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閑話⭐️ペット

「はい、問題です。こんなに天気の良い日に婚約者にかまってもらえもせずベッドに沈んでいる人は誰でしょう」

 デデンとサータスは晴れやかな笑顔で思いっきりルイスの布団をはぎ、カーテンを開ける。


 今日は快晴。絶好の買い物日よりだ。先程会ってきた少女達はきっと今ごろ間違いが起これば、2人で買い物を楽しんでいるかもしれない。間違いが起こればの話だが。

 けれど密かにサータスは多分あの2人の事だ、どこかで気持ちと会話と拗らせてきっと別々に行動するはずだとあら方予想していた。

 だからこそ目の前の人物を投入したくてサータスはワザワザルイスを起こしに部屋まできていた。


「……ほっといて。カーテン閉めて、布団を返して」

 サータスが布団をはいだ人物、ルイス・エバンヌはベッドに沈んで情けないことを呟いてはいるが、れっきとした王位継承権第1位のこの国の第一王子だ。


「ハイハイ、情けないことを言わないの。それにね、今すぐ起きるとルイにとって今日はスッゴク良い日になるとおもうよ」

 なんたってとサータスは今だベッドに沈んでいるルイスの上に飛び乗れば下敷きになったルイスからぐえっと小さな悲鳴が上がる。

「ほーら、ホラ。ルイったらグエグエ言ってないでさっさと起きようよ」

 更にサータスはルイスに荷重をかける。

「ぐっ、サータス……どけ」

「えー?何々?何て言ってるか聞こえナーイ」

 ニヤリと見下す様に下敷きにしたルイスにサータスは黒い笑みを浮かべていると、ひょいっと首根っこを掴まれてルイスからどかされベッド下へ放られた。


「サータス、やめなさい」

 放られて尻餅をついたサータスにいつの間に現れたのか、デュランが冷たい目線をおくる。

「ゔー!デュラン、いきなり出てくるとかズルい。学院入学中は影に徹するんじゃないの?」

「今は殿下の危機だったもので」

 軽く睨んでくるサータスに対してデュランはしれっと答え、ルイスに手を貸した。

「デュランが甘やかすからルイはヘタレになるんだよ」

「いやいや、私は甘やかしてませんから。むしろ今の今まで貴方が殿下のそばに居ることが許されてる方がおかしいし、殿下の害です」

「いやいや、ルイは僕が居るからなりたってるんでしょ」

「いえ、貴方は害です」

「……2人とも、人の部屋で騒ぐな」


 だんだん黒いオーラを放つ2人を止めたのはベッドからむっくり起き上がったルイスだった。


「デュラン、もう大丈夫だから。サータス、一応じゃなくても俺は第一王子だと言うのいつも忘れてないかお前?で、何しに来たんだ?」

 ため息がてらにルイスが言えば、デュランは軽く頭を下げ影に戻ろうとし、サータスはデュランにあっかんべーをした。

「サータス、やめろ。子供じゃないんだし」

 ルイスがサータスを嗜めれば、どこからともなくサータスの頭にバーカと書かれた紙くずが丸めて当たった。


「……ルイはまだ王子でしょ?ちゃんと王様になったら臣下らしくはする予定だよ。なれたらね。で、ルイにヘンちゃんについて朗報持ってきたけどやっぱり教えるのやめた。僕、ちょっとデュランと遊んでくる」

「え!?おい!ヘレンについてだけ言ってから行け!デュラン!お前も子供みたいなことしてるな!」

 どこかに行こうとするサータスを慌てて羽交い締めにしてルイスが叫べば、今度はルイス達の前にヒラヒラと紙が落ちてきた。

 2人が床に落ちたそれを見れば、そこにはデカデカと『やだ』の2文字が書かれている。


「「…………」」


 絶好の買い物日和な晴天に2人の青年がデュランの名前を呼ぶ声が響き渡り、名前を呼ばれた張本人は人知れず愉しそうに笑っていた。

 そして、落ち着きを取り戻すためと言う名目で、散々サータスの腹いせのとばっちりをルイスはうけ、ヘレンがお忍びで買い物に出たと聞けたのは数時間後の事だった。

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