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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
第六章:凍結の勇者ろうらく作戦
328/378

ダマハラダ砂漠の戦い(最終戦1)

 _____スガガガガガガガガン!!ギンッ!!


「!!・・・・」

「______ッ!」


______ギギギギンッ!!


「!」


_____ドーーーーーーン!!


「「!!」」


______ズガガガギギギギギンッ!!


「_____ッ!!」


_____ズゴォオオオオオ!!


「「ッ!?」」


______ギギギギギギギギギギンッ!!


 フレイス対フェンダー・サレンの戦い。

この戦場・・・いや、この大陸最高峰とも呼べる戦いは今も続いていた。

そう、続いている・・・・・この戦いは、拮抗していた。

フレイスは、フェンダーとサレンの二人を相手に全く互角の戦いを演じて見せていた。

 だが今、僅かではあるが、この戦いの拮抗は揺らぎつつあった・・・・。




 「おおっ!」


 フェンダーが両手剣で攻撃を仕掛ける____1・2・3。

動きは軽く、振るわれた剣も“重さが有るのか?”と思うくらい、まるで羽の様に軽い物に見える。

だが実際は、超硬素材のアダマンタイトすら叩き斬れてしまう程の重量と膂力がある。

フレイスはこのフェンダーの攻撃を、その動きよりさらに軽やかに、且つ力強くいなして反撃に出ようとする。


「_____ッ!」


 反撃の気配を察知したフェンダーは、それだけで防御態勢に入る。

フレイスを相手にするには目で見てからでは間に合わないと、これまでの攻防でフェンダーは学習していた。

フレイスと戦うには、その動きをよく観察しながら、次の手を予測して対応しなければならない_____。


______ガキィイイイイイイン!!


 金属性魔法で錬成された金属は、魔力を込めるとその形状を変えることが出来る。

フェンダーは魔力を込めて、対面するフレイスに身体が見えなくなるほど両手剣の刃先を伸ばして広げ、まるでラージシールドの様に剣を使って防御した。


「ッ!!」


 それを見たフレイスは、すぐさま氷結防護魔法を発動する。

これは、フレイスの“勘”だ。

フェンダーとサレンを相手にするには、目で見てから対応したのでは間に合わないと、フレイスは学習している。

そのため、フェンダーかサレンのどちらかが不穏な動きをして、自身の“勘”が働いたなら、フレイスは迷わず防御するようにしていた。


______ズドドドドドドドドドドドドドドド!!


 そのフレイスの勘が正しかったことを証明するように、フレイスとフェンダーの間を遮る様に、足元から水の槍が噴出した_____サレンによる水属性魔法でのカウンターだった。

フレイスはこの水槍を凍らせて、サレンのカウンターを防ぐことに成功した____かに見えた。


「ハイアクア・プリズン!」


_____ズゥォオオオオオオオオ!!


「ぬッ!?」


だが水槍は、そのまま形状を変えて、フレイスを捕らえる牢獄となった。

 サレンは、フレイスを相手にするには、通常の攻撃魔法の使い方では、どうやってもダメージを与えることが出来ないのだと、これまでの攻防で学習していた。

そのため、魔力の消費と肉体の負担が激しくなろうとも、魔法の効果を強引に変化させての追撃を行った。


(一度放った魔法の効果を途中から変えるだと!?なんて奴だ!!)


 これは、先程フェンダーがした、手に持った金属性魔法の武器を変形させるのとは、ワケが違う。

一度自身の手から離れた魔法を変化させるという事は、STAGE4で放出した魔法をSTAGE5で操作するという事だ。いや、今のサレンの攻撃は、地面から水槍が錬成されたからSTAGE5だ。

STAGE5で発動した魔法を、更にSTAGE5で、別の魔法に変化させたのだ

こんな離れ業は、フレイスにもできない。サレンの魔法技術だからこそできる芸当だろう。


「_____フッ!」


そして、捕らわれたフレイスに向かって、フェンダーが金属性魔法で錬成した弓を引く。

矢は三本_____全て急所狙い。手加減無しの必殺の攻撃を用意する。

死んでしまうかも____等とは考えない。

そんな事を考えて手心を加えた瞬間に自分が死ぬことになる。


______バババンッ!!


「・・・・・」


サレンの超魔力で作られた水の檻の中、そこにフェンダーの超魔力で錬成された矢が光速で迫る_____


((____捕らえた!!))


