配信者三人、疑惑の街役場へ
「まだかなー。早く来ないかなー?」
「かめー?かめ。」
俺はラルフ。今はティム先生とミーを待ってるんだけど……日が傾いてきたな。早くしないと夜になっちまうよ!俺は一緒に居るタルトを撫でながら、扉の側で座ってるんだよ。
「かめ……かめ?かめー!」
「タルト?もしかして二人が帰って来たのか?」
「かめー!」
「分かった!今出るからな!」
俺は扉を開けて外に出る。するとそこには先生とミー、レルの三人が居た。
「間に合ったな!先生、大丈夫だったか?」
「え、ええ。何とか。」
「わん!わん!」
「ミーの方はどうだ?」
「ちゃんと終わったよ!卵も返せたし、これで一安心だね!」
明るく返事をくれるミー。っておい!顔真っ青になってるぞ!?
「何かあったのか?顔色が悪いぞ?」
「う、うん。何か責任を感じちゃったんだ。ミーが早く卵を返していれば、ここがトロールに襲われる事は無かったんだよね……。」
「なら早く謝ってきた方がいい!時間はまだあるんだ、今のうちに済ませて来いよ!」
「うん!分かった、行ってくるよ!」
ミーは扉を開けて外に。ちゃんと出来ると思うから、俺は準備をしておかないと!
「かめ?」
「ああ!これは街で買った剣だよ。今までのよりも頑丈だから、ぶつかり合いにも強いと思ったんだ!」
「かめー!」
「頼りにしてるぜ、よろしくなタルト!」
「かー!」
◇◇◇
「よ、よし……やるしかないよね……。」
ミーは村の人達に声を掛けて集まってもらったの。だって、ミーのせいでこんな事態が起きちゃったんだから。駄目でもいい、一度謝らないと!
「どうしたんだい?お嬢さん?」
「あ、あの!ここにトロールが来たのは……たぶんミーのせいなの!」
「な、何と!?」
「そうなのか!?」
ざわつく村の人達。早く事情を説明しないと!
「その……山の奥にロストガルーダっていう魔物が住んでいてね、その卵を狙って悪い人が襲っていたの。だから、ミーが卵を取り上げて逃げたんだ。
後で返すつもりだったんだけど……結局返せなかった。それで、ロストガルーダが山で暴れて、他の魔物が外に来ちゃったの……。」
「そ、そうだったのか……。」
「本当に、本当にごめんなさい!」
ミーは頭を深く下げた。本当に、早く卵を返せていれば……。
「お嬢さん、頭をあげて!わし達は怒っておらんよ。」
「えっ……?」
「そりゃあ、初めはトロールが来て驚いたよ。でも、事情があるのはティムさんの説明で分かったし、彼らが悪い魔物じゃないのも分かったからね。だから大丈夫だよ!」
「でも……。」
「それなら、その悪い奴を捕まえておくれ!そいつが居なければ、君が卵を取る事も無かったんだろう?お願いするよ!」
「う……はい!」
◇◇◇
僕達が帰って来てから村で少し休憩していると、日が落ちてきた。そろそろ出発だ!
「レル!準備はいい?」
「わふ!」
「俺も行けるぞ!」
「かめ!」
「ミーも大丈夫だよ!」
ラルフさんもタルトも、ミーさんも準備完了。これなら行ける!
「では、出発です!」
「待った!ミー、これを持ってけ!」
「えっ?」
ラルフさんが渡したのは、卵のような丸い石。
「ラルフさん、これは?」
「ああ、お店で売ってたんだ。何でも魔力を込めるとピカッと光るらしいんだ。おまもりとして使えるかもしれないから、一応渡しておくよ。ほら、先生も!」
「あ、ありがとうございます。」
「きれいー!ありがとラルフ!」
そして僕達は外に出て、街に向かって走り出す。この時間なら絶対に間に合う!
「さあ、行くぞ!俺達でロットンを助けるんだ!」
「「おおーー!」」
「わん!」
「かめ!」
◇◇◇
ここはカーノンの街。日が沈んだ後、夜の静けさの中で、ロットンとフォージャーは街役場の外に立っていた。
「ほ、本当にやるんですね、ロットン。」
「ええ。ここで何とかしないと、また人さらいが溢れる事態になりかねませんからな。何が何でも証拠を掴んでやりますよ。」
「分かりました……では、行きましょうか。」
ロットンとフォージャーは二手に別れて、それぞれ街役場への侵入を開始する。
「……昼間の間に概ね部屋の位置は把握できてる。急がねぇとな。」
黒幕を暴く為、作戦がスタートするのだった。
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