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チート勇者ろうらく作戦  作者: 脆い一人
第四章:烈震の勇者ろうらく作戦
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烈震の勇者ろうらく作戦会議??

 何とかヤトリ・ミクネを説得し、スカーマリス捜査に彼女を参加させることに成功したオーマ達一行。

一旦ヤトリと別れて、ミカワに戻って来た一行は、そのままナガシノ城に入城し、ジョウショウにヤトリ説得の成功を報告した。

 それも済んで一夜明けた次の日の夜、オーマはろうらく作戦会議を開くため、サンダーラッツの隊長達が居る宿舎を訪れ、一同を集めた。

ちなみに、今回の作戦会議には勇者候補の三人は参加させておらず、三人はミカワの貴族軍人用の宿舎でオーマの帰りを待つのだった。




 隊長達が宿泊している宿舎には、当然のように盗聴用の魔道具が仕掛けられていたが、予めサレンの静寂の力で封じてもらっている。

サレンが加わったことで、何処でも安全に密談が出来る用になった事は、反乱軍のオーマ達にとって思いがけない利点だ。

 おかげで一同は、心置きなく好きな場所で、好きな事が言えるという訳だ____。


「___これで、お酒でもあれば完璧なんだがなぁ」

「そうよねー。せっかく東方地方に来ているんだから、噂に聞く米のお酒が飲んでみたいわ」


サレンのおかげで心置きなく喋れるせいか、雰囲気はやや緩く、フランとヴァリネスからはいつもの軽口なんかも出ていた。


「ほんと、お二人は相変わらずですね」

「もう、クシナが“相変わらず”って言うのが相変わらずになるくらい相変わらずだね」

「わけ分かんないですよ、ウェイフィー・・・」

「ですが、今日のところは控えた方が良いと思う」

「イワナミさんの意見に賛成です。兵士達も今は節制している訳ですから、ボク達だけ楽しんで次の日お酒臭かったら恨まれますよ」

「そっかー・・そうね。ロジくんが言うなら止めときましょう」


ロジに言われて、ヴァリネスはあっさり飲酒を却下した。

ロジに対する毎度の態度に、一同からも毎度のため息が出ていた。


「はあ・・・ロジに対しても相変わらずですね」

「もうクシナが、“相変わらず”って言うのが相変わらずになるくらい相変わらずだね」

「もうそれいいですよ、ウェイフィー・・・」

「まあまあ、確かにロジくんの言う通りだけど、別のちゃんとした理由も有るし」

「別のちゃんとした理由?」

「てか、ちゃんとした理由じゃないって自覚あったんだな・・・」

「今日はこの三人も居るでしょ?」


「「ああ・・・」」


 そう言って、ヴァリネスが移した視線の先には、サンダーラッツの通信兵のシマズ・マズマ、ユイラ・ラシル、ナナリー・ユジュの三人が席についていた。

 今回の作戦会議には、この三人にも参加してもらっている。

というのも今回の作戦では、雷鼠戦士団という約千人もの全く事情をまだ知らない兵士達を連れてきている。

オーマとヴァリネスが二人で話し合った結果、この兵士らを指揮しつつ、ろうらく作戦とスカーマリス捜査を上手く行うには、やはり連絡役のこの三人にも詳細を知ってもらった方が良いだろうという結論に至ったのだ。

 通信兵の三人には、サンダーラッツ幹部達が不在の間、兵団の指揮をしてもらったり、盗聴対策も含めて三人の内誰かに見張りをしてもらったりする機会が多かったため、通信兵の三人全員が一緒に会議に参加した事はこれまで無かった。

