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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
第五章:幻惑の勇者ろうらく作戦
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幻惑の勇者ろうらく作戦会議3(3)

 会議をしている最中に、以前から探し続けていた“禍々しい気配”が漂い、一時、サンダーラッツのメンバーに緊張と期待が表れた。

だが、その気配の正体は自分だとユイラが主張すると、一同の表情には再び困惑の表情へと変わった。


「今の気配の正体ってユイラなの?」

「はい・・・・」

「どういう事だ?」

「あ、あの・・言いづらいのですが・・・その、団長とレンデル隊長のやり取りに興奮してしまいまして・・・」


「「____は?」」


 更に“分からない”という表情を見せる一同に、ユイラは恥ずかしそうにしながらも、最近になってハマった趣味(BL)の話をした_____。


「____はあ・・・ユイラはそこまでBLにハマっていたのですね」

「レインは知っていたのですか?」

「はい・・・。まあ、二人で商品を入荷するためにベルヘラに行ったときには、必ず購入していましたから」

「あ・・気付いていたのですね」

「当り前です」

「それでハマっているうちに、“ああ”なったと?」

「はい・・・現実で男性の仲睦まじい姿を見ると、変なオーラが出る様になりました・・・・」

「変なオーラっていうか、やばいオーラだな」

「魔王が放つ様な、“負のオーラ”ですね」

「いや、 “腐のオーラ”だな」

「字面なんてどうでもいいわよ。でも、はあ・・・そういうこと」

「ああ、そういえば、確かにあの酒場で腐のオーラが表れる前に、ジェネリーちゃんとウェイフィーちゃんとで、ロジと団長はデキてるって話してたな・・・」

「そういえば・・・」

「お前達・・・どういう話をしてんだ・・・」

「す、すまねぇって、団長。ノリだよノリ」

「悪ふざけ。許して」

「まったく・・・他の皆もか?」

「ああ。私は本屋でBL本を初めて見て、それで軽いノリでオーマとロジの仲をからかった」

「そうでしたね・・・あ!も、もちろん冗談ですよ?本気で言った訳じゃ___」

「____いや、分かっているよ、サレン」

「ホッ・・・」

「なら間違い無さそうね。私達がソノアと食事しているときにも、その会話をしていたしね」

「じゃー、何だ?あの気配の正体は、ただBL好きな女の子が興奮していただけって事か?」

「その様ですね・・・」

「なんだよ・・・ベルジィの幻惑の力ってのは、俺達の早とちりかよ・・・」

「でも、おかしいぞ?私があの気配を察知した時にはユイラはいなかったぞ?」

「他のBL好きの人がたまたま居て、思わず反応しただけでは?」

「そんなにBL好きの女子って多いのかよ・・・」

「いえ、決して多くは無いと思いますよ、ミクネ様。実際私がこの街で出会ったBL友達は、“せっかくできた友人”と言って、他のBL仲間はいませんでした」

「_____ちょっと待て、ユイラ」


 ユイラのその一言で、オーマは閃光の様に閃いた。

そしてそれは、今度こそこの状況を打破する光だった。


「その話本当か?ユイラ?」

「え?・・は、はい本当ですけど・・・」

「何?どうしたの団長?」

「確か皆がこの気配を感じ取ったのって、ソノア・エリクシール、ミリアン・コール、ライオン・ケイブだったよな?」

「ああ、確かそうだったはずだ」

「でもそれが?」

「なら、あの気配を放ったのはソノアさんとジュネッサのはずだ。少なくとも、俺達がソノアさんと食事をした時は、身内を除けば話を聞いていたのはソノアさんだけだ。お前達、ソノアさんやジュネッサにBLの趣味があるって知っていたか?」


「「・・・・」」


「いや・・・聞いたこと無いな」

「隠しているのでは?ユイラの態度では、あまり人に知られたくはない趣味のようですし」

「ハハハハハ・・・・」

「そうだな。その趣味を持たない人には知られたくはないのかもしれない。だが、同じ趣味を持っている者同士なら隠す必要は無いだろう?でもユイラの友人・・・ノワールさんだっけ?その人にとってBL仲間はユイラが初めてなんだろう?」

