ!」
ロットンは部屋を次々と開け、証拠になる品を探している。だが、いくら探しても証拠は見つからなかった。
「……やはり、置くのは自分の執務室か。」
応接室だけでなく、武器の保管庫、食料庫……調べ物を進めていく中、ロットンはフェイクの部屋に辿り着く。
「気配は……大丈夫だな。周りも……良し。んじゃ。」
扉をそっと開け、中に入り込む。周りには実績を強調するように、珍しい武器や表彰状などが置かれていた。
「机はあそこか。トラップは無いか?」
ロットンは石をシュッと投げつける。するとその石は机の上を転がり、そのまま落下した。
「何も無しか。だが一応……。」
今度は魔力で作った玉をゆっくりとぶつける。しかしこれにも机は反応しない。
「異物にも魔力にも反応無し。なら……さっさと終わらせよう!」
ロットンは足音を立てず、慎重に机の側に立つ。そしてしゃがんでから引き出しに手を掛け……。
「そこで何をしている!」
「っ!?」
ロットンはゆっくりと目線を上げると、そこにはフェイクが立っていた。
「やはり貴方か……。一体何の用だ?」
「何の用、ね。いえ、トロールの被害と人さらい達の襲撃、その関連性を調べてましてね。」
「関連だと?」
「ええ。」
ロットンは立ち上がり両手を挙げる。それを見ながらフェイクは、腰から何かを取り出した。
「それで?何か見つかったのか?」
「さあ?貴方にそれを教えるつもりはありませんな。」
「言わないつもりか。まあいい。」
フェイクが取り出した物。それが月の光に照らされて正体を表す。黒く光るその物体は、筒の下に引き金のついた武器……銃である。
「やはり早めに消すべきだったか。ここまで探られるとはな。」
「メッキが剥がれたな。それがアンタの本性か。」
「何とでも言え。とにかくお前には、ここで消えてもらう!」
引き金を引くフェイク。だがロットンの方が一足早く、地面に手を着けていた。
「グランドウォール!」
放たれた銃弾は土の壁にめり込み止まる。しかしフェイクは空中に飛び上がり、ロットンに向けて更に銃弾を撃つ。
「死ね!」
「甘えよ!」
ロットンは片腕に土の鎧を被せて、銃弾を凌ぐ。そしてもう片方の腕を地面に着け、魔力を込めた。
「グランドアッパー!」
「何っ!?」
地面から現れた腕がフェイクを殴りつける。フェイクは吹き飛ぶが、地面に着地。すかさず銃を構える。
「やはり強いな。だか……何故私を疑ったんだ?」
「怪しい所が多すぎんだよ。前リーダーの不審死、敵の侵入を監視する門番を案内人にする、何故か開けられた牢の鍵、俺の尋問中に人さらいの皆殺し!どう見たって役場の関係者じゃねぇと出来ねぇだろ!」
「そうか。……だが何故私を?それなら職員全員怪しいはずだが?」
「お前の指示が無きゃ出来ねぇだろうが!」
ロットンは高速移動でフェイクの懐に入り、地面に手を着ける。そこから突き出した土の壁がフェイクに突き刺さるが、一瞬でその壁はバラバラに砕け散った。
「ここでは分が悪い。私は退かせてもらうぞ!」
「おい!待ちやがれ!」
走って部屋を出るフェイク。それを慌てて追いかけるロットン。彼が廊下に出ると……。
「待っていたぞ!これを喰らうといい!」
「なっ!?」
フェイクが手にしていたのは……ガトリング砲。それをロットンに向けて、一気に弾丸を撃ち込む。
「危ねぇ!?」
土の壁を作り、攻撃を防ぐロットン。フェイクは少しづつ近づいて来ていた。
「お前には聞きたい事があるのだ。早く諦めろ!」
「ふざけんな、逆だ逆!俺がお前をとっ捕まえてやるさ!」
防御している間、ロットンは打開策を考え続けている。だが土の壁にはヒビが入り始めた。
「しっかしどうするか……予想外だ、早く対処しねぇとな!」
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