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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
第六章:凍結の勇者ろうらく作戦
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ダマハラダ砂漠の戦い(16)

 確かにロルグは剣術の達人で気配切りも出来る。

だが、それだけではウェイフィーとナナリーの連続攻撃を防ぎ切れる理由にはならない。

ロルグはフランと同じ様に、潜在魔法RANK4で神経を強化して風の刃などを感知して二人の攻撃に対処していたのだった_____。




 「フィットプット隊長!?」

「ナナリー!続けて!!」

「は、はい!」


 ナナリーの“どうしますか!?”という叫びに対して、ウェイフィーは同じ戦法の続行を指示した。


(フランと同じ様に潜在魔法RANK4を使っているなら、そう長くは続かないはず・・・フランよりは魔力量が多いだろうけど、こちらは二人・・・持久戦で行けるはず!)


フランから潜在魔法RANK4の魔力消費量の激しさを教えてもらっているウェイフィーは、二対一である事をフルに活かして持久戦を選択したというわけだ。


「ナナリー!回って!距離は固定!」

「了解!」


 ロルグの剣の技能が聞いていた話以上のものだと分かって、ウェイフィーはロルグと戦う上で、とにかく距離を取る事を徹底する。


(このおっさんと接近戦なんて無理・・・)


 二人は反時計回りに回りつつ、ロルグとの距離を空ける。

そして、ロルグが片方との距離を詰めればもう片方が牽制をし、その間に距離を詰められた方が距離を空ける____といった具合にロルグとの間合いを中距離で固定して、挟み撃ちの形を取り続ける。

それからお互いに射線上に入らない様に注意しながら、速攻の攻撃魔法を連発して挟撃。ロルグを攻め立てて行った____。


 「サンドショット!」

「エアロナイフ!」


_____ズバーーーーー!______ズババババババ!!


「ストーンショット!」


_____ズドドドドドド!!


「ウィンド・カッター!」


_____ズゥオオオオオ!!


二人の速攻の攻撃は、砂の目潰しや風の刃を多用して、とにかく“受けづらい攻撃”を厳選する。

少ない魔力量でロルグに潜在魔法RANK4を使わせて、消耗させる作戦だ。


「_____ふん!」


_____ズがガガガガガガン!!


ロルグはこれらの攻撃を何事も無く全て剣で受けきる。


「_____クッ♪」


そしてその中で、“楽しさを抑えられない!”といった様子で、笑みを浮かべていた・・・。


(なるほど、持久戦か・・・まあ、お互いの戦力を考えれば、そうなるな・・・それにしても素晴らしい。二人は同じ部隊ではないだろうに、上手く連携が取れている・・・・ククッ♪)


自分に不利な戦い方をさせられている状況だというのに、ロルグは二人の戦いぶりを楽しんでいた_____。




 ウェイフィーが石弾を放つ_____


______ズドドドドドドン!!


ロルグは全て切り伏せる_____


______ズガガガガガガン!!


休む間____いや、呼吸する間も与えずにナナリーが風の刃を乱射_____


______ズゥオ!ズゥオ!ズゥオ!


ロルグは簡単に見えない刃に鋼の刃を合わせる_____


_____ズババババシィイイン!!


「「はぁあああああ!!」」


_____ズドドドドドドン!!_____ズババババババ!!


ウェイフィーとナナリーが、お互いに射線上に入らない様に植物の棘とエアロナイフを放つ____放ち続ける_____


「おおおおお!!」


______ズガガガァアアアアアンンン!!


ロルグはその全てを、二本の剣だけで捌き切る______


「「はぁあああああ!!」」


だが、ウェイフィーもナナリーも攻撃を止めず、ロルグを攻め立てる____


_____ズドドドドドドン!!_____ズババババババ!!


「_____おうっ!」


______ズガガガァアアアアアンンン!!


息継ぎする暇さえないはずのロルグだが、それでも剣先を鈍らせること無く、ウェイフィーとナナリーの攻撃を全て防ぎ切る_____


_____ズドドドドドドン!!_____ズゥオオオオオ!!


_____ズガガガガガンッ!!_____バシィイイイン!!


 それでもウェイフィーとナナリーは、執拗に攻撃を続けている_____。

だが、息継ぎさえ許されていないはずなのに、ロルグには呼吸にも魔力にも限界が来ている様子が無かった。


(・・・嘘でしょ?)


