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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
第六章:凍結の勇者ろうらく作戦
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ダマハラダ砂漠の戦い(3)

 帝国軍と連邦軍との戦いが始まり、その中でオーマ達サンダーラッツは、フレイス達ラヴィーネ・リッターオルデンと接敵する。

 そのファーストコンタクト。

オーマはこの状況と、過去のラヴィーネ・リッターオルデンとの戦いのデータ、そしてフレイスの性格を基に、相手の攻撃を読み切っていた。

 そうして、ジェネリーにヴィーネ・リッターオルデンを炙り出させると共に、レインによる最高のカウンターをほぼ完璧なタイミングで撃ち込むことに成功した。

だが、結果はオーマの予想と期待を大きく裏切って、ラヴィーネ・リッターオルデンは無傷で、レインの方が大ダメージを負う結果となる_____。




 「あ・・・がッ(ま・・・また)」


 突撃したレインは、自身の攻撃をフレイスの水属性性質変化魔法によって錬成された純水で防がれ、こめかみに肘鉄のカウンターを受けて脳を揺らされていた。

前回のバージアデパートでフレイスから受けたカウンターと全く同じやられ方だった。

フレイスの手が塞がっていると踏んできたとはいえ、同じ轍を踏んでしまった事に、レインは悔しさをにじませる。

だが、その気持ちとは裏腹に、視界は歪み、意識も魔力も集中できず、隙だらけとなってしまう。


 そして、やはりフレイスがこの好機を逃すことは無かった____


「レイン・・・沈めぇ!!」


______バギャァアアアアン!!


「あぐっ!?」


レインにカウンターを入れたフレイスは、そのままレインに追撃の一撃を加えて、レインを戦闘不能へと追いやった_____。


「フレイス様、止めは?」

「必要ない!捕獲しておけ!」

「了解」


フレイスと共に砂壁盾隊を率いてラヴィーネ・リッターオルデンの先頭に立っているアデリナは、それを聞くと直ぐに部下に指示を出し、レインを拘束してしまう。

レインはサンダーラッツとラヴィーネ・リッターオルデンの戦いのファーストコンタクトで、戦線離脱する羽目になってしまった・・・。




 ミクネからの報告でオーマは、レインのカウンターはフレイスによって撃ち落とされて、レインはそのまま戦線離脱したと聞かされるが、先程までミラージュ・アングリフという奇襲戦法のために魔法を使用していたフレイスが、何故こんな完璧なタイミングでレインを迎撃できたのか分からず、動揺が走ったままだった。

 最高の攻撃を撃ち落とされて、主力の勇者候補の一人を失い、その事に指揮官のオーマが動揺すれば、サンダーラッツ全体に影響が出て、サンダーラッツの勢いが削がれる。

 それに対して、ラヴィーネ・リッターオルデンの方は、当然の様に勢い付いていた_____。




「ハハッ!流石だよ!オーマ!こちらの動きを読んでいたな!だが私も自分の動きが読まれるとは思っていたぞ!コレル!よくやった!」


 相手の攻撃を打ち落として流れを掴んだフレイスは、その事でコレルに称賛を送っていた。

_____そう。これが、フレイスがレインにカウンターを合わせられた答えだった。

今回、サスゴットの疾風槍隊と合わせて水魔法を使い、ミラージュ・アングリフを発動していたのは、フレイスではなく、コレルとその指揮下の水突弾隊だった。


 サンダーラッツがバークランド大戦でラヴィーネ・リッターオルデンと戦ってから数年の時が流れ、サンダーラッツはバークランド大戦時より成長していて戦力アップしている。

だが、これはラヴィーネ・リッターオルデンも同じ_____いや、あの大戦以降、“ドブネズミ”となり下がって腐っていた期間があるサンダーラッツのメンバーより、敗戦して国を亡くして尚、打倒帝国のために自分達を磨き上げていたラヴィーネ・リッターオルデンの者達の方が成長しているだろう。

