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閑話休題☆魚釣り

「デュラン、良く考えたんだが俺も釣りをすればヘレンと仲良く釣りが出来てより一層仲が深まると思わないか?」

 ある日ヘレンが釣ったとされる装飾品で溢れる釣りバケツを眺めルイスは唐突に呟いた。

 先程からなぜか釣りバケツを永遠と眺めて居たので、何か考えていたのだろうと思ってはいたが、まさか自分も釣りに行こうと考えてたとはとデュランは思わず苦笑いしてしまっていた。

「殿下、釣りしたことありました?」

 と言うか貴方釣りするような時間取れます?


 ルイスは腐ってもこの国の第一王子。次期国王となるべくやることは山積みだ。

 ただ、唯一この学院に籍を置いている期間だけが彼の唯一の休憩時期と言っても過言ではない。なにせ現両陛下はもう終わっているようなものだから。


 両陛下はやるべき事から目をそらし、国政をおろそかにし愛人を囲っているのだ。まったくもっての屑といえる彼らは、本来ならばとっくの昔にその座を追われていてもおかしくはないのだが今もなおお飾りの両陛下としてその座に居座れているのは、なんの皮肉か愛なき2人の間に出来た第一王子ことルイスのおかげだった。

 彼が皆の予想に反してきちんと幼いながらに国政を学び、自分にとっての良し悪しの判断を身に付けたおかげでサータスの父でもある現宰相や、ヘレンの父であるライラット侯爵家などの後ろ楯を得て影で国政をまわし国を支えているからこそできることだった。


 ルイスはまだ子供だ。

 王として矢面に立つにはまだ早い。

 それゆえに彼が成人するまでの間のお飾りとして現国王達がいなければならない。


 そんな事情もあってルイスにはほとんどといって良いほど休みがない。そんな彼は唯一中々自分に振り向かない婚約者との楽しい未来に向けて時間をつくり釣りを学ぼうとしているようだ。



「釣りはしたことないし、興味はないんだけどヘレンが一緒にしてくれるかもしれないならやりたい」

 そしてやるならかっこつけれるようにスマートにやりたいとルイスが小さく呟いたのをデュランは聞き逃さなかった。

「そうですねぇ、もしも一緒にするならスマートに出来た方がライラット様からしてもポイントは高いかもしれませんね」

 そう言えばモジモジと顔を赤らめるルイスをみてデュランは思わず微笑んだ。


 愛なく、希望なくあるのは窮屈な王の座(鳥かごのなか)

 そして求められるのは現王と真逆の完璧な王。


 齢15とは思えないほど大人び、鳥かごにおとなしく押し込められている彼が唯一子供らしく、鳥かごから飛び出して年齢に相応しい態度を取れる相手がなぜか昔からヘレン只一人だけだった。


 だからデュランはいつもヘレンとルイスが上手く行くことだけを願い続けてきた。ヘレンがルイスの誠実さに気づきお互いが惹かれあってくれたなら。


(まぁ、あのライラット様は一筋縄では行かないけれど)

 なにせ彼女はいつも全てにおいて斜め上を行く。

 行動なんて予測出来ない。


(それが、殿下にとっては魅力的なのかな?)

 人にとってどこで恋に落ちるかなんて考えるだけ無駄かと、デュランは苦笑いをこぼしてしまった。それでもルイスの幸せがそこにあるならば、何がなんでも協力はしたい。


「では、殿下。釣りしてみましょう」

 教えますよとニッコリ笑いかければ、目の前の15才の少年は満面の笑みになる。

(ああ、うちの殿下天使!)







