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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
最終章:チート勇者ろうらく作戦
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魔王大戦(39)「レイン、センテ・ジニル潜入」

 魔王軍側がセンテージ王とプロトス卿が人質に取られたことを知ったとき、オーマは“状況的に助け出せるのはレインだけしかいない”と判断して、レインにセンテ・ジニル潜入を命じた。

ならば当然、その状況を作ったマサノリにも“状況的に助け出せるのはレインだけしかいない”があっても全然不思議なことではない。

と、いうより、相手が相手なだけに、楽観的にならずそうだと断定し、マサノリが自分を待ち構えているつもりでいた方がよいのだろう。罠がある前提で考えるべきだとレインは考える。

 そして、レインの中で・・というより、魔王軍の中でマサノリの力は未知数だ。

オーマ達はこれまで三大貴族達の能力を見た事がなかった。

最近になってようやくフェンダーの能力を知り、魔王となる直前でクラースの力の一端を見たが、マサノリの能力はまだ見ておらず、何の属性を扱えるのかも分かっていない。

リッツァーノの秘密を知った今なら、マサノリも間違いなく何某かの属性をSTAGE7以上まで扱える強力な魔導士であることだけは分かるのだが、何の属性かも分からないのでは、その情報はただ不気味に感じる要素でしかない。

 どんな罠があるか分からない自分が不利になる場所で、どんな能力を持っているのか分からない強敵と戦う・・・勇者候補にまでなったレインでも、決して楽な作業にはならないだろう。

ヴァンパイア・オリンズと共に計画的に作戦を立てて挑むべきだということは、レインも頭の中では分かっていた。だが______


「では、オリンズさん、私が地下に行けるように手配してもらえますか?」

「それは・・単騎で行くということですか?よろしいのですか?」

「はい。相手がどんな能力を持っているのか分からないなら対策なんて立てようがないですし、それを調べている時間もありません。時間をかければかける程、戦わされているセンテージの者達から被害が出ますから」

「・・・・・」


_____正面突破。それがレインの選んだ作戦だった。

確かにレインの言うように、どんな能力を持っているのか分からなければ相手の対策なんて立てようがないのも事実で、それを調べている暇も術もないのも事実という状況ではある。

 だが正直なところ、状況的にそれしか選択肢がないからこの選択肢なのか、それともマサノリに対する憎悪で作戦を立てられるほど冷静ではいられないからこの選択肢なのかは、もうレイン自身でも分からなかった。

今のレインは、自分で自分に“今の私は冷静か_____?”と問うほど、冷静に怒り狂っている。

 だがそうだとしても、戦わされているセンテージ兵士達のことを思えば、被害を少しでも抑えるべく早急に事を進める必要があるため、レインは強行作戦を実行するのだった______。






 レインがヴァンパイア・オリンズと合流してしばらく・・・。

センテージ王の住まう城センテルシアでも多くのものが寝静まって静かになっていたが、敵襲を知らせる緊急の鐘が鳴り響き、城内は一気に覚醒するのだった______。


 ______カーン!カーン!カーン!カーン!


「敵襲ぅうーーー!!敵襲だーーーーー!!」


______カーン!カーン!カーン!カーン!


「敵は何処からだっ!?」

「上だ!!空から飛んできたようだ!!屋上ではもう戦闘が始まっているぞ!!すぐに向かうんだ!!」


「「おう!!」」


______カーン!カーン!カーン!カーン!


 魔族の突然の襲来_____城内はすぐに騒がしくなった。

だが、魔族の突然の襲来であるにもかかわらず、城内に居る者達は帝国軍兵士やセンテージ兵はもちろん、非戦闘員である使用人達も含めて、誰もが慌ただしく動き回っているものの混乱している様子はない。

 兵士達は直ぐに部隊ごとに合流し、魔王軍を迎撃するべく階段を駆け上がって行き、使用人の者達は避難するため、地下にある自分達の寝室へ階段を駆け下りている。

末端の兵士から非戦闘員の使用人まで、突然の襲撃に対してこのスムーズな対応_____恐らく、いつかは魔王軍が来ることを知らされていたのだろう、自分達のすべきことを理解しているようだった。