フェンダーもサレンも手応え十分。フレイスを捉えることが出来たと確信した______その刹那


「ハァアッ!!」


_____バギャァアアアアアン!!


フレイスは氷結魔法で水檻を壊し、そのまま弓矢も弾いてピンチを乗り切った______。


「「なっ!?」」


この事実にフェンダーとサレンは驚きを隠せない。

これは本当にほんの一瞬、僅かな隙間を狙った神業だった。


 サレンはフレイスを捕らえるために強固な水檻を作った。それはいい。

だが、強固であるが故に、フェンダーの必殺の矢の威力を弱めてしまう事にもなる。

だからサレンは、矢が水檻に触れる瞬間、矢が通る部分の強度をワザと弱める必要が有り、そうしたのだ。

フレイスは正にその一瞬を狙って、その箇所から氷結魔法で水檻を壊したのだ。


(ありえない!!)


 矢は光速_____。目で見てからでは対応できない。

サレンが、矢が水檻に触れる瞬間にその箇所の強度を下げられたのは、事前にそれを知っていたからだ。


 フェンダーが助人に加わって、サンダーラッツがラヴィーネ・リッターオルデンと戦う準備をする中、短い時間ではあるが、サレンとフェンダーの二人は、連携の訓練とミーティングに明け暮れた。

どの魔法を使ったら、どの魔法で追撃するか?そして攻撃の際は相手フレイスのどこを狙うのか?

二人は、事前にそれら全てを打ち合わせ、フレイス対策をして来た。

フレイスに攻撃パターンを読まれないよう、可能な限り複雑な戦術を立ててフレイスとの戦いに臨んでいたのだ。

だからこそ、二人はこの尋常ならざる戦いの中でも、連携が取れていたのだ。

 それにも関わらず、フレイスは初見でこのコンビネーションに対応してしまった。


(こちらの戦術を読んだ!?違う!見えたのだ!潜在魔法の効果だ!・・・だが!)


 カラクリは簡単、フェンダーの思う通りだ。

フレイスは、フェンダーが矢を放った瞬間、潜在魔法RANK4(神経)で視力を強化して矢を見切り、水檻に触れるタイミングを計って対処したのだろう。

問題は_____


(_____それも計算した上で矢を放ったのだぞ!?)


_____そう、フェンダーはこれまでの攻防で、フレイスが潜在魔法で自分をどこまで強化できるのかを見定めて戦っていた。

そして、フレイスでは対応できない速度で、先程は矢を放ったはずなのだ。

にも拘らず____という結果だったからこそ、フェンダーの背中に冷たいモノが流れることになったのだ。

 フェンダーの見切りが甘かった?______違う。

ドネレイム帝国最強とまで言われる騎士フェンダーが、戦闘において、実際に手を合わせた相手の力量を見誤るなどという事は有り得ない。たとえ相手がフレイスであってもだ。


 ならば理由は一つ_____。


(潜在魔法の魔力が上がった・・・先程より成長したのだ。この短い瞬間で・・・)


これしか答えはない。フレイスは、このフェンダーとサレンのコンビとの戦いの中で成長していたのだ。

____いや、この二人が相手だからこそ、フレイスは極限状態に追い詰められて、底力が発揮されたと言える。


(オーマが言っていた事がよく分かった!)


 今、この短い瞬間で、自身の想定を超えて成長してしまうフレイスの姿に、フェンダーはオーマの言葉を思い出していた_____。




 「______フレイスは逆境に強い?」

「はい、そうです。これは全てにおいて、です」

「・・・全て?」

「戦略、戦闘・・・つまり、格闘、剣技、魔術と、戦いのあらゆるジャンルで、フレイスは追い詰められれば、追い詰められるほど強くなります」

「・・・・・」

「バークランド大戦の時もそうでした。どれだけ絶望的な状況に追い詰めても、必ず這い上がって、切り抜けて来ます」

「では、バークランド大戦時にフレイスを真っ先に仕留めに行かなかったのは_____」

「“行かなかった”のではなく、“行けなかった”のです」

「・・・・・」

「そして、バークランドが敗戦して国を失っても、フレイスは仲間と共に生き延びた。それだけではなく、更にRANK4の時空属性まで備えて現れました」

「逆境に強くなくては起きない現象だな」

「はい。なので、どれだけ追い詰めても気を付けてください。こちらの想定を、正に戦っている最中に超えてくる相手ですから」

「覚えておこう______」


もちろん忘れていたわけでは無い。

だが、実際にそれを目の当たりにして、フェンダーは喉が詰まる様な緊張感に包まれていた_____。

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