 ☆☆☆☆☆



「で、ここでこうでこうして、こうなんです」

 デュランがヘレンに教えたように言葉だけでルイスに釣りの手順を説明すれば、飲み込みの早いルイスはさっさと覚える。

「うん、わかった」


 シュッと小気味良い音を立てて竿はしなり釣り餌と共に糸は遠くに飛んで行く。

「流石殿下!見事です!完璧です!」

 デュランが手放しで誉めれば、若干頬をポリポリと搔きつつルイスは

「まあ、あとは無事に釣れたら良いんだけど」

 と肩を軽く落とす。

「まあ、そこは流石に殿下でも運次第ですかね」

「運かあ……。ヘレンは装飾品を糸を垂らすだけでつり上げてたんだろ?」

「あれは……そうですねぇ、特殊な運ですかね?」

 普通はアイテムなんて釣れないんだけど。彼女の場合は斜め上を行きすぎて釣りですら普通ではすまなかった。デュランがなんとも言えない顔をしていると、ルイスはそれでも俺はヘレン見たいに釣りたいと久しぶりに負けず嫌いな性格を覗かせていた。

「殿下、釣りは勝負じゃなくて楽しんだ方が良いイベントですからね」

(っていっても聞かないよね、殿下(この子))

 苦笑いしつつチラリとルイスを見れば真剣な表情だ。


 きっと2人がここに立つと魚ではなくどちらがより多くアイテムを釣ったかの勝負になるのだろう。

「魚釣ってください。魚……って!殿下!!竿が!」


 流石うちの殿下!惹きも完璧です!

 デュランはそう思いつつ、軽く竿の引き方を口頭で伝えればすぐさまルイスは行動に移す。

 ルイスは中々の大物を引き寄せた様で竿はミシミシと音をたて激しくしなる。

「殿下!一か八かでここは一気に引きましょう。竿が折れるかもです」

 竿の耐久性を上回る様で、そろそろ限界のような気がしてデュランが言えばルイスも頷く。

「わかった!デュラン、一気に引く!」

 そういってルイスがおもいっきり竿を引けば、流石殿下。何をしてもヘレンの斜め上の上を行かれるようだ。


 2人の目の前に激しく大きな魔物級の魚が飛び出て来た。


「で、殿下!コイツは!!」

 ヤバイとデュランが感じて声をかけようとする前に、ルイスはいつの間にか魔法玉を握り魔法を解き放とうとしていた。

 その姿をみてデュランは一気に青ざめる。


「殿下!コイツに風魔法は――」


 ルイスがつり上げた魔者級の魚。その名も水魚。

 奴らは風魔法を受けるとなぜか……。



 デュランの叫びむなしく、ルイスから放たれた綺麗な風魔法は外すことなく水魚にヒットし――



 ドゴォォォォォォォォン










「……か!殿下!!」

 慌ててかけよりデュランは魔法でルイスを庇う。

 そのおかげで、ルイスもデュランも無事でいれたのだが。

「……デュラン。アイツもしかして風禁忌だったか?」

「そう、ですね。アイツらは普通は滅多な事では絶対に釣れないんで念頭においてもなかったのですが……。奴らは風を受けるとどういうわけか体内で風魔法と結合するらしく……」


 そこで言葉をつまらせデュランはただ、目の前の光景を見て唖然とすることしかできなかった。

 2人の眼前に広がるのは足場の整えられたつり場ではなく、綺麗さっぱり地面までなくなってスッキリとした風景だった。



 なにせ水魚なんて魔物級の魚は五、六十年に一度釣れるか釣れないかのレア級の魚だ。しかも、どんな資料を遡っても釣竿1つで釣れたなんて記録などない。


「まあ、なんと言うか……殿下もライラット様も釣りはむかないようです」

 デュランはそんな景色をみて、そう呟くのがやっとだった。

どうしてもいれたかった釣り場のなくなった理由。間違えて消していて載せるのあきらめていたらデータ見つかったので追加で更新です。


水に酸素で爆発v(・ε・v)的なね。

それが書きたかっただけって言うね。

あれ?ルイスの属性は光だったんじゃ?と思ったあなた!それについては後程( ´_ゝ`)

決して間違えた訳ではないんです。

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