「は、はい・・」

「おかしくないか?この街でBL本を扱っている店は一軒だけなのに、全く会ったことが無いのか?一度は店で会っているんじゃないか?それにソノア・エリクシールのお使いついでにユイラがノワールの部屋を訪ねていたってことは家が近いんだろ?」

「はい。ソノア・エリクシールの隣の建物です」

「なのに全く接点が無いのか?ただでさえソノア・エリクシールは薬剤店で、日用品も扱っている」

「たしかに・・・隣に街一番の薬剤店があるなら日用の薬品はそこで買うわね」

「ジュネッサはともかく、ソノアさんとノワールさんの二人は出会っていなければおかしいくらい身近にいるぞ?・・・ユイラ、ライオン・ケイブの店主と話したことは?」

「あります」

「ソノアさんやジュネッサがライオン・ケイブの常連客だって話を聞いたことはあるか?」

「・・・無いです」

「あの二人がライオン・ケイブに行っていたという話は?」

「聞いた事無いです」

「ミクネ、サレン、イワ、街でベルジィを探していた時に、ジュネッサやソノアさんがライオン・ケイブに行く姿を見かけた事は?」

「ない」

「ないです」

「同じくです。それらしい噂もないです」

「あの気配が出るって事は・・・よくは分からないが、ユイラを見る限り、相当この趣味にハマっているってことだろ?なのに常連ではないってどういう事だよ?扱っているのがその店だけなら通い詰めているだろうに、他の常連と顔見知りでもなく、目撃情報も無いってどういうことだ?」

「確かにそうね・・・」

「皆、ノワール、ジュネッサ、ソノアの三人のうちの誰かが一緒に居るところを見た者は?」


「「・・・・・」」


「団長・・・まさか・・・」

「ああ。あの気配は幻惑の力ではないようだが、もしかしたら、この三人か二人はベルジィなのかもしれない」

「そういえば、ジュネッサのお店とソノアの店って、昼と夜で同じ時間にやっていることは無いわね」

「誰か、ソノアとジュネッサの酒場に行ったことは?」


「「・・・・・」」


「ソノアに代わって店番をしていた時に、ノワールかジュネッサが来た事は?」


「「・・・・・」」


「なんだぁ?・・・まさか、本当の本当に最初からアタリを引いていたってのか?」

「かもしれませんね・・・」

「・・・ロジ、俺達のスケジュールも一応調べてくれ、ソノアと会っている時と、ジュネッサの店に行ったときの記録だ。この二人がスケジュールで被っているところが無いかチェックしてくれ」

「分かりました」


ロジは直ぐにスケジュール帳を開いて、確認した。


「ボク達のスケジュールの中では、ジュネッサさんとソノアさんのスケジュールが重なっていることは無いです」

「団長・・・」

「ああ、限りなく怪しいな。調べる価値は十分に有りそうだ」

「どうしする?サレンにやってもらう?」

「いや、もう少し調べよう。もしこの三人の中にベルジィがいるなら、俺達は既にマークされているって事だ。慎重になる必要が有る」

「ソノアは特にそうかもね」

「そう考えると、新薬の開発のサポートを頼んできたのも怪しいですね」

「団長、指示をください」

「よし!新薬開発のサポートを継続しつつ、ノワール、ジュネッサ、ソノアの三人を調べる。フランとイワの二人はミリアン・コールに通ってジュネッサをマークだ」


「「了解!」」


「副長、クシナ、レインの三人はソノア・エリクシールの店番で、ノワールの部屋を監視だ」


「「了解!」」


「そしてユイラ、今回は君が一番の頼りだ。ライオン・ケイブに通って、ソノアとジュネッサが店に来ないかを見張りつつ、店主にソノアとジュネッサが店に通っていないかを聞き出してくれ」

「分かりました!」

「残りの者達は、引き続きソノアのサポートだ」


「「了解!」」


 こうしてソノア達三人を探り始めたサンダーラッツの一行____。

その結果は、ジュネッサ、ノワール、ソノアの三人をマークしても証拠どころか怪しい所一つ見つけられなかったが、ユイラがライオン・ケイブの店主への聞き込みに成功し、ジュネッサとソノアが店に来た事は無いと判明し、これによりオーマは自身の推理の確証を得る。

 そして、オーマはソノアの正体を見破るための作戦を考案するのだった____。

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