表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鯉空伝  作者: Ppoi
1/3

綺麗な檻

 温かな水が足の下を通っている感覚がする。


 空は終わりが見えず、解放的。


 とても心地いい。


 見ると白い床の中を赤と白のまだらの鯉が泳いでいる。


 透明な水が流れている。


 一面が白と空色の世界。


「ここはどこ?」


 恋子(れんこ)はつぶやく。


「夢の中なのかしら?」


 まるで現実世界とはかけ離れた世界。


「夢ならこのまま覚めたくない」


 温かくて優しい世界。ずっとここにいたいのに。


 そして、恋子は泣いていた。


 自分が涙を流していることに気が付いた。


「私はなんで泣いてるの?」


 その問いに答える者はいない。


 恋子はこの世界から抜け出すことはできないのだ。


「どうして、何も思い出せないの?」


 彼女は、そこに立っているだけだった。


 代償を払いすぎて、抜け殻のように残りカスになってしまったのだ。


 大事な人達も思い出せない。


 涙だけが、彼女を彼女と認識させていた。


 美しい鯉だけが、床の中を泳ぎ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