敵からの襲撃を受けた初動としては合格ラインの対応と言えるだろう______。




 「_____マサノリ様!!」

「どうした・・・?」


 魔王軍の襲来に即応できたセンテルシア陣営は、その対応の速さのおかげで屋上からの敵の襲来の知らせを、すぐに地下の広間にいるマサノリに届けることが出来た。


「マサノリ様!敵襲です!魔王軍がこの城を襲撃しに来ました!屋上からです!!」

「ほう、そうか・・やはり屋上から来たか」


 マサノリには、部下の騒々しい声にも、魔王軍が襲来したという知らせにも、動じる様子がない_____。

それはもちろん、レインも予想していた通り、マサノリは魔王軍の襲来を予想していたからに他ならない。

マサノリは木製の簡素な作りの椅子に腰かけたまま、テーブルに置いてある水の入った杯を一口呷り、それから話を続ける。


「・・・それで?敵はどんな奴らだ?魔族なのだろう?種族と数は?」

「ハッ!敵部隊の全貌はまだ確認できておりませんが、複数体のヴァンパイアと、その上位種らしき魔族の姿が確認できております!」

「そうか・・・」


 上級・最上級魔族の存在がいることや、敵部隊の全貌を把握できていないという不安要素のある報告だったが、マサノリはこれにも椅子に腰かけたまま腕を組むだけで動じる様子はない。


(我らがこのセンテージに詰めたのは魔王大戦が始まってからだ・・・。センテージがワンウォール諸島との繋がりを理由に、魔王大戦の不参加を表明したのに対して、我らは粛清どころか非難する気配さえ寸前まで出さずにここまで引っ張って来た。奴らにとってセンテージ王を人質にして我らがこのセンテルシアに駐留したことは想定外のはず・・・エルス海でベルヘラ海軍を投入した際の魔王側の反応から見ても、それは間違いない。ならば、相手にとってこの緊急の事態に対応できる戦力は限られるはずだ。部下は襲来した魔王軍の魔族にヴァンパイアしか挙げていない・・・他には居ないのだろう。ヴァンパイアは眷属召喚が上手いから少数でも数を揃えられるし、飛行種族だから機動力もある。私の知る限りのヴァンパイア種では、あの状況からこの短時間でこのセンテルシアにたどり着ける能力を持った種類に覚えは無いが・・・最上級魔族クラスのヴァンパイアで、ワンウォール諸島からではなく、オーマがいるであろう帝都からならば可能なのかもな・・・どんな奴なのだろうな?今後のためにもカスミの手土産にしたいところではあるが・・・それはさすがに無理だろうな。この城の防備でセンテージ兵という足手まといが居てはな・・・)


 マサノリにとってセンテージの兵士がどれだけ死ぬことになろうが構うことではないのだが、今は形式上、アマテラスと共闘という形をとっている。

自分達・・・第一貴族の中でもトップに立つマサノリとその直属の配下の騎士たちが共に戦って、味方に被害を出し過ぎたとあっては、第一貴族の武勇と各に傷がついてしまい、今後の大陸支配に影響が出る可能性がある。

 それに、未知の最上級魔族が相手であれば油断すれば被害は大きくなってしまうだろうから、たとえマサノリのアマテラスでも手加減は出来ない。

この状況での未知の魔族の捕縛は現実的とは言えない。


(そこは魔王大戦を終えた後の“飼育場”となるワンウォール諸島にどれだけの魔族を残せるかに期待だな・・・)


 マサノリは頭の中で今回現れた最上級魔族の捕縛は諦めて、思考を元に戻す。


(最上級魔族が単身乗り込んで来て、眷属を召喚して城を強襲?・・・・ははっ!そんなワケが無い!こいつは囮だ!!)


そしてマサノリはニヤリと笑って、そう心の中で吐き捨てるのだった______。

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