この事実にナナリーは、一方的に攻撃している立場だというのに、この不可解な状態に恐怖すら覚え始めた。


「ナナリー!気を抜いちゃダメ!!」

「____はっ!はい!」


そんなナナリーの恐怖の宿った一瞬の表情を見逃さず、ウェイフィー指揮官として叱咤する。


(こちらが一方的に攻撃しているはずなのに、ナナリーの方がプレッシャーを感じていた・・・気持ちは分かる。このおっさんのタフネスは異常・・・・)


呼吸にも魔力にも限界が来ず、何だったらウェイフィーとナナリーの二人の方に疲労が見え始めている・・・。

ウェイフィーもこの状況は異常だと感じ、頭をフル回転させる_____


(____まさか)


_____そしてある仮説に辿り着く。


 「ナナリー!タメる!」

「ッ!___はい!」


ウェイフィーからの指示に、ナナリーは何かこの状況を打破する手がウェイフィーに有るのだろうと期待して、縋る様な返事を出す。


「はぁあああああ!」


_____ズゥォオオオオオオオオ!!


「ぬっ?」


そして魔力をふり絞り、強風を吹かせてロルグを抑え込みにかかる____


「_____ふん!この程度で!」


だが、抑え込めたのは数秒。

やはり一人の穴が出来た事が災いし、ナナリーの頑張りも虚しく、ロルグは地を蹴って爆ぜる様にウェイフィーとの距離を詰めた____


「ああ!?」

「____問題無い。時間は稼げた。これでOK」


 ロルグを抑え込めなかったことに焦るナナリーを他所に、ウェイフィーは冷静だった。

ウェイフィーは、どちらか一人だけではロルグを抑え続ける事は出来ないと分かっていた。


(賭けには勝った____)


そして、自分が魔力を溜めれば、ロルグはそれを潰すために自分との距離を詰めてくることも、これまでのロルグの戦い方で予想出来ていた。


 「ウォール・バイン」


_____ズゴゴゴゴッゴゴ!!


「むっ!?」


ウェイフィーが魔力を溜めて用意していたのは、樹属性の防護魔法だった。


(私が自分の方に来ると読んでいた!?だが、何故だ!?)


ウェイフィーの取った行動に疑問を持つロルグだったが、もうすでに攻撃態勢に入っていて剣を止められない。

やむを得ず、そのままウェイフィーの生やした蔓の壁に向かって剣を振るう____


_____ズバン!!


一刀両断____。

複雑に絡んで伸びたことで強度が増している蔓の壁だったが、ロルグの剣の前に簡単に切り伏せられてしまった。


(何だったのだ・・・何故こん____な!?)


わざわざこちらを呼び込んで防護魔法を使用して来たことにも、その使用した防護魔法の強度にも疑問を抱いていたロルグだったが、攻撃して蔓の壁を切り伏せると、直ぐにウェイフィーの思惑を理解できた。


「_____毒か!?」


ウェイフィーの生やした蔓はただの蔓ではなく、表面に肺を侵す毒の粉塵が付いている蔓だった。


 だが____


「はあっ!!」


肺が毒に侵されたはずなのに、ロルグは呼吸困難になるどころか、毒に侵された様子すら見せずに攻撃態勢に入り、そのままウェイフィーに向かって剣を振り下ろした____


_____ガッ!!


「ぬっ!?」


 だがウェイフィーは切れなかった。

ウェイフィーは直ぐに別の樹属性防護魔法を発動しており、その身を強固な樹木で覆っていた。


「防護魔法の二段構え・・・こちらに毒が通用しないとこを想定していたのか?」


ロルグは攻撃を防がれた事よりも、わざわざ自分を呼び込んで、それに対して防護魔法の二段構えで備えていたという、ウェイフィーの不可思議な行動の方が気になる様子だった。

 確かにウェイフィーのこの行動は、妙な話だ。

特に、毒を盛っておきながら別の防護魔法を備えているというのは、最初からロルグには毒が効かないと思っていたという事でないと辻褄が合わない行動で、毒が効かないと分かっていたのなら、何故毒を使ったのだ?という事になる。

 その答えはそのままだ。

ウェイフィーは、ロルグには毒が効かないだろうという自身の仮説を確かめたくて、こんな行動を取ったのだ。


 そして、その仮説を確かめた事で、ウェイフィーの中でロルグの“本当の強さ”の答えが出る_____


「やっぱり・・・おっさん、潜在魔法RANK5まで持っている」

「ええっ!?」

「ほう♪気が付いたか?なるほど・・・それを確かめるためのものだったか・・・」


 潜在魔法RANK5_____。

それは、自身の肉体の内臓まで強化できるというもので、これこそがロルグのこれまでの不可解な強さの秘密だった______。


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