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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第一章

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少年テイマー、追放される

「ティム、お前はここから追放だ!」


「そ、そんな、何でよ!?僕は皆の役に立っているはずだよ!」


 いつも立ち寄る料理店、僕は目の前の男性と言い争いをしていた。僕達は世界を救う、勇者パーティ、そのメンバー。そして目の前にいるのは、そのパーティーのリーダー。勇者シャーユ、その人だった。


「黙れ!貴様は不適格だ!勇者パーティでありながら、魔物がいないと戦えないじゃないか!」


「そ、そうだよ!僕はテイマーなんだ!魔物の皆がいるから戦えるんだ!」






 僕は必死だった。自分が、そしてテイムした仲間がこのパーティーで頑張ってきたかを伝えたんだ。


「僕達は先頭に立って、敵がいないか確認してるよ!敵が来たらすぐに伝えて、できるだけ負担が減るようにやっつけてる!倒した後の戦利品だって、ちゃんと集めて渡してるじゃないか!シャーユもこの子に助けられた事が何度もあったはずだ!」


「わん!わん!」


 僕が大声を張り上げると、足元で一匹の魔物がシャーユに吠える。この子は僕の仲間、ブレードウルフのレル。僕達はいつも一緒に戦ってきたんだ!




「当たり前の事を!そんな事は誰だって出来る。一人じゃ何も出来ないお前なんて必要無いんだよ!」


「それは分かってるよ……だから、どうしようも無い時は皆に相談してるよ!だけど全然話を聞いてくれないじゃないか!それに僕はテイムした魔物とも力を合わせて……」





「ねー。もうその辺でいいんじゃない?」


「だな。これ以上言っても無駄だ。さっさと追い出そう。」


 そう言ってシャーユの後ろから出て来たのは、同じ勇者パーティの仲間。魔法使いのマーチと、武闘家のケビンだった。……どうしてよ!?レルの頑張りは二人も見てたじゃないか!


「まあな、だいたい俺は最初から気に入らなかったんだ。誇り高い勇者パーティに、滅ぼすべき魔物を使うテイマーがいるんだからな!」


「わうん!?」


「オラ!もっと泣けよクソ犬が!」


 言い争いの途中、突然シャーユがレルを蹴り上げた。それを見て、僕はレルの前に立って、シャーユを睨みつける。


「どうして!?なんでレルを蹴るんだ!」


「役立たずの犬だからだよ!お前達はいらないんだよ!さっさと消えろ!」


「うっ……!」


 僕の視界が一瞬歪む。何が起きたのか考えていると、シャーユの足元が目の前に見えた。すると頭に強い衝撃が来る。……頭を踏まれてる!?そんな……。


「私も私も!勇者パーティに魔物なんていらないのよ!それを使うゴミテイマーもね!」


「俺もやろう。魔物は汚い物だからな。徹底的に教えてやらないと!」


 そして、僕は三人から暴力を受けた。殴る、蹴る。壁にも叩きつけられた。レルにもその暴力が向かったけど、覆いかぶさって必死に防御した。僕は酷い目にあっても良いけど、レルは大切な友達なんだ!







 それからどれだけ時間が経ったのだろう。いや、ほんの数分かな……。僕は地面に転がされていた。


「うっ、うう……。」


「ケッ。泣き出しやがったぜ、コイツ!」


「男なのに情けない。いや、見た目は男と言うより……。」


「もういいわよ。こんな奴ほっといて、行きましょ行きましょ。」


 三人はそう言って料理店から出て行く。でも出口に立った時、シャーユは口を開いた。


「お前のパーティー登録は抹消してある。王も了解済みだ!金輪際俺達に関わるなよ!ハハハ!」


「そうよ!二度と近づくんじゃないわよ!」


「じゃあな。ゴミテイマー君。」










 三人が料理店から出ていった後、僕達もふらふらとした足どりで料理店を出る。足元にはレルが寄り添い、そっと支えてくれた。


「見てよあのカッコ。噂のゴミテイマーよ。」


「さっさと消えればいいのに。魔物と友達なんて、気味が悪い。」


 僕が勇者パーティを追放されたのは、街の人はもう知ってるみたい。……もうここには、居られないのかな……?


「わ、わん!わん!」


「なんだこの魔物!汚いな!衛兵を呼べ!」


「殺せ殺せ!魔物は敵だ!」


「わ、わん!?」


 石やゴミを投げつけられ、ぶつけられたレルは足を切ってしまった。何でよ!?僕達、皆の役に立てるよう、頑張ってきたのに!



「わ、わうーん!?」


「あっ、レル!?」


 レルが鳴き声を上げながら、街の外へ走って行く。僕も慌てて追いかけた。その後ろからレルを馬鹿にする声が聞こえたけど、そんなのどうでもいい!レルは大切な友達なんだ!









 ◇◇◇


「ごめんね、レル……。僕のせいで、パーティー、追放されちゃったよ……。」


「わー?わん!」


 ここは街を離れた森の中。レルの足に包帯を巻きながら、ここで一夜を過ごすことにした。森には魔物がたくさんいるけど、今の僕には魔物よりも人間の方がずっと怖い……!体を震わせていると、レルがそっと僕の横に来た。


「わーん?」


「レル……ごめんね……。」


 レルの体、ふわふわで暖かいな。……そんな事を思ってたら、いつの間にか僕達は寝てしまっていた。

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