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どの口が

 あまりにも見たことのあるスチルのような光景にヘレンは思わずカトリシアに向かって、サータスが好きだったのか問うてしまった。これはうららの思い違いでなければサータスエンドでみられるこうけいだ。

 しかし、カトリシアはヘレンと同じく、真っ青な顔をしながら全力で首を真横にブンブンと勢いよくふっていた。


(……と言うことは、サータスエンドではないのね)


「……取りあえず、サータス様。アクシル様の解放をお願いします。それから殿下、カトリシア様に魔力回復をかけてそれからカトリシア様から光魔法で回復させてもらえれば、私にお医者様は要りませんからね」


 ヘレンは静にルイスとサータスに各々告げる。


 ゲーム通りであれば、寝ていたカトリシアは起きると魔力が枯渇しかけている。そのため起きて直ぐ魔力回復を掛ければ強力な回復魔法が使えたはずだ。


 ルイスはヘレンの言葉を聞いて直ぐに理解したようで、カトリシアに断りをいれてから同意を得て魔力回復をかける。

 お陰でカトリシアから回復をかけてもらえたヘレンは、直ぐに満身創痍から解放されることができた。

 座らされていた椅子から立ち上がっても何も痛くない。


(流石ヒロイン。回復魔法は一流ね)

 妙に納得しつつ、ヘレンは麻袋をとサータスを見る。


「サータス様。その麻袋解放していただけませんか?」


 ちゃんとしたゲームのような戦闘にはなっていないものの、結果としてヘレンはアクシルに攻撃さている。それが多分ゲームで言う戦闘だったのだろう。その証拠にカトリシアはめざめた。


 ……と言うことは、もしかしたらこのルートはゲームとのストーリーとかけ離れて違うけれど、アクシルルートなのかもしれないとヘレンは思っていた。


 しかし、取りあえず麻袋から出してみないことには話しにならないので取りあえず可能であれば、アクシルからも見解を聞きたい。

 なんと言ったって彼は転生者で、このゲームをプレイしている。もし落ち着いて話が出来るようであれば、この展開について聞けるかもしれない。



 本音を溢せばすごく顔を逢わせたくないし、声など聞きたくないところだがこればかりは致し方ない。


 そんなヘレンの思惑を察したのか、


「ヘレン。袋から害虫が飛び出ると悪いから、後はこちらで事情を聞いて置くじゃだめかな?」

 サータスからの視線をうけルイスが渋い顔で答えれば、ヘレンは頭を振る。

「すいません、殿下。逢いたくないのは山々ですが、私も彼からちゃんと色々聞きたいんです。あ、でも……」


 ヘレンは何かを思いだし、語尾を濁し黙る。

「どうしたのヘレン?」


 不思議そうにこちらを覗き込むルイスと、その背後で今だソワソワしているカトリシアをヘレンは交互に見つめる。


「ルイス様……。一応の確認なんですが、今私を断罪して婚約破棄したくなってません?」


 ヘレンのその一言にルイスは一瞬で固まり、カトリシアは大きく目を目を見開く。

 そして、サータスは麻袋を背景に盛大に笑い声をあげていた。







「……ヘレン」

 暫く固まっていたルイスが、顔を引くつかせながらヘレンの頬を両手で挟み、ぎゅううっと押し潰す。

 そんなルイスの顔からは微笑みは消えている。


「ひ、ひゃい……」


 正直に言ってルイスのその顔は怖い。

 ヘレンは、急に態度を変えてきたルイスに慌てふためく。


(……そんな事言ったって)


 もしこれがアクシルルートで有れば、今後の展開としてはヘレンは呆れたルイスに断罪され婚約破棄を言い渡される。だから当の本人へ確認しただけなのに、なぜこうなっているのかと内心でヘレンは首を傾げる。


「……ヘレン。この期に及んでどの口が、君にそんなこと言わせるんだ?本当に君は自分が何を言っているのかわかってるのか?」

 ねえ、教えてとルイスはニッコリ全然笑っていない目で、ヘレンに視線を突き刺す。


「ふ、ふみまへん……」

(超怖いよぉ……)


「全く……。流石にこれ以上は呆れるよ?」


 取りあえず素直に謝れば盛大に呆れたため息と共に、挟まれた頬は解放された。


「俺はヘレンと絶対に婚約破棄はしない」


 そう言ってギュッと抱きしめられれば、恥ずかしいながらも安心感がやってくる。そのせいで、ヘレンはルイスがこっそり

「後でちゃんと断罪の代わりにお仕置きはしてあげる」

 と、呟いていたことをうっかり聞き逃す羽目になってしまっていた。


「はい、そこー。いちゃつかない。ブッブー」

「!」

 サータスに指摘されヘレンが驚いてルイスから離れれば、カトリシアはうっすら頬を染め下を向いているし、サータスは呆れたような顔をしている。


「まぁ、どうでも良いけど。そろそろ開けても大丈夫そうだけどどうする、ルイ?」


 再びサータスはルイスに視線を向ければ、ルイスはヘレンに本当に開けるのか問うてきた。


「開けてください」

 多分アクシルルートになった今、彼はどうするのだろうか?


「そう、そこまで言うなら開けるよ?まあ、こちらとしてもアレに言わなきゃいけないことも有るしね。ああ勿論、カトリシア嬢君にもね」


 ルイスがそう告げるとサータスはゆっくり麻袋の口を開け始めた。

次でやっとこ

アクシルに……


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土下座。

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