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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
第五章:幻惑の勇者ろうらく作戦
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ソノアからの依頼(前半)

 オーマとヴァリネスの二人は、軍事区域で起きた殺人事件の容疑でバージア警備団に拘束された。

だが、事情聴取が行われている最中に、自分が犯人だと名乗る人物が自首してきた。

そして、その人物への取り調べの結果、殺人事件の犯人で間違いない事が分かった_____無論これは、オーマへの洗脳を諦めたベルジィが用意したものだ。

こうして、オーマとヴァリネスの二人は、容疑が晴れて翌日解放されることになった。

 オーマとヴァリネスが拘束されている間、クシナはオーマ達の事はロジとソノアに任せ、自身は他のメンバーと、今回の事件で妙な噂や憶測が飛び交ってゴットン商会に風評被害がでないよう、商会などの各所へと足を運んでいた。

その甲斐あって、風評被害は最小限に止まり、オーマとヴァリネスの二人は、警備団に憤りを残す(特にヴァリネス)ものの、この二人の誤認逮捕事件は無事に幕を閉じたのだった_____。


 それから数日後____。

 サンダーラッツの隊長達が風評被害を防いでいたものの、幾らかは妙な噂が飛び交ってしまい、一部の商人や住人達との間に距離ができてしまっていた。

オーマ達は解放されると先ず、この関係の修復するために、各所への挨拶回りに奔走した。

 そして、それも今日の午前中でようやく一段落着くと、昼食後は少し休みにして、事務所に詰めているロジとクシナと共に四人で寛いでいた・・・。


「はぁーー!!腹立つわぁ!!何よ!誤認逮捕って!!税金貰ってんだから、ちゃんと捜査しなさいよね!」


 殺人容疑の疑いが晴れて数日経つも、ヴァリネスの中ではまた腹の虫が収まっていないのか、時間が空くと未だにバージア警備団への愚痴を飛ばしていた。


「副長、もういいじゃないか。疑いは晴れたんだし」

「そうだけどさぁ!!」

「堪えてくれ、副長。この立場である以上・・・いや、どちらにしても警備団みたいな法の番人連中とモメても得することなんか何一つない」

「そうです。絡んでも損するだけですよ」

「はぁ・・・分かったわよー・・・」

「でも結局、何だったんでしょうね。ボクは正直、“怪しい”と思っていたのですが・・・」


 ヴァリネスの怒りが収まったタイミングを見計らって、ロジが改めて今回の一件を“怪しい”と提示した。


「同じくです。私も今回の一件はベルジィによる工作だと思っていました」


ロジの発言に対して、クシナはまるでその“怪しい”の意味を分かっているかの様に同意してきた。

 そう____。皆、直接口には出していなかったが、メンバー全員が今回の一件がベルジィによる仕業だと疑っていた。

メンバー全員が一度は経験した怪しい気配(ベルジィの腐のオーラ)と、それと類似するかもしれない軍事区域で噂になった不穏な気配。そこで起きた殺人事件(実際は起きていない)。そして、その容疑者としてオーマが確保される・・・・これに対する皆の感想は、“出来過ぎている”だった。