特にユイラは初参加である。

だが、今では指揮の代役にはジェネリーも居るし、盗聴対策にはサレンが居るため、こういった事も出来るようになっていた____。


「どうぞ、よろしくお願いします」

「参加させていただき光栄ですわ」

「が、がが頑張ります!」


シマズとナナリーが普段通りに振る舞う中、ユイラだけはガチガチの態度だった。


「・・・何?ユイラってば緊張しているの?」

「は、はい。申し訳ありません・・・初めてですので、正直に申し上げて緊張しています」

「なーに、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、ユイラちゃん♪」

「そうそう、締める時は締めるけど、緩いときも有るから」

「副長とフランは、いつも緩い気がしますが?」

「あら、そんな事ないわよ」

「そーだ、そーだ。せっかく硬いムードに緊張しているユイラちゃんの気持ちを解そうとしているんだから、堅物のクシナは引っ込んでな」

「む・・・・」

「あ、いえ・・・あの、緊張している理由はそうでは無くて・・・むしろ逆と言いますか・・・」


「「逆ぅ?」」


「皆さんは普段、兵士達の前だと結構ちゃんとしていらっしゃるじゃないですか?何か、ちゃんとONにしていると言いますか・・・」


「「・・・・」」


“結構ちゃんとしていらっしゃる”と、意外と失礼な事を言ってしまうのも緊張して頭が回っていないからだろう。

一同はそこまで分かって、ユイラの発言には苦笑いだけで黙認した。


「でも、ベルヘラの時もそうでしたけど、幹部の皆さんだけになると、結構OFFになっている気がするんですよ。その雰囲気に馴染めるかなって・・・」

「あー・・・それって、“職場の上司にプライベートで会うと逆に緊張する”みたいな感じって事か?」

「それです、シマズさん」

「あー、なるほどね。ユイラみたいに“まとも”な子は、私的な場で上司と居るより、公の場で上司といる方がむしろ気楽なのね」


シマズとナナリーにも心当たりがあったのだろう、ユイラの気持ちに納得という反応だった。

だが、隊長達は納得していなかった。


「い、いえ、これ、プライベートじゃないですから」

「会議だって言ってんだろ」

「てか、“まとも”を強調するな。まともな人は、俺達と居ると疲れるみたいに聞こえる」

「まあ、当たっているだろ」

「そうだな。まともな奴はイワナミと居ると肩がこるだろうな」

「フラン。お前は自分を客観視することが出来ないのか?」

「イヤイヤできるって・・・客観的に見て、そこまで緩くは無いだろうって話だ」

「えー・・でも、何か空気がいつもと違いますよ____副長以外」

「そう言えば、ナナリーさんもゴレストで会議に参加した後、いつもと雰囲気が違ったって言ってましたね」

「はい。隊長の何人かの方とは、プライベートで食事もご一緒させていただいていますが、その時より・・何と言いますか、“身内感”みたいなものがありましたわ____副長以外」

「そうです!それです!なんか、いつもより仲好しな感じで、普段私達には見せない部分が出ている感じで・・・だから、その空気に馴染めるか心配なんです」

「いや、私の事いじってる時点で大丈夫だろ」


ヴァリネスから鋭いツッコミが入った。


「シマズ。お前は大丈夫なのか?」

「はい。私はまだ団長が、“やる気があった頃”に何回か呼ばれていましたから」


 通信兵の中ではナナリーが最年長だが、サンダーラッツに所属している期間はシマズが一番長い。

____余談だが、昔のサンダーラッツに居た同期の女性通信兵と結婚しており、子持ちの愛妻家である。


「それに、自分は幹部の皆さんが実は全員仲好しだって知っていますから」


「「誰がだッ!!」」


ロジ以外の幹部全員が声を揃えて否定した。


「ハハハ・・・(もう、何で部下の前だと意地張るんだろう?この人達・・・)」


古株のシマズから見れば、幹部達の仲の良さはとっくの昔に分かっていることなのだが、それでも意地を張って否定する幹部達に、シマズは苦笑いを見せる事しかできなかった___。




 「____それで団長?会議はいつ始めるんですか?」

「ああ・・・そうだな。いつ始めようか?」

「はっ?どういう意味だよ?」

「もう、全員が集まっているのですから、初めても良いのでは?」

「普段なら、とっくに始めていますよね?」

「ダラダラしてる」

「い、いや、まあ・・・ほら、ここ最近はお前達と行動する機会が減っていただろ?今日も会議が終われば、宿舎は別なわけだし。早く始めて、早く終わったら淋しいじゃないか。もっと、みんなと一緒に団欒する時間を設けてだな____」


「「・・・・・」」


「・・・どうした?」


「「キモッ!!」」


今度は幹部と通信兵の全員が綺麗にハモった___。

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