その中で、フレイスがRANK4の時空属性を扱える様になるという非常識な成長を遂げているわけだが、そのフレイスの影に隠れて、コレルの成長も目覚ましいものが有った。

 バークランド大戦当時コレルは、十代半ばというラヴィーネ・リッターオルデン幹部の中で一番若いながら、その時点でRANK2の氷属性を持っていた。

つまりは、ラヴィーネ・リッターオルデンの幹部隊の中で、フライスを除いて一番伸びしろが有る魔導士だったというわけだ。

これに、敗戦して国を亡くしたという逆境も重なって、魔導士としても指揮官としても自身を磨き上げたコレルは、その力でもって水突弾隊と共にフレイスの代役さえ任せられるようになっていた。

 コレルの水突弾隊がサスゴットの疾風槍隊と実戦でミラージュ・アングリフをい合わせるのは、これが初めてだったが、コレルはフレイスの期待に応えて、見事にこれを成功させる。

フレイス指揮の下、高い連携だけでなく、お互いの信頼関係も出来ていなければ失敗していただろう。

ラヴィーネ・リッターオルデンのチームワークの高さも覗える_____。


 この事実を知らないオーマは、ミラージュ・アングリフの奇襲の中にコレルの隊が居た事に疑問を持つことは出来ても、まさか“あの”フレイスの代役を可能にしているとは、想像すら出来ていなかった。

 逆にフレイスの方は、オーマが自分の考えを読み切る事を読み切った事に加え、その対策も読み切っていた。

前回、バージアデパートの屋上で、勇者候補達の過去を覗いて、その個々の能力を把握していた分の差が出る、という結果になったわけである。


「オーマ!?」

「____クッ、すまん!ミクネ!ロジに突撃命令!」

「了解!_____」


 オーマは、自分の読みが外れた事にも、その事に動揺して指示出しが一瞬遅れた事にも悔やむが、何とか気持ちを切り替えて、作戦が失敗した時に用意していた予備案を採用して、ロジに攻撃命令を出した。

 さっきはラヴィーネ・リッターオルデンのチームワークを見せつけられたが、チームワークならサンダーラッツも負けてはいない。

先程の采配を責めているのはオーマ本人だけで、サンダーラッツのメンバーにはオーマを非難する気持ちを持つ者は一人も居なかった。


「行きますよ!皆さん!ボク達で敵に持って行かれた流れを奪い返します!!」


「「ヴァッヴァリヴァジジャーーーーー!!(分っかりましたーーーーー!!)」」


特に、サンダーラッツのメンバーの中でも最もオーマに対する忠誠心の高いロジは、逆にこの事で気合が入っていた。

そうして、狂信者達(突撃兵士)と共に敵陣に切り込んでいった_____。




 「サンダーラッツの突撃隊が来るよ!お前達!覚悟はいいね!!」


「「おうっ!!」」


そんなロジ率いるサンダーラッツ突撃隊を迎え撃つのは、ラヴィーネ・リッターオルデンの中央先陣を務めているアデリナの砂壁盾隊だ。

 補足として、ラヴィーネ・リッターオルデンの陣形は、中央先頭にアデリナの砂壁盾隊、その後ろにフレイスの氷演武隊(今はフレイスがアデリナ共に先頭に居るのでアーグレイが指揮を執っている)、その両サイド、向かい合うサンダーラッツから見て、右翼にサスゴットの疾風槍隊、左翼にロルグの聖炎刃隊、氷演武隊の後ろの中央後方にコレルの水突弾隊が居て、その背中を護るようにミューラーの視暗弓隊が最後尾で展開している鋒矢の陣だ。

 防御だけでなく、実は突撃も得意なアデリナの砂壁盾隊を先頭に置いてのこの陣形は、ラヴィーネ・リッターオルデンで一番用いられる突撃陣形だ。

オーマ達も何度も見ている陣形だが、攻防共に高い性能を誇るアデリナの砂壁盾隊を先頭に置いた突撃陣形はクオリティが高すぎて隙が無いため、戦う前からこの陣形だと分かっていても切り崩す策が無い程だ。


「「ウヴァヴァッババババババババァアアアアアアアアア!!」」


そんなスキの無い陣形、その中でも最も硬い部隊に対して、ロジの突撃隊は躊躇することなく(するわけもなく)向かって行くのだった_____。

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