ベルジィの能力を知る者なら誰もが、ベルジィの仕業だと警戒する場面だろう。

当然、拘束されたオーマとヴァリネスの二人も、この可能性を考えてはいた・・・だが、


「だが、これがベルジィの攻撃だったなら、この結果はおかしいんだよなぁ・・・」


「「・・・・・・」」


オーマの呟きに、他の三人も沈黙で同意した。

 オーマの言う様に、もし、これがベルジィの攻撃だったのなら、今オーマとヴァリネスの二人が解放されている現状は辻褄が合わないのだ。

もし、オーマ達をスパイだと見破って排除しようというのなら、あのまま犯人にでっち上げているはずだ。

そして国外追放・・・或いは最悪の場合、処刑されていたはずだ。ベルジィがオーマ達をスパイだと見破ったのなら、情けを掛ける理由は無いだろう。

かといって、これが攻撃でないのなら、これをやったベルジィの目的に全く見当が付かないのだ。

スパイ殺人容疑で拘束、その翌日に誤認逮捕だったと解放・・・意味が分からない。

 結局、この出来事を推理していくと、偶然、或いは別人物による犯行と考える方が現実的なわけだが、オーマ達にとってはその可能性もしっくり来ないものだった。

結果、今回の一件でサンダーラッツ一同は、更なる困窮を迎える羽目になっていた・・・。


「・・・結局のところ、まだベルジィを見付け出せていないというのが一番の原因なんだろうな」

「ホント・・・どうしたら良いのかしら・・・」


 オーマ達がバージアに来て約一ヵ月。

オーマ達は未だにベルジィの存在の確認すらできていない。

この事には、オーマだけでなく、サンダーラッツ全員が焦りを感じていた。


「これまでやって来た有効だと思っていた方法、疑わしかった人物への捜索、全て外れていますからね」

「そして未だに、誰がベルジィさんかの見当すらついてなくて、探し出す方法すら無い状況です」

「見た目を変えられる上に、他人を操れる能力を持った人物_____。改めて考えてみると、ベルジィの能力って本当にチートよね。こんな能力を持っている人物に潜り込まれたら、探し出すなんて不可能よ」


 これまでのろうらく作戦で苦戦するパターンは、ろうらくする対象の性格や立場で、作戦を遂行するのが困難になるというパターンだった(特にミクネやサレン)。

だが、そもそもターゲット自体を探し出すことが容易ではないという今回の作戦。

現状、進展させるどころか、その手掛かりすら手に入らない。

オーマ達にとって、今までとは全く違う難易度という展開だった____。


「____だが、何とかしなくては」


 最後の勇者候補であるフレイス・フリューゲル・ゴリアテの所在も確認され、ココチア連邦の動きも活発になっている。

ベルジィを探し出した後、ろうらく作戦も実行しなくてはならない事を考えると時間的猶予はあまりないだろう。

急がなければならない____。

だが、現状打つ手が無い_____。

オーマは本気で焦り、途方に暮れ始めていた。

だが、そんな悩み苦しむオーマに、意外な人物からその救いの手が差し伸べられた_____。



 「_____ごめんください」

「ああ!ソノアさん!」

「いらっしゃいませ」

「どうしたの?いつもこの時間は店じゃなかったっけ?」

「はい。そうなのですが、実はネリスさんに相談がありまして・・・今、よろしいですか?」

「もちろんよ!前の事件でも協力してくれたし、遠慮しないで!」

「ありがとうございます。・・でも結局私は何もしなかったわけですけど・・・」

「そんな事ないわよ。本当に助かったんだから」

「その通りです。貴方が面会に来てくれただけでも、安心して冷静になれましたから・・・」


___と、オーマは言いつつも、具体的にはその時の内容は覚えていなかった。


「だから、貴方になら喜んで時間を作るわ!入って」

「ボクお茶入れます」

「ありがとうございます____」


オーマ達四人は、これまですっかり世話になっているソノアを喜んで迎えて、客室へと通した____。



 「どうぞ____」

「ありがとうございます。頂きます」


ロジが持って来たお茶に口を付けて、ソノアは話をする準備をする。

 その準備が整ったのを見計らってネリス(ヴァリネス)は口を開いた。


「それでソノア、私に相談って何?」

「はい。実は、新薬の開発依頼がありまして、それを受けるかどうするか悩んでいまして・・・」

「新薬の開発?」

「はい。ちょっと特殊な案件でして、もし開発するなら素材集めから生産まで、大手商会の協力が必要なのです」

「それで私達にパトロンになってほしいってわけ?」

「まあ、一言で言ってしまえば、そうです」

「ふーん・・・まあ、ソノアからの相談なら、直ぐにOKでもいいんだけど・・・ちなみに、どんな注文か聞いてもいいの?」

「基本的に先鋒からは守秘義務が課せられていますが、協力者に事情説明する場合は、その方が守秘義務に同意する書類にサインをしてくだされば___」

「分かったわ。サインするから、その書類出して」

「ありがとうございます。では、これに____」


そう言ってソノアが契約書を出すと、ヴァリネスはそれにサインする。

ソノアはそれを確認すると、開発を頼まれた新薬についての話を始めた____。

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